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チェンジメーカー 第1回 江副良治(えぞえ・よしはる) 特定非営利活動法人RESC理事長
2011年06月30日
Profile
江副 良治 / EZOE Yoshiharu さん
特定非営利活動法人RESC理事長
2008年度SMC本講座修了(5期生)
1973年11月大阪府生まれ。
大学在学中よりRESC前身の上のFCで指導を始め卒業後そのまま就職。独立後RESC設立。2005年に法人化し現職。
大阪府サッカー協会3種委員会委員、関西クラブユース連盟常任理事。
その1 ええやつになって卒業していってほしい
坂口:このお仕事を始めたきっかけを教えていただけますか。
江副:このクラブには、産みの親と育ての親がいるんです。僕は育ての親なんです。
今のRESCの母体となった上野FCというチームがあるんですけど、最初は大学在学中にその産みの親の方に誘われてコーチとして入ったのがきっかけです。母校のコーチやったり遠征に一緒に連れて行ってもらったりして指導っぽいことを好きでやっていて。で、上野FCにコーチとして呼ばれたんです。僕自身は指導者でやっていきたいという思いが、すでにあったので。
その後、そこから独立したんですけど、今思ってもここがきっかけだ、と思うことが正直なく、本当に、こうなるんだ、という思いだけできた感じです。それが大学3回生とか4回生とかの時で、ずっと続けながら現在に至る。
坂口:至るわけですね。
江副:高校卒業する時にもう指導者を志してたので。選手としてパッとしなかったので。サッカーに携わっていくには指導者しかないなみたいな。
坂口:もう高校生の時にすでに自分の選手としての部分は見切りをつけてた?
江副:そうです、高3で。
セレクションには行ってたんですけど、いつも最終であかんかったりしたんで、これはどうやらあかんねんなっていうところで。でも、教えるの好きだったんで、そんなことを、高校の時に親と話したことがありました。ドイツ行ってライセンス取ってみたいな話をした覚えがあります。
坂口:すごい高校生ですね。
江副:いやー。
坂口:早く気がついた。
江副:ははは(笑)。どうなんですかね、わかんないですけどね、今となっては。
坂口:大阪は昔から有名なクラブももちろんありましたけど、こういう街クラブの仕事だけで生活していくっていうスタイルは、そういう中でもパイオニアですよね。
江副:いや、僕らは新参者ですね。
今、大阪で80くらいのクラブチームがあるんですけど、僕がちょうど増え始めた頃の世代なので、全体で言うと 中堅みたいな位置取りです。
坂口:今のRESCがどんなクラブなのか、どんな子達にどんなことをしているのかをお話ししてもらえますか。
江副:カテゴリーでいうと幼稚園の年中から中3までのカテゴリーがあります。幼稚園キッズ年代が4か所でサッカー指導とか体育指導をやってます。 あとRESCのキッズクラスもあって、ジュニアは4つのスクールがあるんです。
で、ジュニアユースがあって、RESCと昨年の4月からスタートしたRioっていうチームがあります。全体で今700人ぐらいの会員がいます。
坂口:大きいですね。
江副:うーん、どうでしょう。まだまだ大きいところは大阪にあるので。
坂口:大学卒業して今まで15年このクラブを育ててきたわけですが、どんな想いとか考えでこのクラブをつくってきたか話してください。
江副:始めた時から三本柱があって(1)選手育成、(2)人間育成、(3)国際交流を挙げているんですけど、一番太い柱は(2)人間育成のところで。
サッカーうまかったらそれでいいの?といったらそうじゃない。いいやつになってこのクラブ卒業していって欲しいな、次のステージにいって欲しいなってのが一番の思いなので。
良いサッカー選手になるっていうのはその次の話でっていうところはずーっと、始めた時からずーっとぶれずにきたところです。
その2 サッカーを使って何ができるか
坂口:今スタッフは何人ぐらいいるんですか。
江副:社員が自分を入れて3人で、契約が3人。あとは学生のアルバイトスタッフで合計20数名です。
坂口:江副さんのこのクラブの中でのお仕事っていうのはどういったことになりますか
何でもやらなきゃいけないとは思いますが。
江副:そうですね… ジャンルで言うとたぶん全般になります。
ジュニアはジュニア担当がいて、ある程度任せられる人材がいるので、現場はジュニアユースの監督をしてるんですけど、キッズからジュニアユースまでの全体のオーガナイズやプログラムを考えるとかってことは携わるようにしてます。特にこれというのないんです…
なんでもやります。便所掃除もしてますし。
坂口:(うん、うん。)
オフィスでやらなきゃいけない管理的なお仕事とかは?
