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チェンジメーカー 第17回 中村勉(なかむら・つとむ) 学校法人国際総合学園JAPANサッカーカレッジ副校長
2013年02月14日
Profile
中村 勉 / NAKAMURA Tsutomu さん
学校法人国際総合学園JAPANサッカーカレッジ 副校長
2011年度SMC本講座修了(8期生)
1972年12月新潟県生まれ。
新潟県立柏崎高校卒業後、文教大に進学。卒業後、地元新潟の専門学校グループ・NSGグループに就職。同グループのアップルスポーツカレッジで5年、本社の人事部で3年半、その後グループの派遣会社出向を経て、2003年7月にJAPANサッカーカレッジの事務局長となる。
その後、国際ペットワールド専門学校副校長を1年経験したのち、JAPANサッカーカレッジに副校長として就任し、6年目。新潟県下越地区サッカー協会事務局長。2012年より、日本女子サッカーリーグ理事、新潟県サッカー協会理事。
その1 本丸をどう動かしていくか
坂口:では、よろしくお願いします。
中村:よろしくお願いします!
坂口:まず簡単に、これまでの経緯と、今のお仕事についてお話ししていただけますか?
中村:この学校は2002年に設立されました。廃校になった中学校を活用しています。2003年に事務局長として配属されましたが、しばらくしてペットの専門学校に異動になりました。1年ほど副校長をしていましたが、5年前に、JAPANサッカーカレッジに再配属となりました。
今のメインの仕事は、JAPANサッカーカレッジ、専修学校の部門長っていうんでしょうかね、副校長という役職です。部門(学校)の責任者でそれ以外には、新潟県のここら辺の地域、下越地域ですね、新潟は上越、中越、下越と3つに分かれてるんですが、その下越地区のサッカー協会の事務局長も、ちょうど副校長になったタイミングの5年前からやらせていただいています。地元のサッカー協会の関係者とも仲良くさせていただいてます。
で、今年から女子チームがなでしこのプレナスチャレンジリーグに上がったので、そのリーグの理事と、新潟県サッカー協会の理事も、やらせていただいています。
坂口:多忙ですね!
中村さんが常勤の事実上の部門長。
中村:そうですね。そういう位置づけです。
坂口:お仕事内容としては、どういうことをやってらっしゃるんですか?
中村:ホント簡単に言うと、なんでも屋なんです。それこそ、一教員的な感じで生徒や学生に話や授業もしますし、いわゆる学生募集もします。
ちょうど一昨日は、高校生とぶどう園に行きました。今、聖籠町の方といっしょにぶどうを作っているんですね。そういった総合学習の授業に
いっしょについて行ったりとか、老人ホームに行って子どもたちといっしょにお年寄りと会話をしたりですとか、
授業もかじりながら、かたや学生募集の営業もかじりながら、メインは、学校の本丸をどう動かしていくかということになります。
中長期的なビジョンと短期的なビジョンを作って、実行に移します。これからが一番忙しい時期です。
(*この取材は2012年9月に行われました)
なんといっても、ちょうど9月15日から入学願書の受付が始まりまして、学生さんが何人来られるかによって次年度、またそれ以降5年の5カ年計画とか事業計画を作んなきゃいけないんです。そんな本部とのやり取りや折衝が大きいですね。
その2 2チームが同じ学校に通って競い合う
坂口:学校について、もう少し教えてください。
今、学生さん、生徒さんは何人ぐらいいらっしゃるんですか?
中村:高校生は女子もあわせて100人ぐらいですね
坂口:専門学校は3年制ですか? 2年制ですか?
