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[特集]サッカーが好きだから生涯現役 ~今からでもうまくなる 一緒にサッカーを楽しみましょう 金田喜稔JFAシニアサッカーアンバサダー インタビュー 後編
2022年03月02日
日本サッカー協会(JFA)は今年9月、生涯スポーツとしてのシニアサッカーをさらに普及し、発展させていくことを目的に「JFAシニアサッカーアンバサダー」を新設した。初代アンバサダーに就任した金田喜稔氏にシニアサッカーの楽しみ方や今後の展望について話を聞いた。
○オンライン取材日:2021年11月11日
※本記事はJFAnews2021年12月に掲載されたものです
サッカー界から離れず とどまれる仕組みを
――金田さんは今年9月にJFAシニアサッカーアンバサダーに就任され、11月にはJFA 第9回全日本O-40サッカー大会を視察されました。
金田 全国の代表チームが集まる大会なのでレベルが高く、激しいゲームが展開されていました。試合以外でも素晴らしい光景を目にしました。準決勝の試合後、負けたチームが勝ったチームに「試合中に文句を言い過ぎました、すみませんでした。決勝も頑張ってください」と言っていたんです。負けても勝者に敬意を払い、たたえる振る舞いができる選手のことをグッドルーザーと言いますが、こういう態度や行動をチームの地元でも続けてもらい、子どもたちの手本になってほしいと思います。
――JFAのシニア選手登録数も増えています。今後ますますシニアサッカーが盛んになっていく中で、シニアサッカーが日本サッカー界にどのような影響を与えると考えますか。
金田 サッカー界はこれまで裾野を広げる努力をしてきました。広い裾野から中学、高校、大学と競争していって、トップ・オブ・トップがプロになります。その中のわずか数人が日本代表になる。日本代表を強化していくためには、底辺の裾野を広げて二等辺三角形をどんどん大きくしていく必要があります。でも、同じように大事なことは、広がった裾野を支える人たちがいかにサッカー界から離れず、とどまれる仕組みをつくれるかということ。今は、頂点の部分が鋭角の二等辺三角形だとしても、広がった裾野から出る2辺を直角の方向に向けて台形にするといったことも大事なことですし、これから求められていくことだと思います。サッカーが続けられれば、JFAが開催する大会やイベントにも参加したいと思うようになるはずですから、登録者数もさらに増えていくのではないでしょうか。
――シニアサッカーに携わるようになって新たに見えてきたものや感じたことはありますか。
金田 新型コロナウイルスだけでなく、いろいろなウイルスに対抗できる体づくりが重要です。人間は、基礎体温が上がれば免疫力も向上すると言われています。基礎体温の大本になるのは筋肉量です。体全体の約7割の筋肉は下半身に集まっていますから、走ったりボールを蹴ったりするサッカーを継続的に行えば、筋肉がつきやすくなります。マスクや消毒も大事ですが、食事や運動で免疫力を上げることも大切です。そのためにも、サッカーを楽しみたい、うまくなりたいという人たちに対して入口を広くし、誰でも参加しやすい環境をつくることが大切だと思います。やらなきゃいけないという義務感を持ってしまうと長く続けられませんので、やはり楽しめて、一度離れてもまたすぐに戻れる環境がなくてはならないと思います。
――シニアサッカーアンバサダーという立場で、今後どのようなことをやっていきたいと考えていますか。
金田 JFAは現在、O-40からO-70まで四つのカテゴリーでシニアの全国大会を開催していて、いずれもアマチュアの年代別トップを決める大会です。当然、出場している選手のレベルも高い。ただ、レベルが高いが故に、その選手たちが年齢やカテゴリーが上がってもそのまま全国大会に出続けることになるんです。ですから、それより少し下の競技レベルの人や、シニア世代になって再開した人や初心者も参加できるカテゴリーの全国大会をつくれたらと考えています。
また、日本代表のOB・OGを全国に派遣して指導に当たってもらったり、自身の経験を伝えたり、一緒に試合をしたりしたいですね、大人を相手に。子どもだけでなく、大人の裾野も広げていきたい。田嶋(幸三)会長は同学年で旧知の仲ですので、こういったことをざっくばらんに話しています。
――最後に、シニア世代の選手や関係者にメッセージをお願いします。
金田 今からでもうまくなれる、ということを発信し続けたいと思います。少しでもうまくなって良いプレーがしたい、シュートを決めたい、相手からボールを奪いたい、そういうモチベーションを持ち続けてください。それが結果的にサッカーを楽しむこと、生涯スポーツとして続けられること、免疫力の向上、健康寿命の促進などいろいろなことにつながっていきます。そういう信念を持って、一緒にサッカーを楽しんでいきましょう。
プロフィール
金田喜稔 JFAシニアアドバイザー
1958年、広島県生まれ。中央大学2年時に日本代表に選出。大学卒業後は、日産自動車株式会社サッカー部(横浜F・マリノスの前身)でプレー。日本代表ではペレ、フランツ・ベッケンバウアー、ディエゴ・マラドーナ、ヨハン・クライフなど世界のスタープレーヤーと対戦した経歴を持つ。国際Aマッチ58試合出場。選手引退後は、サッカー教室を開催したり、解説者を務めるなど、サッカーの指導・普及活動にあたる。
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