江副:オフィスワークっていうのは、各担当者の仕事の確認が多くて、ある程度の流れやシステムとかフォーマットは既にあるのでそれに則ってやっていて、ここのレイアウトもうちょっとこうした方がいいんじゃないとか、この言葉遣いこうしようとか、今回こういうの載せようとかってぐらいで、確認作業、訂正作業が中心です。
坂口:はい。では、お金は?
江副:会費管理は係がいるので、税理士さんと管理をしてもらっているので報告を受けて、確認する…
坂口:だけ?
江副:だけですね。すごいことに。本当に僕、お金関係は不得手なので任せてます。もちろん全体の計画は立てますけどね(笑)
大まかに、これにいくら使う、あれにいくら使おうっていう、SMCで、これはあかんっていう予算立てをしてます。(笑)
細かいところは本当に任せています。
坂口:今のRESCの、他にない特徴ってどういうところですか?
江副:サッカーを使って何ができるか、みたいな。
常々スタッフやコーチに言っていることなんですけど、我々はサッカーというツールを使って人間育成をしているんだと、よく言っています。そこが特徴かなぁって感じです。入会とか節目の時には選手の保護者にもそう説明します。
まずそこありきですべて考えていきたいと思うので。はい。
坂口:経緯の話にちょっと戻りますけども、周りの人は多分普通に企業に就職してっていう人達がほとんどだったと思うんですが、その中でこういう道を選んだ理由ってなんですか?
江副:うーん。やってて楽しかった。苦じゃなかったところ。
あと、その時に出会えた子どもたちが、本当に慕ってくれたり、信頼されてるのがすごく分かったりとか。熱心に練習してみるみる上達しているのが分かったとか、っていう達成感もあったし、なんか変な自信もあったりして。若い時にありがちな(笑)
他の就職活動していないんですよ。ほとんど。企業のサッカースクールのコーチと、孤児院の指導員の2つしか受けてなくて。ひとつは試験会場わからずたどり着けなくて、ひとつは大遅刻っていう、本当やる気のない就職活動してた。
初めから決めちゃってて。俺はこれ(サッカー指導者)する!みたいな。
坂口:江副さんの親御さんから大学まで出たのに・・・、みたいな反対とかなかったんですか?
江副:いえ、親の反対はなかったんです。二人共今はもういないんですけど、死後、人に聞くとすごく心配はしてたらしいんですけど、面と向かって話した時はそんなことはなく、好きにすればいいと言ってくれましたね。
むしろ、親以外の、例えば大学の就職世話してくれる先生とか、友人とかの方が、心配や、本当に大丈夫なのみたいな感じのことはすごく言われました。
親から何にも言われなかったのは有り難かったです。
その3 SMCの仲間やったら同じ目線で話せる
坂口:SMCについてですが、受講中ってどうでしたか?
江副:実は僕、1期の時から行きたくて行きたくて仕方なかったんです。2004年にJヴィレッジのレクリエーションルームで、夜中、松澤先生とお会いしてるんですよ。僕がB級コーチの講習で行ってて。
坂口:1期の時に。
江副:松澤先生は資料のまとめをされてて。で、僕も専門の講習の勉強をしてたんですよね。あれ、SMCだ、と思って話しかけに行って、その場で資料コピーさせてくれみたいなこと言ったぐらい、興味がすごくあった。
でも、その頃は順番が回ってこず、何をやっているんやろう、いいよな、いいよなって思ってて、やっと行けるチャンスをもらえて。ずーっと行きたかったのでセッション1の時はワクワク感一杯で、やっと来れたっていう感じで行ったのを覚えています。
セッションが進んでいくにつれて、こう現実の壁があったりして、つらい時期があって。そこでも松澤先生にパッて助けてもらって…
僕、最初、プロダクト計画で思いっきりつまづいてるんですよ。それをメールでぱーってこんな風にしてみたらどうみたいなアドバイスを松澤先生にいただいて、そこから道開けていったみたいなところはあったんで。
坂口:迷いながらやってましたよね。
江副:はい。やってて最後のほうは、現実と書面の中のギャップに苦しんでました。
現実でRESCっていうクラブをやっていて、でも、自分の作っている計画書の中では、別のクラブがあって、そこのギャップに悩みました。やっているものをそのまま持っていけば良かったんですけど、違う選択をしてしまって。
実際そこで考えてたプロダクトの一つが現実化してきたりすると、そこでも、現実と計画書の中身がちょっと違うので、終盤は実はちょっと苦しかった。自分の中で苦しかったです。
実際やっている時は、何とか食らいついていっていた感じですね。
優秀な人ばっかりだったので、それに食らいついていくのに、一杯一杯やったんかなって今振り返れば。はい。
坂口:なるほど。でも僕から見た江副さんは、すごくバランス感覚いいし、こうやってRESCっていうクラブもやっていて現場もあるから、肌感覚で講座を理解していたと思います。
SMCで学んだこととか、そこで得たもので、今、活かされているものってあります?
