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【Match Report】SAMURAI BLUE、ドイツに歴史的な逆転勝利で白星発進
2022年11月24日
SAMURAI BLUE(日本代表)が、初のベスト8入りを目指すFIFAワールドカップカタール2022で白星スタートを切りました。11月23日(水)にドーハのカリファ・インターナショナル・スタジアムにて行われたグループステージ初戦でドイツ代表と対戦。後半交代出場した堂安律選手(SCフライブルク)と浅野拓磨選手(VfLボーフム)が得点を決めて2-1の逆転勝ちを収めました。
日本代表がワールドカップの舞台で、西ドイツ時代から2014年まで4度優勝を経験している強豪ドイツを相手に、後半の反撃でインパクトのある逆転劇を演じました。
日本はGK権田修一選手(清水エスパルス)をゴールに、最終ライン右から酒井宏樹選手(浦和レッズ)、板倉滉選手(ボルシアMG)、吉田麻也選手(シャルケ04)、長友佑都選手(FC東京)で固め、ボランチには遠藤航選手(VfBシュツットガルト)と田中碧選手(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)のコンビを起用。前線には前田大然選手(セルティック)をトップに、2列目に右から伊東純也選手(スタッド・ランス)、鎌田大地選手(アイントラハト・フランクフルト)、久保建英選手(レアル・ソシエダ)を配して臨みました。
前半はボールを保持して優位に試合を進めるドイツの攻撃を受けて、厳しい戦いとなりました。立ち上がりから攻勢に出るドイツに、日本はチーム全体でよく集中して冷静に対応すると、前半8分に中盤で鎌田選手が相手ボールを奪って持ち上がり、伊東選手につないで右クロスから前田選手がゴール前で合わせ、ゴールネットを揺らします。早々に先制かと思われましたが、これはオフサイドでノーゴールの判定となります。
日本はその後も相手の背後のスペースを狙う動きでチャンスメークを試みますが、ドイツは安定した守備で対抗。徐々にボールを保持して主導権を握るようになります。
ダビド・ラウム選手の左サイドの攻め上がりに、日本は押し込まれる場面が続き、20分にはジャマル・ムシアラ選手、28分と29分にはイルカイ・ギュンドアン選手のシュートでゴールに迫られます。
GK権田選手と守備陣で相手の攻撃を粘り強く凌いでいた日本ですが、31分、試合が動きます。ヨシュア・キミヒ選手のパスに反応したラウム選手がペナルティエリアに入り、切り替えをしたところで詰めてきたGK権田選手に倒されてPKを獲得。これをギュンドアン選手が決めてドイツが33分に先制しました。
攻勢を維持するドイツは前半終了間際にゴール前で揺さぶり、キミヒ選手のシュートリバウンドからセルジュ・ニャブリ選手、カイ・ハーバーツ選手と繋がれてゴールを決められますが、これはVARの確認でオフサイドとなりました。
0-1で折り返した日本はハーフタイムを境に反撃に出ます。
後半開始から冨安健洋選手(アーセナル)を投入して3-4-3にシステムを変更。ボールを持てるようになり攻撃も活性化します。さらに57分には三笘薫選手(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC)と浅野選手を送り出します。
するとその直後に浅野選手と伊東選手の連係で相手ゴールに迫る場面が生まれ、浅野選手は61分にはドリブルで持ち上がった三笘選手からパスを受けて、その5分後には冨安選手からの縦パスに反応して、シュートでドイツゴールを脅かします。
しかしドイツも67分にヨナス・ホフマン選手とレオン・ゴレツカ選手を投入。71分には連続シュートで日本ゴールに襲い掛かります。
キミヒ選手のパスを起点にニャブリ選手が落としたところをホフマン選手がシュート。GK権田選手が弾くと、ニャブリ選手がとらえて左足を振ります。しかし再び権田選手が止めると、そのリバウンドからつないでニャブリ選手がヘディングで狙い、権田選手のセーブにニャブリ選手が反応して押し込もうとしますが、これも日本代表GKがブロック。4本連続でのスーパーセーブでゴールを死守しました。
日本はこの直後に堂安選手を投入。鎌田選手をボランチに下げて、伊東選手を左シャドーに置くと、遠藤選手のロングフィードに伊東選手がペナルティエリアで受けて狙い、そのリバウンドにゴール前に詰めた酒井選手が右足を振る決定的な場面を作ります。しかし枠をとらえることができません。
攻撃を畳みかけたい日本はさらに75分に南野拓実選手(ASモナコ)を送り出して、伊東選手を右ウィングに動かすと、その直後に待望の同点ゴールが生まれます。