中村:3年制も2年制も1年制も、4年制もありますね。全部あります。いろんな学科があって、指導者やレフェリーを目指すコース、プロ選手を目指すコース、女子サッカー、それからサッカービジネス、トレーナー。いま、卒業生が1,000人くらい出ています。
多くのSMCの関係者の方にもお世話になっています。レオーネ山口の住田くん(SMC本講座5期生)は1期生です。彼なんて、卒業生の中でもスーパースターです。おかげで山口県ともいいご縁を作らせてもらっています。
レオーネ出身の子たちも生徒として預かってます。住田くんたちが頑張って、全国レベルの子たちを育て上げるので、我々としては、ぜひそういう子たちに来てもらいたいということで、新潟に来てもらっています。
坂口:高校生もプリンスリーグでやってるから、レベル高いですよね。
SMC同期(8期生)でスタッフの今井三偉さんと
中村:そうですね。高校生は面白い仕組みなんですけど、うちの開志学園っていう高体連に所属するチームと、アルビレックスのユースの2チームが同じ学校に通って競い合っている。時にはクラスメート、ピッチ上ではライバルみたいな。そんな感じでやっていまして、非常にいい競争心を持ってやってくれてるのかなと。
今日のプリンスリーグでアルビレックスユースは星稜高校に勝って優勝しまして、うち(開志学園)は残留を決めました。そんな日でした。 笑
坂口:よかったですね!
中村:非常によかったです。高校生年代、それから専門学校生の年代、最近は女子サッカーと。いろんな意味でサッカーに携わる人たちが増えてきたんで、まぁ、少子化とは言われてますけども、すごくありがたいことにサッカー人口は増えてきているなと感じております。
その3 「学びクラブ」
坂口:昨年、SMCを受講されて、いかがでしたか?
中村:ひとことで言うと、刺激になりました。一番は人のつながりですね。いろんな方が受講されてて、いろんな考えがあって、いろんな成功している方いらっしゃって。この学校がちょうど10年目で、それから私が副校長をやって5年の、ちょうど節目でして。少しずつマンネリ化というか、そんな感じもあったんですよね。
そんな中で、SMCは、スタッフにビジョンとミッション、方向性を示す、そのいい題材になりました。私はいつも2月にやるのですが、まさしくSMCで勉強させてもらったというか、SMCの延長のような感じで、パワーポイントで作成してですね、ぼくらの次の10年はこうやっていこうじゃないかって話をしたんです。
いろんな意味ですごく刺激になって、考え方もすごく変わりました。このままでもいいんでしょうけど、このままではダメというか。私は、「継続は力なり、進化も力なり」ということをよくスタッフに言っています。進化していかないと変わらないよね、っていうことを常日頃から。進化するために、新しいプロジェクトとして、これからご説明する「学びクラブ」というのが、4月(2012年)からスタートしました。地域にこの学校施設を解放して行うプログラムです。
こんな廃校だったところにですね、今まで高校生から上しかいなかったところに、小さなお子さんから中学生くらいの子どもたちや、あと大人の部門もありまして、地元の大人の方がサッカーしに来る光景が見られるようになりました。廃校になった中学校に、そのOB、卒業生とそのお子さんが来てくれるようになったことが、私としてはとても嬉しいなと思ってます。もう、みなさん、母親、父親になっていて、「あっ、ここ懐かしい」「ここ、こうだったよね」とか言いながら、学校の中を見学されていますね。連れてきた子どもさんはサッカーして、お母さん方は学校見学している、そんな感じになりました。
坂口:毎日解放してるんですか?
中村:授業の絡みがあって、火曜日と金曜日をメインにやっています。あとは、単発で月1回追加したりとか、夏休みは10日間プログラムとか。延べで、どれくらいでしょうね、夏休みも入れると100人くらいは来ていただいているのかな。固定層は40人くらいなんですけども。
坂口:近隣の方たちが来るって感じですか?
中村:そうですね。この聖籠町と隣の新発田市あたりですかね。ちょっと遠いと胎内市までがぎりぎりですかね。ただ、人口があまりにも少ないので、子どもさんの数も多くはなく、ちょっと大変ではありますけど。
でも、この地域には、サッカー少年団はいっぱいあるんですけども、サッカー教室みたいなものはないので、そういった意味では、ちょっと一石を投じる感じになればいいかなと思ってやってます。
まだ女の子は少ないですね。女の子がもう少し増えてくれるといいんですけどね。
坂口:JAPANサッカーカレッジ自体の女子はどれくらいいらっしゃるんですか?
