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【ホットピ!~HotTopic~】山本昌邦JFAナショナルチームダイレクターに聞く JFA/Jリーグポストユース強化施策 「ラージ100」の底上げを目指して
2025年06月10日
今年、日本サッカー協会(JFA)は、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と協働し、23歳以下の世代を中心としたポストユース世代の発掘・強化を目的とした施策を行っています。この強化施策の狙いを団長の一人、山本昌邦JFAナショナルチームダイレクターに聞きました。
※このインタビューは2025年5月16日に実施しました。
才能ある選手たちに、刺激を与え続ける環境を
――ポストユースの強化施策を行うことになった背景、施策の目的をあらためて教えてください。
山本 23歳以下に該当するポストユースの選手については、Jリーグさんも出場機会や成長の面において危機感を持たれ、これまでもさまざまな強化施策を打ってきました。JFAとしても、U-17やU-20の日本代表に名を連ねていた選手がJリーグでなかなか実戦経験を積むことができず、成長が鈍化してしまう点に懸念がありました。互いに共通する課題の解決に向けて、Jリーグ選抜という形で選手たちを育成していこうというのが今回の施策になります。選手が刺激を受け、プレーの中から気づきを得て、それを持ち帰って意識的に日常を変えてほしいと考えています。
U-22 Jリーグ選抜と関東大学選抜が対戦した第1回活動
――JFAとしての具体的な狙いはどこにあるのでしょうか。
山本 われわれとしては、23歳以下の「ラージ100」、つまり、年代別代表に招集される可能性のある100名程度のリストが重要だと考えています。第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)に向けて、大岩剛監督は4年間で約90人の選手を招集しました。そこから最終的に22人を選んだことを考えると、まずは世界と戦えるレベルの選手が100人いることが重要になります。一方で、そうした才能のある選手たちに刺激を与え続けられる環境が圧倒的に不足しています。これでは世界に届かないという危機感がありますので、「ラージ100」の底上げを図りたいという狙いがあります。
――2025年4月には、年3回の活動が発表されました。
山本 初めてのプロジェクトですので、できる範囲での活動ということで年3回としましたが、ゆくゆくは増やしていきたいと考えています。実際、U-20 Jリーグ選抜が6月にホンコン・チャイナで開催される「International Youth Invitational Football Cup at KTSP June 2025」に参加することを発表し、年4回の活動になりました。将来的には、Jリーグ選抜として世界中のトップクラブが集まる育成年代の国際大会にも参加し、実戦経験だけでなく国際経験も積めるようにしたいと思います。
――コーチングスタッフはどのような基準で選んだのでしょうか。
山本 Jリーグ、JFA双方の考え方として、豊富な国際経験があり、選手に多くのフィードバックができる人材を選んだこともありますが、若い指導者に現場での経験を積んでもらい、彼らを養成するという側面もあります。第1回は羽田憲司U-23/U-20日本代表コーチ、第2回は菅原大介U-20日本代表コーチがU-22 Jリーグ選抜の監督を務めましたが、彼らのような経験豊富な指導者から学びつつ、選手とのコミュニケーションの中で得られるものもあると思います。
2回目の活動はU-22 Jリーグ選抜と関西学生選抜が顔を合わせた
見られていることを意識してほしい
――第1回、第2回の活動を終えて、どのような収穫がありましたか。
山本 それぞれ2日間ずつの活動でしたが、選手たちにとっては濃密な時間だったと思います。2日間で4回のミーティングを実施し、目指すべき姿や施策の意図を伝えただけでなく、セットプレーや戦術面など実戦的な話もしましたし、コーチングスタッフで入っていた小野伸二さん(Jリーグ特任理事)や遠藤保仁さん(ガンバ大阪コーチ)に質問や相談をする機会もありました。2日間でこれだけのことができるのかと思えるほど、刺激の多い活動でした。
第1回活動には小野伸二さん(Jリーグ特任理事)もコーチとして参加
――参加した選手やコーチングスタッフの反応はいかがでしたか。
山本 活動中はポジションごとのグループミーティングを行い、FWなら前田遼一日本代表コーチ、MFなら遠藤コーチや青山敏弘コーチ(サンフレッチェ広島)からいろいろな話を聞く機会がありましたので、まずはそこで専門的なフィードバックを得ていると思います。また、試合では各選手に一定のプレー時間を与え、個々の映像を作成してそれぞれに渡した上で、後日、JFAのテクニカルスタッフとリモートでのディスカッションをしました。プレーをする上での判断や予測、何が見えていたのか、適切なプレー選択ができていたのかなどを話し合ったのですが、実際に試合でプレーしたからこそそういった議論ができ、気づきを得ることができます。コーチングスタッフから「すごく勉強になった」という声をもらっていますし、大学選抜の関係者には「こういう活動は本当にありがたい」と喜んでいただきました。選手たちも緊張感がある中で集中して戦っていましたし、互いに同世代なので負けたくないという気持ちも感じました。大学サッカーは日本特有の環境ですし、その特長を生かして切磋琢磨していくことも日本サッカーのためには不可欠だと思います。
第2回活動でコーチを務めた前田遼一さん(日本代表コーチ)、
遠藤保仁さん(ガンバ大阪コーチ)、青山敏弘さん(サンフレッチェ広島コーチ)
――今後の展望についてはどのように考えていますでしょうか。
山本 足立修Jリーグ フットボールダイレクターと私が団長を務めているのですが、準備段階から何度もミーティングを行いました。同じ問題意識を抱えていることもあり、「こうすればもっと大きな成果を得られるのではないか」「こんな活動もできるんじゃないか」と、たくさんのアイデアが出てきました。第3回、第4回の活動は海外遠征になりますので、より多くの時間を一緒に過ごす中で、さらに夢のある施策にしていきたいと考えています。
――本施策に参加した選手たち、今後参加するかもしれない選手たちへの期待をお願いします。
山本 いつも見ているよ、と伝えたいです。年代別代表のコーチングスタッフや、各地域を担当するJFAコーチが力を合わせてタレント発掘に力を入れていますので、選手たちも見られていることを意識してほしいです。逆に言うと、気づいてもらえるくらいの存在感を出してほしい。それによって呼ばれるチャンスが来るかもしれませんので、もっともっとアピールをしてほしいですね。
強化施策の団長を務める山本昌邦JFAナショナルチームダイレクター
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