西アジアの古豪として知られ、ワールドカップにはこれまで4度出場しているサウジアラビアは、伝統的に突出した個の力を持つアタッカーを数多く輩出してきた。現在のチームも例に漏れず、すでに分析の仕事を始めているというヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「アラブの国の傾向として個人の能力がある」と評価している。
現在26歳のナワフ・アルアビド選手は、まさにそういったタイプの選手と言っていいだろう。ボールを持たせて前を向かせると、相手にとって非常に脅威となる。アジリティの高さを生かしたドリブルの切れ味は鋭く、俊敏な切り返しでマーカーを置き去りにできる。股抜きといった相手の虚を突くプレーも得意であり、個の力で局面を打開できる。
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ハリルホジッチ監督が「注意して罠にかからないようにしなければいけない。サウジアラビアの選手たちはPKやFKを誘うスペシャリストだ」と話すように、今回の予選でサウジアラビアの得点でPKの占める割合は非常に高いが、まさにナワフ選手はドリブルで相手のファールを誘えるタイプだ。PKではキッカーも任されており、相手監督ベルト・ファン・マルヴァイクの信頼も厚い。
もちろん、ストロングポイントはPKに関連したスキルだけではない。とりわけ決定力の高さは折り紙付きで、利き足の左足から繰り出すシュートは威力も精度も非常にハイクオリティだ。
厳しく寄せればファールを取られる危険性があり、かといって間合いを広げ過ぎたら強烈な一撃が飛んでくる。日本の守備陣にとって厄介な存在になりそうだ。