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[特集]海外で活躍する女子サッカー選手 永里優季選手(はやぶさイレブン) インタビュー
2020年10月17日
WEリーグ開幕を来秋に控える日本女子サッカー界。海外で活躍する女子選手に海外の環境面や近況についてインタビューを実施します。第2回目はシカゴ・レッドスターズ(アメリカ)から期限付き移籍で神奈川県2部の男子チーム、はやぶさイレブンに加入した永里優季選手に話を聞きました。
オンライン取材日:2020年9月2日(水)
――9月に神奈川県2部のはやぶさイレブンに加入し、日本で初めて、男子の第1種にプロとして登録された女子選手になりました。このチャレンジを決意した理由を教えてください。
永里 私の中では大きなチャレンジというより、どのカテゴリーでもいいので男性のチームでプレーしたいという願望が以前からあって、それを実現できるタイミングが来たので決断しました。たまたま兄(永里源気)が所属していて、地元である厚木のチームだったこともあって実現しました。
――以前から「Jリーグでプレーしたい」という願望を持っていたそうですね。
永里 そうですね。男性と女性でフィジカルやスピードに差が出る中、自分がどれだけできるのかをイメージしながらトレーニングしてきました。5年前は「ちょっと厳しいかな」と思っていましたが、今は「これぐらいのレベルならできる」とイメージできます。練習していても全く通用しない感じではないですし、逆にできることがどんどん見えてきています。
――はやぶさイレブンでの目標を教えてください。
永里 クラブとしては県1部昇格が目標なので、それによって自分の関わり方が変わると思います。個人的な目標で言うと、得点数は全く気にしていなくて、1分でも多く試合に出たいという思いがあります。
――海外での経験についてお聞きします。2010年にドイツに渡り、そこからイングランド、アメリカ、オーストラリアと4カ国でプレーしてきました。練習場やクラブハウスなど、環境面はいかがでしたか?
永里 一番整っていたのはドイツのヴォルフスブルクで、ポツダムもそれなりにしっかりしていました。専用のクラブハウスとピッチがあり、クラブから支給された車で練習に通っていました。試合の時は、国内はすべてバス移動でしたね。オーストラリアはそこまでではなかったです。ロッカールームやシャワールームも古かったですし、グラウンドも堅くてプレーしづらくて。他の仕事をしたり、学校に通ったりしながらプレーする選手ばかりなので、練習も朝8時などが多かったですね。
――日本では2021年秋にWEリーグが開幕します。女子のプロリーグができることについて、率直な感想を教えてください。
永里 子どもたちが夢を描きやすくなるでしょうし、将来の選択肢としてそういう場所ができるのはすごくポジティブなことだと思います。
――永里選手が子どもの頃は、どんな夢を持っていたのでしょうか。
永里 中学生の頃は、プロになれる環境が日本になかったので、プロになれるアメリカに行きたいと思っていました。ちょうど澤穂希さんがアメリカでプレーしていたので、そこを目標にしていました。あとは日テレ・メニーナに入れたので、ベレーザに昇格することと、日本代表に入ること。すべてがプロになることにつながるというイメージを持っていました。
――WEリーグにはどんなことを求めていますか?
永里 何十年も続いていくことが、成功としてとらえられるんじゃないかと思っています。アメリカの女子プロリーグも数年で消滅してしまった例があるので、いかにして長く続くリーグにしていくかが一つの指標になると思います。
――アメリカのプロリーグは過去に2度、経営破綻しています。リーグを長く続けるためには何が必要だと思いますか。
永里 選手の側に、自分で価値を高める意識がないと厳しいと思います。いくら企業やスポンサーがいいものをつくろうとしていても、中にいる選手たちの想いや意識がついてこないと、それが本当の意味で価値のあるものにはならないと思います。競技力を向上させて魅力のあるリーグにしていかなければならないですし、見に行きたい、応援したいと思ってもらえる発信をしていくことが大切だと思います。
――WEリーグの目標の一つに、女性の社会的地位向上に働きかけることがあります。どのような心構えで取り組むべきだと思いますか。
永里 価値観を一気に変えることはできないと思いますが、アメリカでもヨーロッパでも、いろいろなところで戦い、自分たちを犠牲にしながら、未来のために取り組んでいる選手たちが大勢います。選手たちがそういった当事者意識を持ち、運営側もしっかり周りに伝わるような見せ方を継続的にやっていけば、価値観が少しずつ変わっていくと思います。
――今後さらに女性が活躍するために必要なことは何だと思いますか?
永里 それなりに実力があることがまずベースにないと、変なフィルターをかけられて正当に評価されないことにもつながるので、まずは自分自身の能力を磨き続けていくことが、どの業界においても、どんな人にとっても必要なことだと思っています。
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