左サイドから中へ切り込んだ三笘選手がペナルティエリアへスルーパスを送り、これに反応した南野選手がシュート。GKマヌエル・ノイアー選手に弾かれたところを、ゴール前に詰めた堂安選手が枠をとらえて1-1としました。
ドイツもマリオ・ゲッツェ選手、ニクラス・フュルクルク選手を送り出して追加点の機会を探りますが、均衡を破ったのは日本でした。
自陣で得たFKを板倉選手が前線の浅野選手へロングフィード。浅野選手は素早くペナルティエリア右深くに切り込むと、相手GKが詰めて、右ポスト手前の角度のないところから右足を鋭く振ってゴールを決めました。
スタジアムが42,608人の観客の大歓声に揺れるなか、2大会連続での初戦黒星を避けたいドイツは後半アディショナルタイムには最終ラインから前線に上がったアントニオ・リュディガー選手がミドルシュートを放ち、さらにFK、CKの場面ではGKノイアー選手もペナルティエリアで攻撃に参加しますが、日本は最後まで集中を切らさずにリードを守り切り、勝利で勝点3を手にして試合を終えました。
日本は1994年大会最終予選でドーハの悲劇を味わった地で、30年前の悔しさを選手として経験した一人でもある森保監督の下、ワールドカップ初の逆転勝利で大金星をマーク。2大会連続でのノックアウトステージ進出と初の8強入りへ好発進です。
この数時間後に別会場でコスタリカ代表とスペイン代表が対戦して、スペインが7-0と大勝。この結果、勝点3で並びながら得失点差で上回るスペインがグループE首位に立ち、日本は2位。ドイツは3位でコスタリカは4位となりました。
日本は27日(日)の次戦でコスタリカと対戦します。
監督・選手コメント
森保一 SAMURAI BLUE(日本代表)監督
試合の入りはアグレッシブにいき、そこから主導権を握れるか押されるかで、判断してやっていこうと思っていました。うまくボールを握られましたが、それも想定内で、守備の部分で我慢強く辛抱強く戦いながら攻撃を仕掛けることは準備していたところです。前半、圧倒的に押されたところはありますが、0-1になっても0-2、0-3と切れることなく戦い続ければ流れが来ると、選手たちが冷静に、賢く相手の意図を読み取って、我慢強く戦っていたと思います。試合前にもハーフタイムにも、「チーム一丸となってタフに粘り強く最後まで戦い続けることを続ければ、後半チャンスが来る」と選手たちには伝えていました。相手に幅をもって揺さぶられていたので、後半システム変更しました。いい守備ができればボールを握れることも、チームとしては自信を持っていましたし、選手たちがよく対応してくれました。追いついて逆転するというところでも、個々の局面でも相手を上回る力、アグレッシブな姿勢を見せて、選手たちが力を付けたところを見せてくれたと思います。試合後には一喜一憂しすぎずに、次のコスタリカ戦へ最善の準備をしていこうと伝えました。
歴史的な瞬間、勝利だったといっても過言ではないと思いますが、日本のサッカーの発展を考えながら代表を強化して、世界で活躍する選手たちのことを考えると、サプライズでないと思っています。日本のサッカー関係者、サッカーファミリー、サポーター、国民の皆さんの応援のおかげでこの勝利になりました。改めて感謝を申し上げたいと思います。
GK #12 権田修一 選手(清水エスパルス)
僕がPKを与えてチームとしてはプランが狂いましたが、ただ、ロースコアで推移していれば、僕らが走り切るチャンスがあるというのはチームみんなで話していたことです。(4本連続セーブも)できたというよりも必死でした。どんな状況でも枠に飛んできたシュートを止めることしか僕の存在意義はないので。途中から出た選手が試合を決めてくれましたが、それは簡単なことではありません。堂安選手は食事の席でも『おれ途中から出て決めますよ』と言ってくれます。そういう気持ちでやることが流れを変えた要因だったと思いますし、日本代表が26人で戦っているのを証明できた試合だったと思います。次のコスタリカは全然違うやり方でブロックを組んでカウンターで来ると思います。最初に失点しないことがもっと大事になります。もっと細かいところまでいろんなところで修正しないといけないと思いました。
FP #8 堂安律 選手(SCフライブルク/ドイツ)
ゴールを決めたときは、意外と落ち着いていました。監督からは「スペースが空いてきたのでどんどんシュート打っていけ」と言われていましたし、長らく代表戦から遠ざかっていて、こぼれ球もなかなか転がってこない3、4年だったので、今日こぼれてきて、トレーニングを積んできてよかったと思います。ありがとー!という感じでした。ちょっとずつこっちに流れが来ていたので、「俺がヒーローになる」と思ってピッチに立ちましたし、この4、5日、ずっとそのイメージ持ってホテルで過ごしていたので、その通りになってよかったです。リードしてからは、僕はラウムに対してマッチアップで頑張るってことを意識しました。全てミーティング通り、自分たちが話し合った通りの内容になったので、チーム全体の準備の勝ちだと思います。
