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【JFAの知っトク!】気軽に指導方法を学ぼう~木村康彦JFA指導者養成ダイレクターインタビュー

2024年04月26日

【JFAの知っトク!】気軽に指導方法を学ぼう~木村康彦JFA指導者養成ダイレクターインタビュー

より取得しやすいライセンスへ D級コーチ養成講習会のカリキュラムを改訂

指導者の入り口となるD級コーチライセンス。2024年度に講習会のカリキュラムが改訂され、より取得しやすいライセンスへと生まれ変わりました。D級コーチライセンスの目的や講習会の内容について、木村康彦JFA指導者養成ダイレクターに話を聞きました。

※このインタビューは2024年4月15日に実施しました。

基本的な知識を理解し、選手に良い関わりをしていくために

――D級コーチライセンスで目指していることを教えてください。

木村 指導者として一番大切なことは、選手たちが安心・安全にプレーできる環境を用意してあげること。そしてサッカーの楽しさを伝え、その上達や成長を最大限サポートすることが求められます。そういう意味で、指導の基本的な知識を理解し、選手に良い関わりをしていくための方法を知る、まさに指導者の入り口のライセンスと言えます。

指導者養成講習会の詳細は下記参照
https://www.jfa.jp/coach/official/training.html

――今年度からD級コーチ養成講習会の内容を改訂しました。

木村 これまでは、指導の基礎を身に付けるC級コーチ養成講習会のカリキュラムの中からいくつかピックアップし、2日間で開催していました。それが今回の改訂で、「これだけは最低限、誰もが身に付けてほしい」「こうしたアプローチを選手にしてほしい」という指導者として大切な部分に絞り、基本的に1日で取得できるコースとしました。

「ライセンスを取得しやすい形に変更した」と話す木村ダイレクター

――1日で完結となると、かなり取得しやすい印象です。

木村 そうですね。まずは参加しやすい環境をつくり、講習会に来ていただいて、楽しいと感じてもらう。そこから、もっと学んでみたいと思ってもらうことで、上位ライセンスへとつなげていければと考えています。

基本的に47都道府県サッカー協会(FA)が主催し、全国各地で開催されています。通常は1日ですが、例えばキッズ関連の方が集まる際、キッズリーダー養成講習会を併せて実施するなど、カスタマイズも推奨しています。各地の状況や特性に合わせ、日程調整も含めてフレキシブルに対応しながら、参加してもらいやすいコースづくりを進めています。

講習会の基本スケジュール。1日でライセンス取得が可能となる

ポイントを2つに絞り、ディスカッション中心のスタイルに

――講習会はどういった内容なのでしょうか。

木村 最初のガイダンスで、日本サッカー協会(JFA)の理念や取り組みを共有した後、「オープンマインド(開かれた心/多様な考えや意見に耳を傾け、他者を理解し、受け入れようとする意欲)」の姿勢で臨むことの重要性を伝えています。

冒頭、「どのような指導者になりたいですか?そのために何を学びたいと思っていますか?」の問いから始まります。これまで講習会といえば、「先生と生徒」のような関係で進んでいましたが、講師となる「チューター」と参加者、参加者同士の双方向で学び合えるように、ディスカッションを多くしています。

――どうしても専門的で、ハードルが高いと認識されている方も多いと思います。

木村 サッカー経験はなくても、子どもがサッカーを始めたことをきっかけにライセンスを取得しに来る方、いわゆるお父さんやお母さんコーチが参加したり、受講年齢を引き下げたことで高校生が参加したり、幅広い層が受けに来るケースが想定されます。ただ、皆さんそれぞれで、例えば子どもを育てる経験、勤務先で部下に教える経験、チームや組織を引っ張る経験などを積んでいます。講習会でそれらを共有して学び合うことで、経験者・未経験者を問わず、全員にとって有意義な場になると思っています。

講習会では、ディスカッションを多くし、参加者それぞれの経験をシェアすることを目指している

――講習会でのポイントを具体的に挙げるとすれば。

木村 講義と実技の柱として、大きく2つのポイントに絞っています。1つはセーフガーディング。安心・安全なサッカー環境をつくるための知識の習得ですね。そしてもう1つはスモールサイドゲームです。オーガナイズ(場の設定、ルールなど)によってプレーが変わったり、使うテクニックが変わったり、選手が考えることも変化しますから。それを実際に体験しながら身に付けようとしています。

――セーフガーディングはどういったことを学ぶのでしょうか。

木村 ワークショップ形式で、例えば、「トレーニング中にやる気が感じられない、ミスばかりする選手に対して、トレーニングを止めて帰るように指示をした」といった事例を掲示し、それに対して参加者でディスカッションをします。これは問題のない行動なのか、あるいは完全にアウトなのか。日常で起こり得るいくつかの事例を基に、皆さんで話し合う中で、どう対応するのかを理解していく流れをつくっています。

セーフガーディングの詳細は下記参照
https://www.jfa.jp/respect/safe_guarding.html

――サッカーだけに限らず、人と接する部分にフォーカスしているわけですね。

木村 そうですね。最近のサッカーの戦術がどういうものだとか、こういうテクニックを身に付けてもらおうということも大切ですが、それ以前に、選手たちが笑顔でサッカーを楽しむことが一番大事ですから。選手たちにはその権利があり、それを守るような環境を指導者はつくらないといけません。

講習会の学びをサポートするテキスト「JFAサッカー指導教本2024 D級コーチ」

まずは来てみて、講習会を楽しんでほしい

――実技のスモールサイドゲームについてはどういった狙いがありますか。

木村 何だかんだで、選手たちはゲームをしているときが一番楽しいと思います。では、どうすれば楽しいゲームを行うことができるのか。ピッチサイズや人数など、設定を変えることによって、選手それぞれに学びがあることを、指導者にしっかりと伝えていきたい。サッカーを教えるとか、コーチングをするというよりは、場を設定してあげることで、選手たちが自ら学べるようにするというイメージですね。

――講習会を担当するチューターに意識してもらっていることは。

木村 初めて参加するのがこの講習会というケースも多いと思います。「どんなところなんだろう」「厳しい場所なのかな、試験とかあって大変なのかな」とイメージされている方、そのイメージを持って参加する方がいるかもしれませんので、「とにかく楽しく」を心掛けてもらっています。まずは参加者に楽しいと思ってもらう、その中で気付きや学びを得てもらう機会にしたい。そして、いろいろな方と知識を分かち合ってもらいたいと思っています。

――最後に、参加してみようと思っている方へ、メッセージをお願いします。

木村 間違いなく楽しい場なので、まずは一度、参加してみてください。いろいろな方と知り合って学べる場ですし、何か心配事があっても、皆さんに寄り添ってくれるチューターがそこにいます。

D級を取得する指導者というのは、子どもたちにとって初めて出会う指導者であることも多いでしょうし、グラスルーツの取り組みにおいて重要な存在だと思っています。われわれとしても、いずれはピッチに立つ指導者が全員、ライセンス保有者となることを目指しています。生活圏内で講習会に参加できる環境をつくるのが役割だと思いますので、今後もより良い形を模索していきたいと思います。

講習会を受講するまでの流れは下記参照
https://www.jfa.jp/coach/official/howto_
trainingcourses.html

さまざまなバックグラウンドを持った人が集まり、和気あいあいと講習会が進んでいく

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