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チェンジメーカー 第18回 増子明男(ましこ・あきお) エトスサッカーアカデミー代表・FCガナドール大田原代表・農家

2013年04月01日

チェンジメーカー 第18回  増子明男(ましこ・あきお) エトスサッカーアカデミー代表・FCガナドール大田原代表・農家

Profile

増子 明男 / MASHIKO Akio さん
エトスサッカーアカデミー代表/FCガナドール大田原代表/農家
2010年度SMC本講座修了(7期生)

1972年8月栃木県生まれ。
宇都宮学園高等学校卒。高3の全国高校サッカー選手権でベスト16。同校卒業後の1990年より、日本サッカーリーグ(JSL)の三菱自動車(現・浦和レッズ)で2シーズン、プリマハムFC土浦(現・水戸ホーリーホック)で1シーズン過ごし引退。
その後、地元、那須高原に戻り、サラリーマンとして営業職、溶接工、ハンダ付け工、森林組合職員と職を変えたが、32歳のときに実父が体調を崩し実家の農業に就く。黒毛和牛の世話と稲作が今の仕事。傍ら、22歳で立ち上げたエトスサッカースクールは4人のスクール生から始まり4年後、チーム活動を始め、更に4年後、県で優勝を果たす。

その1 勝ちたいなら別のチームに行ってください

坂口:では、よろしくお願いいたします。

増子:はい、よろしくお願いします!

坂口:まず、今のクラブについて、どんなクラブなのか教えてください。スクールの、エトスサッカーアカデミーについて、チームのFCガナドールについて。

増子: 栃木県の県北地域、那須塩原市、大田原市地域の子たちが集まってきてくれています。
各学校から数名ずつ来てくれていて、今、小学生はスクール生徒とクラブ生で50人ぐらいですか。
そのうちクラブが30人ぐらいです。
中学生は少ないんです。今は3人だけで、練習だけって形でやってます。

うちのクラブの方針として、基本的に怒らず、褒めて、やらせるってことでやってきています。ご父兄にも入会のときに伝えています。今、勝ちたいなら別のチームに行ってくださいってことを理解して入ってくれているので、勝てないことに関して文句を言う方は、ほとんどいません。たまにはいますけど。 笑

うちの子はじっくり育ててほしいからとか、うちの子は技術がないので技術をつけてほしいからっていう方が多いので、そういう意味ではすごくやりやすいですね。そんな感じのクラブです。

坂口:どれぐらいの頻度で活動してるんですか?

増子:活動は、週2回ずつですね。スクールが2回、クラブが2回です。でも、クラブの子はスクールの練習にも参加できるので、実質週4回の練習に。

坂口:平日と土日合わせて4回ですか?

増子:はい。
土日に試合が入ってきたときには5回になりますが。
練習がない日は基本的には休みで、好きなことを自由にしてくださいってことにしています。
土曜日は練習があるのですが、日曜日は原則空きます。
家族で出かけるもよし、友達と遊ぶのもよしってことで。
あんまりサッカーが続いちゃうと子どもたちがいっぱいいっぱいになっちゃうので、そうならないようにしています。サッカーを嫌いになってほしくないので。
家族で出かけるときに、お兄ちゃんは試合あるから試合に行ってね、ってなると、中には、ぼくサッカーやめるって子が出てきます。そうならないように気をつけています

 

坂口:クラブがどうやって今の姿になったか、経緯をお話ししていただけますか?