FP #10 南野拓実 選手(ASモナコ/フランス)
素直にすごく嬉しいですし、ベンチから出てきた選手たちが試合を決めて、そういうチーム力があるというのを僕たちは証明できました。三笘選手があそこでボールを受けたら何か起こしてくれると感じていましたし、本当に最高のタイミングでパスをくれました。あとは、中の状況を見ていなかったのですが、シュート性の速いボールを打てば、ああやってGKがはじいてあとは何か起きるだろうと思ったので、信じて振り抜いて、堂安選手が決めてくれました。ここで俺たちは何かを示すんだという強い気持ちを全員が持っていますし、試合を通してすごく苦しい時間帯が多かったですが、サッカーというのは数字では表せない何か、瞬間というのがあると自分の中で信じていました。権田選手のビッグセーブがあったからこそ、この結果があった。攻撃の選手だけじゃなくてDFの選手も本当に素晴らしいパフォーマンスで全員でつないだゴールだったと思います。
FP #18 浅野拓磨 選手(VfLボーフム/ドイツ)
準備してきたことが結果につながったと思います。試合に出たらやることしか考えていなかったです。最初はオフサイドかなと戸惑いもあったので、決めた瞬間は喜べなかったんですけど、ゴールと分かって「やったぞ」という気持ちが一番最初にきました。板倉選手がボールを持った瞬間に「あ、これ来るな」と思いました。リハビリ中に毎日顔を合わせて、「やれるよ」と励ましながらここまでやってきたんで、これも一つ準備してきた結果かなと思います。4年前から1日も欠かさず、こういう日を想像して準備してきました。ピッチに出るとき、監督からはいつも通り、「途中から出る選手が決めてやれ。チームのために全力でやれ」と声をかけられました。0-1の時点で「いける」と思っていましたし、南野選手と堂安選手と「0-1なら全然いける」と話していました。その3人がたまたまですけど、ゴールに関われましたが、僕らは全員が「やれる」と思っていました。
FP #22 吉田麻也 選手(シャルケ04/ドイツ)
チームとしてプラン通りに我慢して戦ったというのが勝利につながったのはすごくうれしいですけど、まだ1勝しただけなので。ここで浮足立たずに前を見据えてやるべきことに集中して次のコスタリカ戦に挑みたいなと思います。前回大会に行けなかった浅野選手や代表でうまくいかない時期も経験した堂安選手の二人が結果を出してくれて、本当にうれしいことです。前半は凌いで、2点目を取られるのだけは避けたいと思っていたので、(VARでの取り消しで)あれが大きなターニングポイントになったと思います。ハーフタイムにシェイプを変えてメンバーも変えることはプランに入れていました。チームとしてよくまとまってやれたと思います。個人的には試合前から落ち着いていて、大会3回目ということでやるべきことに集中できていて、(会場への)バスに乗っているときから、「これはいけるな」という感覚があったので、いい精神状態で試合に挑めたと思います。
ハンジ・フリック ドイツ代表監督
我々にとって非常に残念な結果です。78%のボール支配率で、良いチャンスもあったのに逃してしまい、効率的に進められませんでした。日本は非常に強いチームで素晴らしい選手がいます。今日は戦術的にも彼らの器用さ、強さを発揮していました。我々はこの状況をしっかり見つめて、試合を分析して、次のスペイン戦に臨みたい。もっとプレスをかけて、守備も改善しなければなりません。この敗戦でプレッシャーがかかっていますが、負けを認めて勇気をもってアグレッシブになる。ワールドカップではそれが必要です。
田嶋幸三 JFA会長
まだ1試合が終わっただけですが、大会初戦でワールドカップで優勝している国から勝点3を取るというのは、一番の出来です。クラマーさんに始まってドイツから多くを学んできたことを考えると、ここでドイツに勝てたことは大きいと思います。選手たちが落ち着いてよく戦ってくれたと思います。森保監督の采配もぴったりで、今日の勝点は今までの積み重ねの賜物で、(前回大会ラウンド16の)ベルギー戦のあの負けが今日の最後の方の踏ん張りに効いているなと感じました。日本の子どもたちには明日、学校に行って、みんなでサッカーの話をしてほしいと思います。
FIFAワールドカップカタール2022
大会期間:2022年11月20日(日)~2022年12月18日(日)
グループステージ
第1戦 11月23日(水) 16:00[現地時間] vs ドイツ代表
第2戦 11月27日(日) 13:00[現地時間] vs コスタリカ代表
第3戦 12月1日(木) 22:00[現地時間] vs スペイン代表
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