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今年2回目のJFAフットサルGKキャンプ2022②を開催
2022年10月31日
将来のフットサル日本代表ゴールキーパー(GK)を育成・強化することを目的に、今年で5年目を迎えるフットサルGKキャンプ。2022年度は7月に開催した第1回に引き続き、第2回を10月29日(土)から2日間にかけて高円宮記念JFA夢フィールドで開催しました。
今回は15歳から18歳と例年よりも若い年齢層の選手が多く招集され、普段Fリーグの下部組織や各地域リーグでフットサルをプレーしている選手や高体連のサッカー部でプレーする選手などそれぞれ異なるバックグラウンドを持った総勢10名の選手が集まりました。活動では2021年に立ち上がったJFAフットサルGKプロジェクトの内山慶太郎リーダーと三浦拓氏が今回のコーチとして指導にあたりました。
オープニングでは団長の小森隆弘氏(フットサル育成ダイレクター)より、この活動に招集されていることの意味や選手たちに2日間を通して感じてほしいことが伝えられ、その後に内山コーチから現代のフットサルで求められるGKの資質や良いプレーを発揮するための「準備」の重要性が説かれ、メモを取りながら熱心に話を聞いた選手たちは気合十分に最初のトレーニングに臨みました。
初日のトレーニングが13:45と17:45から各90分で行われることがアナウンスされると、過去に参加したことがある選手を中心にコミュニケーションを取りながら、トレーニングに向けた準備を選手10人全員で行いました。初参加の選手たちも初めは緊張や様子見の雰囲気もありましたが、今回のリーダーに任命された物部呂敏選手(名古屋オーシャンズU-18)が積極的に声をかけて打ち解けられるよう働きかけ、すぐに活気ある声が選手から飛び交う良い雰囲気がアリーナ内に溢れていました。各セッションではフットサルGKに求められる「セービング・リアクション」と「ブロッキング」をテーマに取り組みました。普段GKコーチが所属チームにいないという状況がフットサルでは決して珍しくはありませんが、GKに特化した最先端のメニューに取り組めるこのキャンプを選手たちはしっかりと噛みしめ、心地良い疲労感の表情を浮かべながら充実した初日の2セッションを終えました。その後選手たちはフットサル日本代表も国内トレーニングキャンプの際に使用している施設内のロッカーとバスルームを利用し、明日のセッションに向けたリカバリーを目的に交代浴を行いました。ロッカー内には歴代の各カテゴリーの公式大会で優勝した際の表彰式の写真が飾ってあり、10月8日に8年ぶりにアジアチャンピオンとなって額に収められたフットサル日本代表の写真を見て、選手たちは代表選手への敬意を示すとともに自身がいつこの写真の中に写れるか思いを馳せていました。
夕食後にはミーティングを実施し、今回アシスタントコーチとして参加している三浦コーチから自身の経験に沿って「なぜフットサル日本代表に残れずに26歳で現役を引退したか」というテーマで講義が行われました。サッカーを始めてからフットサルに転向し、Fリーガーになって日本代表候補選手に選出され、2017年に開催されたアジアインドアゲームズの日本代表メンバーでとして自身の経験と当時切磋琢磨していた日本代表のGKの選手たちを例にあげながら、当時の心境や経験者だからこそ普段の目標設定やそれに対して行動することの大切さを丁寧に伝えていきました。選手たちは自分の姿と照らし合わせながら熱心に話を聞き、大変刺激を受けたミーティングとなりました。
最終日の3セッション目ではディストリビューション(パス、配球)やパスアンドコントロールなど、オフェンス面に関してもトレーニングを行いました。内山コーチより世界基準でフットサルGKにはセービングやスローの技術と同様に足元の技術も標準装備で求められることが前日から繰り返し伝えられ、現代のフットサルのGKとして求められている足元の技術や効果的な攻撃参加をするための判断や動き出しを意識したメニューとなりました。最後のトレーニングでは3対3のミニゲームを行い、GKの攻撃参加の部分やプレス回避を実践していきました。
解散前の全体ミーティングでは、活動期間の2日間とも視察に足を運んだフットサル日本代表の木暮賢一郎監督(兼U-20フットサル日本代表監督)が選手たちに優勝したAFCフットサルアジアカップ2022で黒本ギレルメ選手(立川アスレティックFC)が大会最優秀GKを獲得したこと、日本代表のGK陣がどのような姿勢で大会に臨んでいたかなどを伝えながら、若い選手たちに激励のメッセージを送りました。最後に内山コーチより日本を代表するGKになるために求められる振る舞いや選手に求められている要素について振り返り、「謙虚」と「自立」を忘れずに所属クラブに戻ってからも日々取り組んでほしいと伝えられて2日間のキャンプが幕を下ろしました。
JFAでは来年度以降も育成年代のGKを対象とした活動を継続して取り組んでいきます。
コーチコメント
内山慶太郎 コーチ(JFAフットサルGKプロジェクトリーダー)