増子:二十歳のころに栃木に戻ってきてサラリーマンとして仕事をしている頃、地元でサッカースクールをやりたいっていう企業が現れて、誰かに増子ってのがいるから、声かけてみたらどうか、って言われたらしく、「サッカー教室やるので来てもらえないか」って誘われました。

すごくやる気になったところで、「やっぱりやらないから」って言われて。でも、自分の中でもやる気満々になってしまったので、会社を辞めて、サッカースクールを立ち上げるって始まって。そこからまた仕事を探しました。

サッカースクールを始めて、最初は土曜日だけだったので、平日の仕事に行けました。で、3、4年たったころ、チームにして試合に出たいって方が出てきたので、クラブも、ということで、つくって、平日もやりますかってことで。

平日は5時から練習なので、そうすると5時前にあがれるところじゃないときついので、そういう仕事を選んで探しました。なかなか見つかんなくなったんですけども、それでもようやく見つけて。

チームをつくって4年後に県で優勝することができました。今はなかなか勝てないんですけども、楽しさを伝えながら、うまくなるように練習しています。
自分が現役時代、フィジカルで勝負するタイプだったせいか、ないものねだりで、技術的な練習を中心にやっています。 笑

その2 稲作と黒毛和牛の繁殖

坂口:スタッフは、何人ぐらいいるんですか?

増子:審判を専門でやってくれている方が2人。コーチは、3人ぐらい学生がいて、社会人の人が私以外に2人いるので、5人、6人ですか。その体制で回しています。みなさん、予定が空いているときに来てもらっています。仕事があったりすると来れなかったりしますね

坂口:みなさん、コーチやスタッフを仕事として専業でやられているのではなくて、増子さんも含めて、みなさんパートタイムでやってらっしゃるんですか?

増子:そうですね。
一人は学校の先生なんですけど、土曜日だけ。今までは平日も入れたんですけど、学校が変わっちゃって、平日はけっこう夜遅くまで残らなければならなくなって。土曜日の練習だけ行きます、ってことでやってもらっています。ずっと来てくれていて、教えることが好きで、熱心にやってくれています。
あとは、大学生なので、授業がなければ早く入ってもらえるんですけども、授業があるときは入れません。中学生の7時からの練習に入ってもらうことが多いですね。
もう一人の社会人は、比較的自由な職場なので、5時から小学生の方に入ってもらうことが多いです。
今度、来年度からまた1人、うちの教え子で専門学校に行っている子がいて、1年間入ってもらうことになりました。

坂口:お金だとかクラブの管理的なことは、増子さんがお一人でやっている?

増子:はい。私が。
代表兼、監督兼、財務兼、バスの運転手。 笑
審判も人がいないときは審判もやりますし、とりあえず全部やります。1人になってもできる体制を作っています。

坂口:クラブの仕事以外の本業は。どんな感じで仕事してらっしゃるんですか?

増子:父が健在なので、父の手伝い的なことです。稲作と黒毛和牛の繁殖を中心にやってます。月に1回黒毛和牛を売りに出します。出産後10ヶ月育てた牛を月に数頭ずつ出荷するわけです。朝と夕方の牛の餌やりと、空いている時間で牛舎の掃除だったり、餌を運んだり、集めたり。そんなことをやってます。

坂口:稲作もやられてますか?

増子:やってます。
ゴールデンウィークのときには田植え。その前に田んぼにするのは親父が中心にやるんですけど、田植えの時期は機械に乗って田植えをしてます。
で、それが終わったら捕植っていいまして空いているところ、機械で植えられないところを手で植えて。そのあとに草刈。土手の草を年間4回ぐらい刈ります。結構疲れますよ。そんな感じの仕事です。

増子:秋口には米がたわわに実った収穫の時期ですね。収穫作業はライスセンターと組合を作ってやってるんで自分にはあまり負担はないんですけど、親父は米の収穫にとられてしまうので、約1ヶ月か1ヶ月半は私が1人で朝と夕方の(牛の)餌やりをやってます。

坂口:スローでいい生活ですね。今の生活、楽しいんじゃないですか?

