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U-19日本代表 豪雨の中のトレーニング&内山篤団長がU-19年代を語る
2018年10月31日
インドネシアでの活動も15日目を迎えたU-19日本代表。前日しっかりとリフレッシュしたチームは30日(火)から準決勝・サウジアラビア戦に向けてトレーニングを再開しました。ここまで2週間、トレーニング中に雨に降られることはあっても始めるときから雨が降っているという状況はありませんでしたが、この日は開始前から土砂降りの雨。それでも持ち前の明るさを前面に出し、選手たちはピッチへと駆け出していきました。今朝、安部裕葵選手(鹿島アントラーズ)と藤本寛也選手(東京ヴェルディ)がチームを離れたため、21人でのトレーニングとなりました。
インドネシアとの準々決勝に出場した選手たちは、今日は軽めのトレーニングに終始。ランニングの後にストレッチ、体幹強化のトレーニングをして終了となりました。出場機会の無かった選手、プレータイムの短かった選手たちは雨が振り続ける中、ピッチでトレーニングを行いました。
雨のため、ピッチコンディションも滑りやすく、集中を欠いたプレーをすれば、怪我につながりかねません。トレーニングを行う選手の周りでは影山監督、秋葉コーチが絶えず声をかけ続け、選手たちの集中を鈍らせないように気を配っていました。普段と変わらぬトレーニングを豪雨の中でもしっかりとやり切り、トレーニングは終了となりました。
さて今回、団長としてチームに帯同する内山篤技術委員に話を伺いました。内山団長はここ3回(2014、2016、2018)連続してこのAFC U-19選手権に参加しています。2014年は鈴木政一監督を支えるコーチとして、2016年は自身がU-19日本代表監督として参加、5大会ぶりとなる世界大会への切符を獲得するとともに、このカテゴリー初となる優勝も勝ち取りました。そして今回はその知見と経験を基に、団長という立場からチームを支えています。
Q:U-19日本代表が2大会連続してFIFA U-20ワールドカップの出場権を獲得したことについて
A:影山監督と選手・スタッフが一体感を持って戦ってくれました。ただ、そうは言っても、出場権を獲得するということは簡単ではありません。それを勝ち取ったということは素晴らしい成果だと思います。
Q:3度続けてこの大会に参加して、今大会をどのように感じたか
A:2014年までこの大会は中1日で試合が行われていました。それが2016年からは中2日で行われるようになり、コンディションを整える、自己管理をする、という日本が以前から育成年代からしっかりとやってきたもの、積み上げてきたものを活かし、総合力という形で発揮しやすくなったと感じます。今回もコンディショニングコーチの帯同、さらにこの部分は今回サポートを厚くしましたが、過酷な戦いの中でしっかり調整をしてくれたと思います。勿論こうしたサポートを整えても、選手たちが意識していなければ効果はありません。そうした部分でも選手たちの意識もより高いものになってきたと感じています。
またテクニカルな部分においても、中2日となって選手たちへのアプローチは中1日に比べるとやりやすくなったと思います。日本としては総合力をより発揮しやすい環境になったと感じます。
2014年の大会まで日本は4大会連続で世界大会の切符をかけた準々決勝で敗れてきました。それを「勝負弱い」というだけで片付ける問題ではありませんでした。そこであらゆる面で細部にこだわって、選手たちが持っている力をいかに発揮させるか。「選手自身が自分のパフォーマンスをどれだけ試合で表現できるか」というアプローチをやり続けてきました。その中で組織力も「より緻密さを求める」という部分を突き詰めていくと、先程挙げたコンディションの部分も含め、様々な分野で細部を詰めていく作業を行ってきました。
そして日本人は集団で意思統一というものができるので、チームにテーマを提示して進むべき方向性を共有する。そうして結果が出して、自信がつけていくことで良い循環になっていくと思います。
Q:この世代の選手たちに身につけてほしいものは
A:選手たちは将来SAMURAI BLUEのメンバーになることを目標としています。SAMURAI BLUEのメンバーになるというのは険しい道のりです。テクニック、メンタル、フィジカルなど総合的なものがバランスよく高い基準で求められますし、さらにスペシャルな特長を持たなければ難しい。そしてその自分の武器、特長をいかにチームの中で表現するかという判断力、インテリジェンスが求められます。
ベースとなるサッカーの部分のクオリティは当然必要になります。それなくして特長は活きません。いかにそういうことを意識して普段からサッカーに取り組めるか。そして競争の中でそれを磨いていくことが必要です。
もうひとつは監督の求めるものを理解し、プレーで表せるということ。より柔軟にサッカーを表現できること。ステージが上がっていく中で、監督も変わります。その時々の監督に求められたものを表現できるだけの素地をしっかりと育成年代で身につけて、上のステージへ進まないといけません。
Q: FIFA U-20ワールドカップで勝つためにこれからやるべきことは
A:影山監督もこの大会でも発信し続けていますが、ゲームコントロールの部分、世界に行くとより一層求められます。自分たちが主導権を握っている時間、相手の時間、残り時間、点差、様々な条件、状況の中でプレーを変えていかなくてはいけない。ゲームコントロールと言うのは簡単ですが、この年代で完全に習得できるものではないかもしれません。サッカーの局面は絶えず変化していて、同じ局面は二度とありません。そして本当にたった1プレーで状況は変わりうる。それは上のステージへ行けば行くほど。そうした試合の流れの中でプレーを選択していく。そういうものを世界の物差しの中で、肌で感じて身につけていく。それはやらないと分からない部分でもあります。ただそのときの意識の持ち方で習得度は全然変わってきます。まったく考えないでプレーするか、考えながらプレーするかで経験値は変わってくる。もちろん国内での試合においても得られます。影山監督も絶えずそういうアプローチをしていますが、自クラブに戻っても意識してプレーするだけで得られるものはあります。