江副:まず得たものは全国に散らばる仲間やと思うんですよね。今でも連絡取ったり、相談したりとかってありますし、自分のクラブ内では話せないこともSMCの仲間やったら同じ目線で話せたりとかっていうのはあるんで、それは、本当に財産になったなぁって。ネットワークっていうか人脈、仲間、そういうところは本当に感じますね。
坂口:うん、うん。
江副:講座の中でやったことで、マインドマップは何かを考える時には今でも使います。引き出しにいつもカラーペン入ってたりするんで。周りから見ると何遊んでんねん、みたいな感じですけど。
あとは、考え方が整理されたのは実感していて、何のためにこれをやるの、とかビジョンとかってあらゆるところで応用できる。
何のためにこのイベントやるの?とか。で、それ決まったら、じゃあどうやってやんの?とかってプロジェクトの考え方や進め方が整理できたので他のスタッフに明確に自分の考えを伝えられたり、アドバイスできたり、指摘できたり。
それは、すごく感じているところ。
例えば、このステークホルダーに対して何も配慮無いよな、じゃあどうするってことを考えられるようになったんで。
以前より視野も広がり、整理もできるようになったっていうところですね。
その4 得意なサッカーを外して、子どもに何ができるか
坂口:すぐの今後でもいいですし、もっと先の今後でもいいんですけど、今のお仕事の中でやっていきたいこと、教えてください。
江副:今後のテーマは三つあって。一つ目が本講座でもやってた芝生のことなんですよね。
子どもがもっと芝生の上で遊べる環境を何とか作り出したいなあってことと、もう一つは、街クラブのプロコーチの将来。
20代後半、30代に差し掛かるところで問題抱えているので、自分の中でもすごく大きなテーマとして捉えていて、その彼らがずっと頑張れる環境を、うちのスタッフだけでなく、業界全体でなんとかできたらいいなってこと。
で、最後は、一番得意なサッカーっていうツールを外して、子どもに何ができるかなってこと。僕にとってもチャレンジなんですけど。
そこに向かっていきたいなと思いますね、具体的に、じゃあ何をっていうのは、まだまだぼんやりなんですけど。子どもたちが抱えてる問題、多いと思うんですよね。
坂口:そうですね。
江副:教育であったり、親であったり、遊ぶ、スポーツ、色々あると思うんですけど、食べる物もそうです。そういったところでサッカー外してどんなことができるかなっていうこと。
少しチャレンジを始めていて、子ども夢基金に助成してもらって、リーダーズキャンプっていう名前で、一泊二日プログラムをやっています。これは、サッカー関係なく、女の子も来たりするんですけど、これをやってみるとたった一泊二日でも、往きと帰りの表情ぜんぜん変わってたり、子どもってやっぱりアンテナすごいなって。
そういうのを見ると、こういうプログラムを継続していくとこの子らハッピーなんかな、みたいな。単発じゃなくて継続的にやっていきたいなって思ってます。
坂口:芝生の環境づくり、街クラブのコーチための環境づくり、サッカー外して何ができるか。どれも日本の未来を変える魅力的なチャレンジですね。これからも仲間として応援させていただきたいです。
長時間ありがとうございました。
江副:ありがとうございました。
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