増子:そうですね。あんまり拘束されないのがいいですよね。そういう意味では楽しいと思います。サラリーマン時代より個人の収入は減りましたが、時間が手に入りました。

その3 自前のグラウンドを作りたい

坂口:増子さんがSMCを受講されたのは、2010年ですね。一昨年ですよね。受講されていかがでしたか

増子:すごく楽しかったけど、率直な感想は、非常に大変でした。 笑
大変だった、というのがほんとに素直な感想。っていうのは、もともと勉強が嫌いだったので、あの短い期間であれだけの本を読んだり、あれだけ多くの文字を書いたことが今までなかったので。 笑
だから、すごく大変でしたけど、すごく楽しい仲間が全国にできた。サッカーの指導者にも仲間はいますが、指導者とはまた違う目線で見て、話せる人たちだったので、本当に楽しかったです。

坂口:活かされていることありますか?

増子:今は正直活かしきれてないと思います。が、今後、土地を借りて、自前のグラウンドを作りたいって思っています。自分の事業計画書もそういう内容でした。計画書を活かして、土地を借りて、グラウンドを作りたいです。
あとは、自分の中で、上級ライセンスをとれば、いい指導ができて、生徒が入ってくる…みたいな錯覚があったんですけど、実際はそうじゃないんだと。いい指導をしてるから人が入ってくるんじゃなくて、顧客が求めているものを販売しているかが大事だと。求められているものを提供していなかったら生徒は増えないんだなって気づきました。
ずっと自分の中で疑問があったんです。求められていることと、私がやりたいと思っていることが少しずれてると、いくらいいことをしても、入ってこない。お客さんが「強いクラブに入りたい」と思っていれば、強くなければ入ってこないじゃないですか。そこがちょっとずれてたなって思いました。

自宅前につくった、天然芝の手作りマイグラウンド。
少年用コートが十分取れるサイズ

最近やっと割り切れたというか、違うんだなってわかった。自分がやろうとしていることは、今が強いんじゃなくて、一人一人を上手にしたい。うまくなってほしいっていうことなので。
自分で納得できたら、以前よりも気持ちがひゅっとフィットしたのか、お客さんが増えました。そこは、すごく活かされてる部分なのかなって思っています。

坂口:増子さんの事業計画書って、耕作放棄地を借りて、芝生のグラウンドを作るって内容でしたよね。そこに向けて、進んでいるんですね。できたらいいですよね!

増子:そうですね。この辺は土地は余っているので、うまくタイミングが合えばできると思うんです。絶対やりたいですね。

その4 サッカーもゴルフも野球も

坂口:じゃあ、最後の質問として、今後やっていきたいことを教えてください。

増子:まず、土地を借りてグラウンドを作りたいのがひとつ。もうひとつは、うちのチームというかスクールが任意団体なので、NPO法人にしていきたいなと。NPO法人取ってからなのかどっちが先なのかわからないですけど、総合型スポーツクラブにしたいと思っています。少しずつ大きくしていければ。
そのためには、今は自分だけでやっている仕事の後継者も作んなきゃいけないかな。バスの運転手も含めて。 笑

坂口:総合型っていうのは、どんな総合型をイメージしているんですか?

増子:サッカーはメインになると思うんですけど、この辺は年配の方も多いので、グランドゴルフとか。
あと、ゴルフ場も多いのでゴルフクラブみたいなのも入れて、それと父兄さんで高校球児だった方がいるので、野球も作っていけたらなと思っています。

坂口:フィールドがあればできますからね。

増子:そうですね。そんな感じで、サッカーもゴルフも野球も。

坂口:いいですね。楽しみです。

増子:あともう1つ。農業とコラボさせていければなと思っています。スポーツと農業。
芝生で、つくばFCの石川さんがやっているようなことがやっていければ。そこから始めて自分のオリジナリティのあるものに発展させて。最初はまねっこでいいと思うんですけど、手を加えて、自分のオリジナルになっていけばと
思っています。

坂口:でも、増子さんは、本当に農業のプロじゃないですか。 笑

増子:
まだ、プロまでいってないですけどね。そうですね、そんなとこです。

坂口:がんばってください。

増子:がんばります。ありがとうございます。

 

 

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