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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第66回 萩野俊太郎 U-18・U-15ブルネイ・ダルサラーム代表フィジオセラピスト
2022年07月29日
海外での生活・文化・環境の違い
ブルネイ・ダルサラームに初めて海外から派遣されるメディカルスタッフに決まり、その重責を感じながら2021年8月からの派遣を心待ちにしていましたがブルネイ・ダルサラームでのコロナウィルス感染拡大に伴い、派遣延期の憂き目にあいました。昨年末にようやくブルネイ・ダルサラームにたどり着き、到着早々に当初の予定にはなかったU-23ブルネイ・ダルサラーム代表チームへの帯同を命じられ、現地での活動がスタートしました。
ブルネイ人の宗教や家族を優先するライフスタイル、温厚な性格とイスラム教の宗教観からくる価値観に触れるにつれて、ようやく彼らの輪の中に入りつつ、メディカル分野の専門家として自分の意見を伝え、それを相手に受け入れてもらう土壌が出来てきたように思います。様々な経験の中で、自分が与えるもの以上に彼らから日々多くを学んでいるように感じます。
ブルネイ・ダルサラームにおけるサッカーを取り巻く医療事情
ブルネイ・ダルサラームサッカー協会での仕事の一環として、チーム帯同に加えメディカル分野の専門家としてリーグ運営に関わる機会もありました。ブルネイのトップリーグは15チームで構成されていますが、ほとんどのチームにはメディカルスタッフが在籍していません。リーグ戦には運営側からメディカルの人員が手配されますが、トレーニング環境においてはスポーツ障害に対するサポート以前に命に関わるような事態にもファーストエイダーがいないのが当たり前の状況です。理学療法士に限ると職能団体も存在しておらず、国内で活動する理学療法士の数や潜在的にスポーツやサッカーに関わる意欲のある人材がどの程度存在するかも不明です。日本では当然のようにリーグ戦開始前にメディカルチェックが実施されていると思います。しかし、ブルネイでは医療資源の乏しさからMRIや心電図といった医療機器は必要度の高い方へ優先的に使用する必要があります。その為、医療機器を用いたチェックを全選手が開幕前に実施することは現実的には困難であろうという結論に至り、質問票を用いた簡易的なメディカルチェックを実施していく方針となりました。ブルネイ・ダルサラームのサッカー選手が医療面で安全性を担保されるまでにはまだまだ周辺環境の整備と時間が必要ですが、少しでも前進できるように自分の力を発揮していきたいと思います。
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