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【ホットピ!~HotTopic~】あらためて考える「大切に思うこと」

2025年09月01日

【ホットピ!~HotTopic~】あらためて考える「大切に思うこと」

日本サッカー協会(JFA)では9月を「JFAリスペクト・フェアプレーデイズ」と定め、サッカーファミリー全員がリスペクトやフェアプレーについてあらためて考える期間としています。リスペクトの考え方やその取り組みについて、今井純子JFAリスペクト委員長からのメッセージをお送りします。

世界に誇れるフェアプレー賞の獲得

「リスペクト」はとてもシンプルな言葉で、誰もが聞いたことがあると思います。直訳すれば「尊敬」「敬意」などになりますが、2008年にJリーグと共に立ち上げたリスペクトプロジェクトでは、「大切に思うこと」という言葉で表しています。

プロジェクトを始動するにあたり、対象や本質を考察するためにしっかりと議論し、「大切に思うこと」については、サッカーに関わる全ての人やものを大切にしようという願いが込められています。あらゆる人やものをリスペクトし、また感謝し、大切に思う気持ちを分かち合うこと。これはまさにフェアプレーの原点でもあると認識しています。

RESPECT~大切に思うこと~コンセプト映像

プロジェクトを創設した当初、「日本にはもともと十分にあるので必要ないのでは」と諸外国から言われることもありました。その背景には、「フェアプレー賞」の獲得があります。

国際サッカー連盟(FIFA)では、1968年の第19回オリンピック競技大会(1968/メキシコシティー)以降、主催大会を中心にフェアプレー賞を設けていますが、同オリンピックで銅メダルを獲得した日本代表が、第1回のフェアプレー賞を受賞。以降、それは日本の代名詞ともなっていきました。

とはいえ、日本は1998年のFIFAワールドカップに初出場するまでアジアの戦いすら勝ち抜くことができず、「フェアプレー賞コレクター」と揶揄されることもあったようです。当時は「フェアになんかプレーしていたら勝てない」「ずる賢いくらいでないと勝てない」という考え方もあったでしょう。しかしフェアプレーは、“日本サッカーの父”と称されるデットマール・クラマーさんからの指導にもあった非常に重要な価値観です。


世界大会で獲得したフェアプレートロフィーを持つ今井委員長。
「全国の日常のサッカーの中でフェアプレーが大事にされ、表現されているからこそ」と話す

フェアプレーと勝利は両立できる

そうした中、2011年のFIFA女子ワールドカップにおいて、なでしこジャパン(日本女子代表)が初優勝を果たすとともにフェアプレー賞を獲得。その後、U-17・U-20日本女子代表も年代別の女子ワールドカップで優勝を成し遂げ、女子の全カテゴリーの世界大会を初めて制した国となりました。そして全ての大会でフェアプレー賞にも輝きました。

これは日本サッカー界の誇りだと思います。なぜなら、フェアプレーと勝利はトレードオフ(両立できない関係性)ではなく、両立できるものであると、選手たちが証明してくれたからです。


FIFA女子ワールドカップで優勝を果たし、フェアプレー賞も受賞したなでしこジャパン。
「フェアに戦って勝つというのが一番強いと思う」と今井委員長は語る

さらに大事なポイントとして、選手たちにとってフェアプレーは「当たり前のこと」であった点が挙げられます。

フェアプレー賞自体はさまざまな指標があり、ファウルやイエローカードなどネガティブな要素の少なさと同時に、選手たちのサッカーに向かう姿勢、あらゆることや人に誠実に向き合う姿などポジティブな要素を含めて評価されるのですが、決して「狙って取りに行っている」わけではありません。それまでの積み上げをピッチ内外で示したことにより、結果的に獲得できたものです。

選手たちが当たり前のように表現できたのは、幼少から選手を育ててきた指導者の方々、学校の先生方、サッカー関係者、そしてご家族の関わりの賜物(たまもの)です。全国の皆さんと一緒に獲得している賞であり、皆さんと分かち合うべきものだと認識しています。

もちろん女子に限った話ではなく、男子も含めた日本のこうした姿勢が世界のサッカー界でも高く評価されています。ファン・サポーターのスタンドでのごみ拾いや、チームがロッカーをきれいにして帰ることなども、まさにリスペクト・フェアプレーを体現しており、世界中から一目置かれているのは間違いありません。先日のFIFAクラブワールドカップ2025でもジャンニ・インファンティーノFIFA会長からも言及がありました。


女子の世界大会では「現地の観衆や大会関係者など周りから愛され、応援されるチームになっている」と今井委員長。
また「誰を招集してもチームとしてフェアプレーを体現できる」と話す(写真はFIFA U-20女子ワールドカップコロンビア2024)

浸透しているリスペクト精神

リスペクトプロジェクトとして、さまざまな活動を行ってきた結果、フェアプレーやリスペクト精神は確実に広がっていると感じています。

例えば、JFA U-18女子サッカーファイナルズでは、事前にキャプテンズミーティングを実施し、チームのキャプテンによるリスペクト宣言も行っていますが、多くのキャプテンが自分の言葉で、しっかりと宣言をしてくれています。


キャプテンズミーティングでフェアプレー賞の意味なども共有することで、
「リスペクト宣言は高校生が一生懸命考え、立派なスピーチをしてくれる」と今井委員長

また、U-12年代ではフェアプレーやリスペクトのある行動をたたえるための「グリーンカード」を導入していますが、活用される場面を多々目にします。合わせてリスペクトワークショップも実施し、子どもたちに伝え、考えてもらうことも、浸透してきている印象です。


U-12年代ではグリーンカードが導入されている。
今井委員長は「良かったことを褒める、ポジティブなものをしっかりと評価し、伝えていく意味で大事な取り組み」と言う

一方で、暴力・暴言の根絶に関しては胸を張れる状況ではありません。誰もが「問題がある、変えなくてはいけない」と思っているにもかかわらず、JFAの暴力等根絶相談窓口に上がってくる件数はまだまだ多いのが現状です。こうした窓口への相談に至る前に、暴力・暴言を「しない、させない、許さない」をキーワードに取り組むことが重要だと考えています。

2015年から開始したウェルフェアオフィサー制度を活用しながら、早い段階で気付く人、「これはおかしい」と思う人が多くいて、それを伝えられるような環境を創出し、その環境を全国の隅々まで広げていければと考えています。

リスペクトの精神を前提に、全員の役割と認識し、関わる人々が認識を高め、ポジティブに向き合い、日々行動することで変化が起きていくと思います。セーフガーディングを掲げて啓発も続けていきますので、引き続きご協力よろしくお願いします。


子どもたちや選手たちがサッカーを安心安全に楽しむことができる環境を目指していく

関わる全ての人がリスペクトを考える1カ月間に

9月1日からの1カ月間はリスペクト・フェアプレー月間ですので、今年も「JFAリスペクト・フェアプレーデイズ2025」を開催します。年に1回、リスペクトについて振り返り、この意味を考え、言葉にしていこうとの思いで開催しています。

リスペクト・フェアプレー宣言やリスペクト旗の掲揚、シンポジウムやリスペクトアウォーズ、パブリックコメントの実施などさまざまな取り組みを行っていきますので、サッカーファミリーの皆さんも含め、多くの人が「リスペクト」にあらためて向き合う機会にしていただければと思います。そしてリスペクトの価値観をさらに広げ、深めていきましょう!


「リスペクトは日常にあるもの」と今井委員長。
JFAリスペクト・フェアプレーデイズを通じて、それを今一度考える・認識する機会にしていく

リスペクトについての詳細は下記参照
https://www.jfa.jp/respect/

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