JFA.jp

JFA.jp

EN
ホーム > 社会貢献活動 > 国際交流・アジア貢献活動 TOP > 最新ニュース一覧 > アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第42回 井尻明 U-18/U-15ベトナム女子代表監督・女子テクニカルアドバイザー

ニュース

アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第42回 井尻明 U-18/U-15ベトナム女子代表監督・女子テクニカルアドバイザー

2020年05月29日

アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第42回 井尻明 U-18/U-15ベトナム女子代表監督・女子テクニカルアドバイザー

ベトナムの女子サッカーについて

社会主義国であるベトナムは、つい10年前まではスポーツを楽しめる環境になかったようですが、近年では国全体でサッカーが盛んになってきました。ただ女子サッカーについては、競技人口が少なく、国全体で女子サッカーをプレーしているのは500~600人ほど。理由の一つとしては、女子選手がサッカーを始める年齢が14歳から15歳と遅いことが挙げられます。これには文化的な背景があります。女の子は小さい頃ピアノやダンスなどを習うのが一般的で、サッカーは「学校体育」のひとつであり、かつ、中学校に入学する際に学校側が種目を振り分けるため、女子がサッカーを選択しづらい環境であることが現状です。

現在の仕事について

現在私はU-18/U-15ベトナム女子代表監督、女子全体のテクニカルアドバイザーを務めています。U-18/U-15の代表は、それぞれ2022年のU-20女子ワールドカップ、U-17女子ワールドカップを目指すチームです。テクニカルアドバイザーとしては、トップカテゴリーの女子代表チームの練習に参加し、ビデオを撮影したりすることがありますし、現在私がいるベトナムサッカー連盟が管理する施設でトレーニングをしているU-16/U-15女子のアカデミーチームのサポートをしたりしています。ベトナムの女子選手たちも、日本の選手たちと同様、敏しょう性に優れていると感じています。絶対に負けないというメンタルも長所の一つで、相手に負けたくないという気持ちにこちらから働きかけると、プレーも向上します。ただ、そこだけに働きかけると、戦術がなく、次につながらなくなってしまうのも課題のひとつで、戦術的な説明をすると成長スピードが変わるという面もあります。

徐々に日常を取り戻しつつあるベトナム

ベトナムも新型コロナウイルスの影響で3月末からはスポーツ活動が禁止となり、約1カ月間外に出られない日々が続きました。SARS流行の経験から、政府が行った村単位での移動制限などの策が功を奏し、感染の拡大を抑えることができたため、4月中旬には移動制限も解除となり、4月23日からは外でサッカーも出来るようになりました。最初は10人以上集まってのトレーニングは控えるなどの人数制限がありましたが、段階的に制限が解除され、現在は通常通りのトレーニングができています。ただし、他のクラブとの対外試合などはすることができません。3月末に「明日からトレーニングができない」と伝えた際、実は選手たちは喜んでいました。しかし外に出られない日々が続くと、施設の廊下でボールを蹴り始めるなど、やはり体を動かしたかったようで、練習が再開した日はこれまでより声も大きく、楽しそうにボールを蹴っていました。6月にU-19女子の国内のリーグ戦が始まりますので、現在はその試合に向けて日々トレーニングを積んでいます。私自身も、サッカーが全くできない1カ月というのは初めてで、改めてサッカーができることの喜びやありがたさを実感している毎日です。

これからのベトナム女子サッカーに期待すること

2023年の女子ワールドカップは、出場チームが32チーム。現在のベトナム女子代表のFIFAランキングは33位なので、十分に可能性があると思っています。ベトナムでは戦争の記憶がまだ癒えておらず、将来に対するビジョンや目標を立てることよりも喫緊の問題に関して焦点をあてる傾向にありますが、先の目標から逆算した女子サッカーの強化ができるよう、働きかけていきたいと思っています。

 

アーカイブ
JFAの理念

サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、
人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する。

JFAの理念・ビジョン・バリュー