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SAMURAI BLUE E-1サッカー選手権ヒストリー<前編/2003‐2008>
2017年11月28日
12月8日(金)~16日(土)、東アジアサッカーの頂点を決める「EAFF E-1 サッカー選手権 2017 決勝大会」が、男子は味の素スタジアム、女子は千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ)で開催される。本大会は、2003年に「東アジアサッカー選手権」として産声を上げ、今回で男子は6回目、女子は5回目の開催となる。本大会が日本で開催されるのは、2003年、2010年に続き今回が3度目。2017年大会の開幕を前に、これまで日本が繰り広げてきた戦いの歴史を振り返る。
東アジアサッカー選手権2003決勝大会
2003年12月4日~10日/日本開催(国立霞ヶ丘競技場、埼玉スタジアム2002、横浜国際総合競技場)
vs 中国 2-0(前半1-0、後半1-0)
【得点者】久保竜彦×2
vs 香港 1-0(前半1-0、後半0-0)
【得点者】三都主アレサンドロ
vs 韓国 0-0(前半0-0、後半0-0)
※得点者は日本のみ記載
東アジアの覇権を懸けた大会が始まる
2002年夏のジーコ監督の就任から14試合を終えて、チームの骨格ができ始める中、日本代表が自国開催の第1回大会に挑んだ。SARS(重症急性呼吸器症候群)の影響により開催が2003年6月から12月に急きょ延期され、欧州の主要リーグでプレーする選手の招集に制約がかかったため、Jリーグ所属選手主体でチームの底上げを図った。
ユトレヒトの藤田俊哉選手が大会途中に欧州から唯一参加し、その他の22人はJリーグ勢というメンバー構成に。初招集は阿部勇樹選手ひとりで、黒部光昭選手、本山雅志選手らが代表復帰を果たした。FIFAワールドカップ日韓大会の興奮が冷めやらぬ中、日本、中国、韓国と今大会の予選を勝ち上がってきた香港が一堂に会す国際大会が開かれるとあって、高い関心が寄せられた。
日本は4、5月の親善試合の日韓戦以来となる3バックを採用。3試合はいずれも3-4-1-2の布陣で臨み、先発メンバーは香港との第2戦で茂庭照幸選手が起用された以外は固定された。勝負にこだわりながら、石川直宏選手が香港戦でA代表デビューを果たすなど、交代枠を活用して新戦力をテストしていった。
この大会で注目を集めたのが、久保竜彦選手と大久保嘉人選手の2トップだ。次のワールドカップを目指す日本代表の新エースとして期待された久保選手は、初戦の中国戦で2ゴールを奪い、大会得点王になる。一方、大久保選手は再三にわたりチャンスをつくったもののゴールは決め切れず。それでも練習中やベンチでもジーコ監督から細かな指導を受けるなど、今後の飛躍につなげる貴重な時間を過ごした。
日本は中国を2-0で下して幸先の良いスタートを切ると、続く香港戦でも三都主アレサンドロ選手のPKによる1点を守り切り連勝を飾る。いずれも2勝を収めている最終の日韓戦が事実上の決勝戦となり、横浜国際総合競技場には6万人を超す大観衆が訪れた。
開始18分に大久保選手が2枚目のイエローカードを受けて、早々に退場する苦しい展開を強いられる。それでも大会最優秀GKに輝いた楢﨑正剛選手と中澤佑二選手、宮本恒靖選手、坪井慶介選手の3バックを中心に踏ん張って数的不利の劣勢を耐え抜き、スコアレスドローに持ち込む。勝点と得失点差が並んだため、総得点で「1」上回った韓国が初代王者となり、日本は惜しくも2位で大会を終えた。
東アジアサッカー選手権2005決勝大会
2005年7月31日~8月7日/韓国開催(大田、大邱)
vs 朝鮮民主主義人民共和国 0-1(前半0-1、後半0-0)
vs 中国 2-2(前半0-2、後半2-0)
【得点者】茂庭照幸、田中達也
vs 韓国 1-0(前半0-0、後半1-0)
【得点者】茂庭照幸
※得点者は日本のみ記載
ワールドカップを直前に臨んだ第2回大会
翌年に開催されるFIFAワールドカップドイツ大会への出場をすでに決めていた日本代表が、韓国での第2回大会に臨んだ。巻誠一郎選手、田中達也選手、駒野友一選手といった新戦力が活躍し、ワールドカップを目指すメンバー争いは一段とし烈さを増していった。
日本は初戦で、そのワールドカップ最終予選でも好ゲームを繰り広げ、大会初参加の朝鮮民主主義人民共和国と対戦。ヨーロッパのクラブに所属する選手たちは新シーズンに向けた準備のため不在の中、大黒将志選手、玉田圭司選手、小笠原満男選手が攻撃を牽引したもののゴールを奪えず。逆に1点を奪われ、黒星を喫してしまった。
