ブラジル行きに王手をかけていたSAMURAI BLUE(日本代表)だったが、敵地アンマンでまさかの足踏みを強いられてしまう。2013年3月26日にアウェイで行われたアジア最終予選第5戦のヨルダン戦。同日に行なわれたオーストラリアvsオマーンがドローに終わったため、日本は引き分けさえすれば、ワールドカップ出場が決定するはずだった。
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それでも「引き分けでもいいとは思っていなかった」と岡崎慎司選手が言うように、日本は立ち上がりから積極性を示し、「勝利」のみを求めていた。しかし序盤の好機を立て続けに逃すと、次第に流れはヨルダンに。前半終了間際に右サイドを崩されて与えたCKから先制点を奪われてしまうと、後半に入っても、勢いに乗ったヨルダンに押し込まれる場面が続き、60分、吉田麻也選手が振り切られて2点目を許してしまったのだ。
追い込まれた日本は、高さのあるハーフナー・マイク選手を投入し、空中戦に活路を見出すと69分、清武弘嗣選手のパスを受けた香川真司選手が1点差に詰め寄るゴールを奪う。さらにその直後に内田篤人選手がペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。ところが遠藤保仁選手のキックが相手GKに阻まれて、万事休す。順調にブラジルへの道を突き進んでいた日本だったが、ホームで6-0と快勝した相手によもやの黒星を喫した。
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それでもグループ首位の座を守った日本は、6月4日、ホームでのオーストラリア代表戦で、勝つか引き分けでワールドカップ出場が決まる優位な状況に変わりはなかった。
直前の親善試合でブルガリアに0-2と敗れており、決して良い流れとは言えない中で迎えた運命のオーストラリア戦。日本は立ち上がりから攻勢を仕掛けていく。本田圭佑選手や岡崎選手、香川選手らが質の高い連携を見せてオーストラリアゴールに迫ると、警戒していた相手のセットプレーにも体を張って対応。後半もスピーディな攻撃で押し込んだが、なかなか1点が奪えない。すると81分、相手のクロスがそのままゴールに吸い込まれてしまう不運な失点で先制を許してしまう。
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「もう負けるかと思っていた」と、内田篤人選手が振り返ったように、残り時間を考えれば、そのまま敗れてしまってもおかしくはなかった。ところが最後にドラマが待っていた。終了間際の90分、相手のハンドでPKを獲得すると、これを本田選手がど真ん中に蹴りこんで1-1の同点に追いつく。直後にタイムアップの笛が響き渡り、日本は5大会連続のワールドカップ出場を、世界最速で決めたのだった。
消化試合となった6月11日のアウェイのイラク戦も(イラクの政情不安のため第三国であるカタールで開催)、終了間際の岡崎選手のゴールで1-0と勝利。終わってみれば5勝2分1敗(16得点・5失点)で勝点17を獲得し、圧倒的な強さを示してのブラジル行きだった。