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【ホットピ!~HotTopic~】日本サッカーの新たな未来に向けて~宮本恒靖JFA会長
2024年05月22日
この国でサッカーをもっと大きな存在にするために
3月23日、日本サッカー協会(JFA)の第15代会長に就任した宮本恒靖会長に、日本サッカーへの思いや抱負を聞きました。
※このインタビューは2024年4月25日に実施しました。
サッカーへの変わらない思い
もっと日本にサッカーを根付かせたい
――3月23日にJFA会長に就任され、あらためて会長というお立場をどう受け止めてらっしゃいますか。
宮本 いろいろなことを把握して決断しなければならない立場にありますので、その責任の大きさをあらためて感じていますし、身の引き締まる思いです。ただ、会長と呼ばれることがあまり好きではなくて、JFAの皆さんにもあまり会長って呼ばないで、と伝えているんです(笑)。それぞれ立場や役割が異なったとしても、サッカーに対する思いや目指そうとしているところは同じ。JFAの皆さん、そしてサッカーファミリーの皆さんとの垣根はつくらず、フラットでオープンな関係を築いていきたいと考えています。
――日本サッカーという大きなものを動かしていく上で、大切にしたい信念やポリシーはありますか。
宮本 自分自身の軸にあるのは、「この国においてサッカーをもっと大きな存在にしたい」ということです。JFA会長に立候補した大きな理由も、この言葉を実現させたいと思ったからです。
――2012年7月、引退試合のセレモニーで語られていた言葉です。そう思われるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
宮本 選手時代も指導者時代もいろいろな場面で思ってきましたが、思いを強くしたのは2002年のFIFAワールドカップですね。私自身、日本代表としてピッチに立ち、特にロシア戦でワールドカップ初勝利を挙げたときにピッチから見たスタジアムの光景は、今でも忘れられません。たくさんの人々が一緒に喜んでくれて、涙を流してくれて、大きな声援を送ってくれて、文字通りスタジアムが沸き起こっているあの光景。スタジアムだけでなく、街中でも日本代表のユニフォームを着た多くの人たちがハイタッチをして喜んでくれている。ワールドカップという一大イベントが、普段はサッカーを見ないような人たちをも巻き込み、日本中が沸き立っているその様子を見たとき、「この光景が当たり前にある日本にしたいな」と思いました。
2002年に日本と韓国で開催されたFIFAワールドカップ。サッカーの持つ力の大きさを肌で感じた大会だった
――まさにサッカーの力を体感されたと。
宮本 そうです。サッカーには、人々を熱狂させたり、喜ばせたり、勇気づけたり、人と人をつなぐといった大きな力があります。そうしたサッカーの持つ力は、社会においても大きな価値があると思うんですね。
FIFAマスター(※)では、民族間の紛争が起こっている地域で、サッカーというスポーツを通じて子どもたちが学ぶことで民族融和と多民族共栄を図れないかという研究をしていました。そうやっていろいろと見て学ぶ中でも社会で必要とされるサッカーの価値は強く感じてきたところです。
※FIFAマスター:国際サッカー連盟(FIFA)と国際スポーツ研究機関(CIES)が主宰する修士課程。国際的なスポーツ機関で働く人材養成を目的に2000年に開設。
みんなで目指す世界をつくっていきたい
――今回の役員改選を見据えてJFAの組織改革も行われました。理事会は「監視・監督」と「政策形成(ポリシーメイキング)」を行う場となり、業務執行権は技術委員会、女子委員会、審判委員会の委員長、もしくは事務総長に委譲されます。これに伴い、理事の人数は27名から15名に大幅縮小となりました。
宮本 理事には、フットボールをはじめとして、事業戦略やマーケティング、マネジメント、ガバナンスといった領域で専門性や経験を生かしてもらいたい方々を選任しました。理事会の規模もかなりコンパクトになりましたので、皆さんにはそれぞれの強みや知見を持ち寄っていただき、より有意義で建設的な議論ができる会議体にしたいと思っています。各種委員会や地域・都道府県サッカー協会とも連携しながら組織を機能させ、みんなで日本サッカーをより良くしていけるよう進めていきます。
サッカーが人々に夢や希望、勇気をもたらし得る存在であり続けるためには、
日本代表チームが強く魅力的な存在であることが欠かせない
――日本サッカーの継続した発展には、強化、育成、普及などあらゆる事業を推し進めていく必要があります。優先事項としてはいかがでしょうか。
宮本 もう、これはほんとに全てです(笑)。全てのことを推し進めていかなければなりません。その上で大事にしていることが二つあります。一つは「JFA2005年宣言」の実現を目指すということ、もう一つは「強い代表チームであり続ける」ということです。
2005年宣言にある「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」というJFAの理念は、全ての事業に通じるものです。この理念の実現を目指すことが、私自身の信念である「この国においてサッカーをもっと大きな存在にしたい」を実現することにもつながると思っています。そして、SAMURAI BLUE(日本代表)はワールドカップで過去最高順位を、なでしこジャパン(日本女子代表)では再び世界一になることを目指します。そのためにも育成年代からの継続した強化や指導者養成、そして普及事業といった全ての分野を充実させていくことが欠かせません。
老若男女問わず、誰もがそれぞれの関わり方でサッカーを楽しむことのできる環境づくりを目指していく
――最後にサッカーファミリーにメッセージをお願いします。
宮本 Japan’s Wayでは、世界一サッカーで幸せな国になることを目指しています。そのためには、「競技としてのサッカー」と「参加する、楽しむサッカー」の二つのピラミッドを充実させることが重要です。皆さんがもっとサッカーを自由に楽しめる世界をつくっていきたい。サッカーがもっともっと大きなものになっている世界を、日本でつくっていきたい。本気でそう思っています。これは決して自分一人でできることではありません。皆さんと一緒になって、そういう世界を、そして新しい時代をつくっていきたいと思っています。
「サッカーの力を信じているからこそ、その価値を日本の社会やスポーツ界、
サッカー界で存分に発揮させられるように取り組んでいきたい」と宮本会長(写真は3月23日の就任会見より)
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