悲願のワールドカップ出場へ――。第4戦で日本代表に立ちはだかったのは、これまでワールドカップ予選、五輪予選で一度も勝ったことのない、宿敵・韓国代表だった。
過去の敗戦の記憶がよぎるなか、日本はこの重要な一戦で歴史的な戦いを刻むこととなる。0-0で迎えた59分、三浦知良選手が値千金の先制ゴールを奪取。この1点を守り抜いた日本はついに韓国から勝利を収め、同時に1試合を残して首位に立ったのだ。
もっとも混戦となったアジア最終予選は、最終節を前に朝鮮民主主義人民共和国代表を除く5チームにワールドカップ出場のチャンスが残されていた。日本は最終戦の相手となるイラク代表に勝利すれば文句なしでアメリカ行きの切符を手にできる状況だったが、敗れればもちろん、引き分けでも他試合の結果次第で出場権を逃す可能性は十分にあった。
そして迎えた運命のイラク戦。日本は開始早々の5分、三浦知良選手のヘディングシュートで幸先よく先制に成功。1-0で試合を折り返したものの、後半立ち上がりに同点ゴールを奪われてしまう。それでも69分、ラモス瑠偉選手のスルーパスに抜け出した中山雅史選手が勝ち越しゴールを奪って2-1。このまま逃げ切れば、日本の悲願は達成されるはずだった。
ところがアディショナルタイムにまさかの展開が待ち受けていた。CKを獲得したイラクは意表を突くショートコーナーを選択。そこからのクロスをオムラム・サルマン選手にヘディングで合わせられ、土壇場でのまさかの同点ゴールを奪われてしまったのだ。
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数分前に終わっていた他試合の結果により、日本は引き分けではワールドカップに出場できない状況だった。まさに最後の最後に待ち受けていた悲劇な結末――。日本サッカー史上最も衝撃的なシーンとして残るこの「ドーハの悲劇」はしかし、4年後へと続く歓喜のストーリーの序章でもあった。