中村:3割くらい。プレナスチャレンジリーグで女子サッカー選手として活躍している学生、サッカービジネスを学んでいる学生、トレーナーを学んでいる学生を含めてだんだん女性の割合が増えてますね。去年、女の子も入りやすいように、女子寮を立ち上げました。そうしたら今は、女子寮がもう満杯なので、オーナーに増築のお願いのプレゼンをしようと思っているんですけどね。
でも、ホント、プレゼンテーションって、SMCで学んだことが活きますね。
坂口:そうですか。どんなところがですか?
中村:短時間での効果的なプレゼンテーションの大事さっていうのがすごく役立ちましたね。本当に重要なんだって実感しています。オーナーへのプレゼンで2分とか3分しか時間もらえないこともあるのですが、そんな時間の中で、こう、パッと見て、どれだけ印象に残すかっていうことになるので。
こういう現状で、今後こういう予測値があって、っていうのを論理立てて、いろんなデータを集計して、ポイントポイントを短く話しすると、じゃあ、わかった。いいよ。ってハンコ押してくださいます。だらだら話しても聞いてもらえませんね。
その4 次の夢
坂口:今後やっていきたいことについて、話していただけますか。
中村:今後…そうですね。先ほども触れた学びクラブという事業がスタートしました。今は、サッカーとチアリーダーをやっています。次の私の夢としては、そこで勉強をやらせたい。聖籠町含むこの辺の地域の学力を高めることのできる要素が充分にあります。学力はこの地域の課題のひとつでもあるんです。子どもたちの可能性が、スポーツや勉強でもっと広がればいいな、と思っています。それによって地域の魅力が増せばと。
坂口:昨年のSMCでの事業計画書の題材がこの「学びクラブ」でしたよね。たしか、JAPANサッカーカレッジの施設や教員を活用して、スポーツも勉強も、って計画でしたよね。勉強はまだ、始めてないんですか?
中村:はい、いろいろなハードルがあってですね、まだ始められていません。英会話でも、食育講座でも、何からでもいいから始めたいんですけどね。せっかく教室があるのにそこをうまく利用できていないなって感じていまして。まずは、我々の人材を活用してスポーツから始まったので、多くの親御さんからヒヤリングをしてみて、サッカー、スポーツとは違う要素として「勉強」をくっつけていければいいなと思っています。徐々に始めていきたいですね。これが次にやりたいことです。子どもから大人まですべてのカテゴリーを含んだクラブにすることが目標です。
坂口:近隣住民にとってこの学校の存在はすごく大きいと思うので、住民がここに来れるっていうのはすごく面白いですよね。
中村:そうですね。それで、ここにもう一度コミュニティが生まれて、親御さんたちのちょっとした安らぎの場とか、子どもたちだけでなく親御さんたちにも何か勉強してもらったり、運動してもらったりとか、そういうことができればいいなと。
最近、よく地域の方に怒られるんですよ。怒られるというか、ご指導いただくんです。学生のごみの捨て方が悪いとか。これは、すごくありがたいことですよね。ぼくら教員が見えていないところの情報を得られることは。ぼくらも四六時中、学生たちと付き合うわけにもいきませんから、地域の方が学生を叱ってくださるような、地域で学生を育てていただける環境っていうのは、いろんな意味でありがたい。
中村:逆にいうと、地域の方にもっと学校の中に入ってきてもらって、地域に開かれた学校みたいなものにしていかないとダメかなと。近隣の方は、この中学校のOBの方がほとんどですし。もう一度、この学校に足を運んでもらうための役割も学びクラブにはあります。さらにそのコミュニティが「地域のクラブ」に育っていけばいいな、と。
坂口:今後の展開を楽しみにしています。どうもありがとうございました!
中村:ありがとうございました。
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