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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第44回 カンボジア唐木田審判ダイレクター
2020年06月30日
カンボジアのサッカー審判事情
2008年に初めてカンボジアに赴任しました。試合を視察し、試合後の審判たちを労った際、ふと違和感をもったことは現場にインストラクターがいなかったことでした。「たまたま」いなかったのではなく、「そもそも」いなかった。8チームで編成されているプロリーグを観察すると約20人の審判が担当しており、8人は国際審判員(主審3、副審5)でした。しかしFIFA基準の体力テストをパスできるのは約半数ほどで、ほとんどが若手の副審、もしくは第4の審判員担当でした。8人の国際審判員も、パスできたのはなんと2人だけ(オリンピックに2回マラソン選手として出場した副審と20代の副審)。体力がなく、指導者がいない状況から出発したカンボジアでの審判指導・育成はとにかくトップリーグの審判を鍛えること、自分ですべての試合をチェックしてアドバイスを伝えていくことから始まりました。初期に指導した審判員たちが引退して指導者となり、また若手だった審判員がベテランとなり、彼らが若手の見本となって、なんとかトップレベルの審判の指導は様になっていったように思います。
カンボジア審判員の育成システム
育成まで手が届くようになった現在、カンボジアサッカー連盟(FFC)では367人(女性は49人)の審判員を認定しています(2019年)。
FFCでは毎年4回(1回35名、計140名)の新規審判員養成コースを開催しています。そのうち2回は国立体育教員養成学校、2回は州単位で行います。その中から素質がある受講者をセレクションコースへ招集し、ユース大会、女子全国大会を担当できるように教育します。しかし、140名の受講者のうち素質を認められる者は約40~50名で、そのほとんどが教員養成学校生です(州からは10名弱)。そして90名強の受講者は、その後中央の大会で審判をする機会はありません。
審判育成および底辺拡大への課題は、地方協会がなく、組織された大会が開催されないため、審判が継続して活動する環境にないことです。これは連盟全体の問題であり、容易く解決できるものではありません。我々としては3級以上の審判員をきちんと指導して、彼らが自分の地域の4級審判員やライセンスを持っていない審判員に良い刺激と影響を与えてくれることを期待しています。
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