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【キリンチャレンジカップ2017 プレビュー第3回 FW編】日本代表のストライカーとして世界に勝つためのゴールを

2017年09月27日

【キリンチャレンジカップ2017 プレビュー第3回 FW編】日本代表のストライカーとして世界に勝つためのゴールを

約1年に及んだアジア最終予選を戦い抜き、2018FIFAワールドカップロシアの出場権を獲得したSAMURAI BLUE(日本代表)。本大会が行われる来年6月に向けて、SAMURAI BLUEはいよいよ次のステージへと歩を進める。その口火を切るのが、10月6日豊田、10日横浜で行われるキリンチャレンジカップ2017だ。

JFA.jpでは、アジア最終予選を戦ったSAMURAI BLUEの選手たちの声を通して、ワールドカップに向けたそれぞれの思いをポジション別に全3回の連載で紹介する。

第3回FW編

堅守速攻というスタイルも身につけ、アジアを勝ちぬいたハリルホジッチ監督率いるSAMURAI BLUE。それはある意味では、連動性以上に個の能力を重視した戦いでもあった。スピード、ドリブル、強さ、技術、戦術眼……選手それぞれが自身の持ち味を最大限に発揮して競い合う。そんなチーム内の争いが、ワールドカップで戦えるチーム力となるのだ。

17-18シーズンが始まった欧州からは毎週末、日本人選手のゴールのニュースが届く。そして、Jリーグでも日本人選手による得点王争いが展開されている。FW陣たちの気迫のゴールラッシュは、日本代表が世界を相手に勝てる集団となるための第2章の始まりを予感させる。

ハリルホジッチ監督のもと、ワールドカップロシア大会アジア予選を戦った日本代表では、多くの選手たちが起用されている。FW陣では本田圭佑選手(CFパチューカ)、岡崎慎司選手(レスター・シティー)、香川真司選手(ボルシア・ドルトムント)という長年代表の主軸だった選手以外の新戦力の台頭が目立った。

ワールドカップ出場権獲得となった8月31日のオーストラリア戦で先発に名を連ねた乾貴士選手(SDエイバル)、大迫勇也選手(1.FCケルン)、浅野琢磨選手(VfBシュツットガルト)のほかにも、欧州でプレーする原口元気選手(ヘルタ・ベルリン)、久保裕也選手(KAAヘント)、武藤嘉紀選手(1.FSVマインツ05)、宇佐美貴史選手(FCアウクスブルク)、Jリーグ勢でも杉本健勇選手(セレッソ大阪)が選出された。

「こんな悔しさは過去に味わったことがない」

約1年ぶりの代表復帰となったもののオーストラリア戦ではベンチ外だった武藤選手は語る。

「コンディションは良かったし、ピッチに立てばやれる自信もあるけれど、実際立っていないのだから、足りないものがあるということ。とにかく、使わざるを得ないくらいの結果をブンデスリーガで残すしかない」と険しい表情で続けた。

出場権獲得という喜びや任務を果たした安堵感とは別に、ワールドカップを見据えた選手たちのなかには、満たされない想いがある。

オーストラリア戦では守備面で高い貢献度を見せた乾選手は、「攻撃に関しては全然満足していない。もっと自分の特徴を出すプレーをしていかなくちゃいけない」と言い、先制点をマークした浅野選手も「常に結果が残せる選手というのが僕の理想なので、まだまだだと思います」と話している。そして久保選手も「これから代表チーム内の競争は激しくなると思うけれど、それは自分が成長していく糧になる」と語った。

ワールドカップ出場への激しく厳しい競争の真っ只中に立っているという自覚が、彼らのモチベーションを刺激しているのだろう。初めての世界舞台への挑戦となるのだから、当然だ。

そして、ストライカーの評価のなかで、“ゴール”がもっとも重要だという意識は、欧州で戦う彼らには当然の価値観になっている。それを象徴するのが大迫選手の言葉だった。

「やはりゴールが一番だから。調子が悪くても試合に出続けるのが理想だし、そのためには、『あいつ調子悪くても、点だけは獲るな』というふうにならないといけない。そのためにも常に貪欲にやり続けることが大事だと思う。ブンデスリーガでも特別な存在になれば、もっと上へ行けるはず」

ブラジルでの前回大会に出場したものの力を見せることができなかった大迫選手。自分自身への屈辱は同じワールドカップの舞台でしか晴らせない。

「そのためにこれからの1年がある。ブンデスリーガにはトップクラスのいわゆる“上の選手”がたくさんいるから。そういう環境のなかでもっと成長できるはず」と大迫選手は自信に満ちた表情で語った。

「ブンデスリーガで15点獲っても、ワールドカップ(ブラジル大会)では何もできなかった」とかつて話し、新天地プレミアリーグへ挑戦した岡崎選手。しかし、代表では先発ポジションを譲った状態が続いている。それでも今季は開幕2戦連続弾と好調を維持しているせいか、動揺も焦りも感じさせない。

「(オーストラリア戦途中出場の)特に悔しさはないですね。開き直っているから。クラブで点を獲り続けることがワールドカップで点を獲ることに繋がるので。そうやって“岡崎が入ってきたら、点を決められるな”という雰囲気をヨーロッパで作っていきたい。サコ(大迫選手)が足元で受けるなら、僕は裏を狙って、強引にでも点を獲りに行く。そういうメッセージを感じさせるだけのゴールをクラブで決めていきたい。そういうやるべきことが明確になっているから、迷いがないんです」

フィジカルやスピードで世界の列強国には劣る日本は、連動性を高めた組織力を磨くことで、世界舞台に挑んできた歴史がある。しかし、得点数で競うサッカーというスポーツにおいて、ゴールを決めることでしか、勝利はつかめない。放ったシュートが決まるか決まらないかを左右するうえで、個の力が及ぼす影響は大きい。だからこそ、最前線に立つFW陣の選手たちは、誰もが決定力の強化を口にするのだ。

もちろん、日本代表において、ストライカーの仕事がゴールだけでは終わらない現実は変わらない。また、欧州のクラブでも前線からの献身的な守備や運動量は日本人選手のひとつの武器と考えられている。そういう任務を全うしたうえで、さらにゴールを量産するという高いハードルを越えなければ、世界舞台では生き残ってはいけない。そういう覚悟と矜持を持ち、今よりも上へ、ここよりも遠くへ、進化するための戦いが日々行われている。その密度の濃さが1年後の歓喜へと繋がっていくと考えると、彼らの奮闘から目が離せない。

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