これからU-20ワールドカップ、オリンピック、そしてワールドカップと上を目指していく中でより求められるものになるので、絶えず意識しながらプレーし、選手としてもチームとしても、より成熟した上でワールドカップに臨んでもらいたいと思います。
選手コメント
DF #3 小林友希 選手(ヴィッセル神戸U-18)
インドネシア戦は完全にアウェイの雰囲気になりましたが、あのような雰囲気の中でプレーをすることはなかなか経験できないですし、自分たちにとっても素晴らしい経験になりました。途中から豪雨になりセンターバックとしてはボールの処理が難しい場面もありましたが、勝つためにみんなで声をかけ合い、助け合ってプレーできたので、無失点で終えることができました。FIFA U-20ワールドカップの出場権も獲得でき、チームは良い雰囲気です。だからといって、緩むことも無く、優勝という目標に向けてさらに気を引き締めています。(チームを離脱した)2人からは「チームが優勝することを信じている」という言葉をもらったので、2人のためにも優勝できるように頑張りたいです。このチームの一体感は強みだと思います。ピッチ内での複数の選手が絡むコンビネーションもそうですし、ピッチ外でも互いにコミュニケーションを取って、毎試合改善しながら前に進めていると感じています。これからも続けていきたいです。昨日サウジアラビア対オーストラリアの準々決勝を見て、サウジアラビアはスピードのある選手が多いという印象を持ちました。そこはリスク管理を徹底して行い、カウンターや相手の特長を出させないようにすることと、1対1の局面でも粘り強く戦って、簡単にシュートを打たせないことが大事だと思います。また勝っているときに最終ラインが下がってしまい、間延びしてしまうときがあるので、次の試合ではしっかりと勇気を持ってラインを上げて、コンパクトに陣形を保つ。良い形でゲームコントロールをしていきたいと思います。
DF #17 石原広教 選手(湘南ベルマーレ)
1つ目の目標であったFIFA U-20ワールドカップの出場権を獲得できたことに対する喜びは大きいです。次の目標である優勝に向けて、さらに一体となってきているので、1戦1戦目の前の試合に集中して臨んでいくだけです。(離脱した)2人からは強い言葉をもらったので、2人のためにもチーム全員で勝ち取りたいと思います。インドネシア戦は試合に出た選手たちは出ていない選手たちの分まで本当に戦ってくれたと思います。難しい試合でしたが、その試合で勝てたというのは経験という面でも大きな収穫だったと思います。サウジアラビアはサイドで個の力で局面を打開する、スピードのある選手がいるので、そこをどう対応するのかが大事になってくると思います。出る出ないにかかわらず、チームに貢献するために自分が何ができるのかということを常に考えながら準備をしていきたいです。
FW #20 宮代大聖 選手(川崎フロンターレU-18)
チームは今、良い雰囲気です。次の目標である「優勝」に向かってチーム全体としていい準備ができていると思います。インドネシアとの準々決勝はチーム全員の力で勝利を掴み取るとみんなで話していました。先発の11人だけでなく、サブのみんなも全員で戦って、絶対に勝つという強い気持ちで試合に臨めたことが勝利につながったと思います。ゴール前で落ち着いてプレーできていること、(最終ラインの)背後のスペースを突くこと、前でボールをキープして時間を作るということが自分の武器だと思っていますが、それをピッチで表現できているので、ここまで結果を残せていると思います。守備面でも前線からしっかりボールを追ってチームに貢献していきたいです。サウジアラビア戦は難しい試合になると思いますが、チーム全体で戦い方を共有して、最高の準備をして臨みたいと思います。
スケジュール
AFC U-19選手権インドネシア2018 | ||
---|---|---|
10月19日(金) | 5-2 | グループステージ第1戦 vs.U-19朝鮮民主主義人民共和国代表 @Pakansari Stadium |
10月20日(土) | AM | トレーニング |
10月21日(日) | PM | トレーニング |
10月22日(月) | 3-1 | グループステージ第2戦 vs.U-19タイ代表 @Pakansari Stadium |
10月23日(火) | AM | トレーニング |
10月24日(水) | PM | トレーニング |
10月25日(木) | 5-0 | グループステージ第3戦 vs.U-19イラク代表 @Pakansari Stadium |
10月26日(金) | PM | トレーニング |
10月27日(土) | PM | トレーニング |
10月28日(日) | 2-0 | 準々決勝 vs.U-19インドネシア代表 @Gelora Bung Karno Stadium |
10月29日(月) | TBC | トレーニング |
10月30日(火) | TBC | トレーニング |
10月31日(水) | TBC | トレーニング |
11月1日(木) | 19:30 | 準決勝 vs.U-19サウジアラビア代表 @Gelora Bung Karno Stadium |
11月2日(金) | TBC | トレーニング |
11月3日(土) | TBC | トレーニング |
11月4日(日) | 19:30 | 決勝(@Gelora Bung Karno Stadium) |
※時間は全て現地時間となります。
※スケジュールは、チームのコンディションや天候等により急きょ変更する場合があります。
AFC U-19選手権インドネシア2018
[上位4位以内でFIFA U-20 ワールドカップ ポーランド 2019への出場権獲得]
大会期間:2018年10月18日(木)~11月4日(日)
次戦:準決勝 11月1日(木) 19:30 (日本時間 21:30) vs サウジアラビア
TV放送:CSテレ朝チャンネル2で日本戦を生中継(予定)
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