続く中国戦でジーコ監督は第1戦から先発を総入れ替えするという思い切った決断を下す。前半に2点を奪われる苦しい展開を強いられたが、後半、フレッシュな選手たちが意地を見せる。阿部勇樹選手のFKからのゴール前の混戦で、茂庭照幸選手が押し込み1点差に迫る。さらに試合開始から躍動感あふれるプレーを見せていた田中達也選手が、試合終盤に代表初ゴールをたたき込む。前年のアテネオリンピック代表である茂庭選手と田中選手の代表初ゴールによって、2-2のドローに持ち込んでみせた。
最終戦で、日本はホスト国の韓国と対戦し、第2戦のメンバーから土肥洋一選手、玉田圭司選手の二人が代わってスタメンに入った。勝てば優勝の可能性がある韓国の猛攻を、茂庭選手、坪井慶介選手、茶野隆行選手の3バック、阿部選手、今野泰幸選手の2ボランチが中心となって跳ね返し、土肥選手も好セーブを幾度となく見せる。すると86分に小笠原選手のCKから途中出場の中澤佑二選手が鮮やかに左足でゴールを突き刺し、ついに均衡を破る。この1点を守り切り、日本が今大会初勝利を挙げた。
中国が1勝2分で優勝し、日本は1勝1分1敗で2位に終わる。チームも個も試合を重ねるごとにパフォーマンスが増していき、今後への期待を膨らませた。日本はフェアプレー賞を受賞している。
東アジアサッカー選手権2008決勝大会
2008年2月17日~23日/中国開催(重慶)
vs 朝鮮民主主義人民共和国 1-1(前半0-1、後半1-0)
【得点者】前田遼一
vs 中国 1-0(前半1-0、後半0-0)
【得点者】山瀬功治
vs 韓国 1-1(前半1-0、後半0-1)
【得点者】山瀬功治
※得点者は日本のみ記載
新戦力が台頭し選手層に厚みをもたらす
岡田武史監督の就任から2カ月、SAMURAI BLUE(日本代表)は中国の重慶で第3回大会を戦った。これまで岡田監督の下で行われた3試合で主力を担ってきた高原直泰選手と大久保嘉人選手が今大会は不在。さまざまな前線のタレントが起用され、田代有三選手、前田遼一選手、山瀬功治選手らが好プレーを見せるなど、多くの収穫をもたらした。
初戦の朝鮮民主主義人民共和国戦は、代表デビューを果たした田代選手が前線で体を張り、何度もボールを引き出してチャンスメイク。試合開始6分、現在J1の清水でプレーする鄭大世選手に強烈な先制点を決められたものの、羽生直剛選手、遠藤保仁選手、鈴木啓太選手、山岸智選手で構成される中盤を中心に、日本が徐々に主導権を握る。迎えた69分、駒野友一選手のクロスを交代出場の前田選手が強烈なヘッドで押し込み、スコアは1-1に。日本が底力を発揮して、ドローに持ち込んだ。
中国戦では今野泰幸選手がセンターバックに起用され、中澤佑二選手との好連係を見せる。内田篤人選手、駒野選手の両サイドバックも安定したプレーを披露。背番号10をつけた山瀬選手が決めた1点を守り切り、今大会の初勝利を収めた。相手チームに4枚のイエローカードが出るなどラフプレーに苦しみながらも冷静さを失わぬ試合運びが光った。
事実上の優勝決定戦となった韓国との一戦は、ライバル同士とあって、火花の散る激しい展開に。一進一退の攻防の中、前半にヨム・ギフン選手のゴールで韓国が先制。しかし日本も後半に山瀬選手がミドルレンジからのシュートをたたき込んでみせる。背番号10の2試合連続のスーパーゴールで同点に追いついた日本は、優勝するためには勝利が必要で、その後も韓国ゴールに迫るものの、最後まで勝ち越し点を奪えず、このまま1-1のドローに終わり、惜しくも優勝を逃した。
中澤選手、内田選手、鈴木選手が全3試合にフル出場を果たし、改めて存在感を示した。さらに2点を決めた山瀬選手や左サイドのクロスから2点をもたらした駒野選手、そして前線で体を張って数多くのチャンスをつくり出した田代選手の活躍が光った。2位に終わったものの、多くのタレントが活躍。若手の台頭にこれまでの主力選手も触発され、日本代表の選手層はより厚みを増した。
SAMURAI BLUE E-1サッカー選手権ヒストリー<後編>では、2010年大会、2013年大会、2015年大会を振り返ります。
EAFF E-1 サッカー選手権 2017 決勝大会
男女ともに、中国、日本、朝鮮民主主義人民共和国、韓国の4チーム総当りによるリーグ戦で東アジアサッカーの頂点を競います。12月8日(金)から16日(土)まで、男子は味の素スタジアム(東京)、女子は千葉市蘇我球技場(フクダ電子アリーナ/千葉)で行われます。
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