今年度2回目となるフットサルGKキャンプがJFA夢フィールドで開催されました。U-15からU-18年代のGKが全国から10名集まり、1泊2日で合計3回のトレーニングと映像を使ったミーティングを通して、必要とされるスキルの習得と向上に努めました。
選手たちはトレーニングの中で2人のコーチから細かなフィードバックを受けながら、どの様にすればより効果的なテクニックを発揮できるのかを考え、次のトレーニングに活かしていくというサイクルを繰り返すことができ、2日間という短い時間の中でも変化・成長していく姿を見せてくれました。キャンプで認識した成果をさらに伸ばし、そして課題も改善していくためには、所属チームに戻ってもその取り組みを継続することが重要です。それぞれがこのキャンプで持ち帰った宿題と向き合い、次の機会に成長した姿を見られることを楽しみにしています。
最後になりますが、選手を送り出していただいた保護者、学校、所属チームの方々、そして参加してくれた選手の皆さんに感謝を申し上げます。
三浦拓 アシスタントコーチ(JFAフットサルGKプロジェクト/北海道文教大学付属高校)
2020年のGKキャンプに引き続き、2回目の参加となりました。招集歴がある選手と、初参加の選手が上手くコミュニケーションを取り、オンザピッチ、オフザピッチ共に大変実りのあるキャンプとなりました。このキャンプを通して、現在多くのGKがFリーグの舞台で戦っています。この中から1人でも多く、そして早くトップリーグでプレーする選手が出てくること、そしてフットサル日本代表という舞台で戦う選手が出てくることを期待したいと思います。この場をお借りして、選手を送り出してくれたチーム、ご家族に感謝いたします。ありがとうございました。
選手コメント
物部呂敏 選手(名古屋オーシャンズU-18)
この場に呼ばれ続けることは決して当たり前なことではないと強く感じて今回のキャンプに臨みました。何回か選ばれている選手は毎回生き残りをかけ、前回のキャンプよりレベルアップをしていないといけません。初招集の選手は自分の持ち味を全て出し切れるように必死にプレーをしています。その中で自分は最年長で今回のキャンプのリーダーを任されました。今までのキャンプでは感じることのなかったリーダーとしての責任を感じながら10人の同じポジションの仲間とピッチ内外問わずに技術的な話やキーパーならではの話、時にはプライベートな話をすることができました。自分たちを全ての面からサポートしていただいた6名のスタッフともしっかりコミュケーションをとることで16人の大きなキーパーファミリーとして充実したキャンプにすることができました。
木暮監督や内山コーチ・三浦コーチにGKはピッチに1人しか立てない中でファミリーとしてお互いをリスペクトし合い、誰が出ても全員でチームのために戦う大切さをAFC大会の話を交えて伝えていただいた内容がとても印象深く残っています。
キャンプを開催するにあたって関わっていただいたスタッフ、関係者に感謝して、これからもGKキャンプや代表活動に選ばれるように頑張りたいと思います。
廣田尚真 選手(藤井学園寒川高校)
今回、初めてこのプロジェクトに参加して、意識の違いや技術の差など身を持って感じました。今まで、本格的な練習をしたことがなかったので、全てが学ぶものばかりでした。技術面ではセービングやスプレッドなどサッカーとは全く違うものばかりで、とても難しかったです。それから、手の位置や、姿勢、足の運び方など、疎かにしそうな基礎の部分の大切さを改めて学びました。また、同年代のキーパーから、たくさんの刺激をもらい、内山コーチや三浦コーチから様々なことを学び、今回のプロジェクトでとても成長できたと思います。
そして、オフザピッチでは、食事の面や交代浴など、今まで意識ができていなかったことばかりで、自分の未熟さを痛感しました。この2日間のプロジェクトで学んだことを糧にしてこれからも精進していきたいと思います。
中山洸大 選手(P.S.T.C. LONDRINA)
今回初めてこのキャンプに参加させていただきました。自分はこのような機会をいただけたことを感謝すると同時に、内山コーチ、三浦コーチといった世界の基準を知る指導者や高いレベルでのプレーを経験してきた先輩方から多くのことを吸収しようという思いでこのキャンプに入りました。実際、普段の練習では、なんとなく止めてしまうようなシュートも、構えや準備など少しの乱れで決まってしまうような厳しい世界を自分の中で体感することができました。シュートストップ以前に、その準備の段階がより大事だという意識をチームに帰っても持ち続けたいと思います。また、次にキャンプに呼んでいただけることがあれば、その時までに改善をし、より良いパフォーマンスが出せるようにしたいと思います。最後に、このキャンプに参加させていただくにあたり、JFAスタッフ、クラブの監督や仲間、そして保護者など、多くの方々の協力に感謝をするとともに、この経験が無駄にならぬよう頑張っていきたいと思います。
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