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【Match Report】SAMURAI BLUE、GKシュミット選手の好セーブでエクアドル代表とスコアレスドロー
2022年09月28日
SAMURAI BLUE(日本代表)は9月27日(火)、ドイツのデュッセルドルフ・アレーナで行われたキリンチャレンジカップ2022第2戦でエクアドル代表と対戦。GKシュミット・ダニエル選手(シントトロイデンVV)のPK阻止などで0-0で引き分け、FIFAワールドカップカタール2022の大会メンバー決定前最後となるドイツ遠征を1勝1分で終了しました。
11月開幕の本大会を睨んで、選手層に厚みを持たせてチーム力をさらに積み上げることを目指している森保一監督は、23日のアメリカ代表との対戦から先発メンバー全員を入れ替えて臨みました。
4-2-3-1のシステムを維持して前線に古橋亨梧選手(セルティック)、トップ下に南野拓実選手(ASモナコ)、両翼には三笘薫選手(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC)と堂安律選手(SCフライブルク)を起用。中盤に柴崎岳選手(CDレガネス)と田中碧選手(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)を配しました。
最終ラインはセンターバックに谷口彰悟選手(川崎フロンターレ)と伊藤洋輝選手(VfBシュツットガルト)、両サイドバックは右に山根視来選手(川崎フロンターレ)、左に長友佑都選手(FC東京)、ゴールにシュミット選手を並べました。
しかし、ワールドカップへ向けて調整中のエクアドルの強度のあるプレーに押し込まれる場面も多く、日本は思うような攻撃に持ち込めずに苦戦。それを試合終盤にシステムを変更するなど粘り強い戦いで無失点に抑え、「勝点1」をつかむ戦いに持ち込みました。
激戦区の南米予選を4位で勝ち抜いたエクアドルは、強度のあるプレーで日本の中盤に圧力をかけ、ボールを奪うと素早く左右のサイドを利用して攻撃で日本ゴールに迫ります。
前半20分には左クロスに反応した日本DFのクリアボールに、三笘選手とクラブで同僚のモイセス・カイゼド選手がシュートを狙い、22分には右CKの流れでカイセド選手、ピエロ・インカピエ選手、ロマリオ・イバラ選手が次々とシュートを試みます。さらに31分にはオフサイドになったものの、中盤をドリブルで持ち上がったバイロン・カスティジョ選手のスルーパスにマイケル・エストラダ選手がシュートを放ち、その後もイバラ選手のシュートが右ポストを直撃する場面を作りました。
守備の時間が長くなった日本ですが、前半の終盤から徐々に攻撃で連係する場面が見られるようになります。40分には南野選手がペナルティエリア深い位置で相手へプレッシャーをかけて相手のパスミスを誘い、これを受けた古橋選手が左足でシュート。相手GKに阻止しされますが、得点チャンスになります。
前半を0-0で折り返すと、日本は後半開始から上田綺世選手(セルクル・ブルージュKSV)を投入。56分には、左サイドで仕掛けた三笘選手からの折り返しに南野選手が左足を振り、シュートはわずかにポストの外へ外れます。
67分にはさらに鎌田大地選手(アイントラハト・フランクフルト)、相馬勇紀選手(名古屋グランパス)、遠藤航選手(VfBシュツットガルト)をベンチから送り出すと、鎌田、相馬の両選手に上田選手が絡んでシュートチャンスに。79分にも堂安選手、上田選手で相手ゴールに迫ります。
しかし、その直後81分、ペナルティエリア内でエストラーダ選手を倒したとしてエクアドルにPKが与えられます。途中出場のエンネル・バレンシア選手がキッカーを務めますが、GKシュミット選手が右へ飛んで阻止。得点を許しません。シュミット選手はこの直後にもFKに合わせたバレンシア選手のヘディングをブロックし、ゴールを死守します。
日本は83分に吉田麻也選手(シャルケ04)と伊東純也選手(スタッド・ランス)を送り出し、最終ラインを3バックに、前線を伊東選手と上田選手の2トップに変更。すると前線が活性化して、89分には左の相馬選手から伊東選手へのワイドな展開からラストパスを受けた鎌田選手が切り込んでシュートを打つ場面を作りますが、相手GKに止められました。
最後まで得点機会を探りますが、試合はスコアレスドローで終了しました。
日本の次の試合は、ワールドカップ大会メンバー決定後の11月17日(木)にドバイで行われるカナダ代表との強化試合です。カタール大会では11月23日(水)の初戦でドイツと対戦し、その後は27日(日)にコスタリカ、12月1日(木)にスペインと対戦します。
監督・選手コメント
森保一 SAMURAI BLUE(日本代表)監督
押される時間帯も多く、難しい戦いを強いられましたが、本大会を見据えて力のあるチームに劣勢となる時間帯もあるかと思います。粘り強く戦いながら無失点に抑えて、自分たちが攻める機会を伺いチャンスをつくることをやってくれました。エクアドルは強度、テクニック、スキルが高く、うまくビルドアップしながらこちらに難しい守備をさせていました。ボールは持たれましたが最終的には選手たちが落ち着いて対応していました。攻撃の部分で主体的に戦える相手でないことは想定内で、ハーフタイムにはコンタクトするくらい、前線から守備をする必要があることも選手に伝えました。
同じ絵を持ちながら練習してきましたが、先発を総入れ替えしてスムーズに結びつき合うのはそう簡単ではありません。後手に回ったりミスが出たところもありましたが、内容的には悪くなかったですし、選手が修正して、お互いの連係、連動の質を高めてくれたことは評価したい。戦術的な戦い方の幅や選択肢をより多く持つ点で、本大会に向けて非常に大きな試合になりました。
勝てなかったのは残念ですが、ワールドカップに出場するアメリカとエクアドルとの2試合で、1勝1分けの勝点4で3戦目を迎えるというシミュレーションになるような結果でした。内容的にも、どこから守備を始めてどこで奪い、奪った後どうするのか。厳しいゲームの中で互いの絵を合わせていく部分で、ワールドカップにつながる積み上げができました。どの選手を起用してもチームとして機能するという部分は、チームとして大きな財産になりました。今後さらに無失点を続けながらチャンスを増やし、得点を奪うことをしっかりできるようにしたいと思います。
GK #23 シュミット・ダニエル 選手(シントトロイデンVV/ベルギー)
自分としては入りのコーナーの守備等でもう少し力強さが欲しかったですが、それ以外の部分では大きな仕事ができたかと思っています。PKの場面は、相手が蹴る前にたくさん動いて少しでも相手の気を逸らして、最後は自分が信じた方に思いっきり飛ぼうと考えて、結果的にドンピシャでいいところボールが来ました。引き分けたので満足とは言えませんが、今まで代表でプレーしてきた中で自分にとっては間違いなく一番いいパフォーマンスでした。そこは自信を持っていいと思うので、こういうパフォーマンスをクラブに戻っても続けていけるようにしたい。今回の活動でチームは良くなってきていると思うし、今日みたいな押し込まれる展開でもこうすれば耐えられるという一つの具体例を出せました。この2試合でチームの自信はかなり深まったと思うので、この自信を本大会前のカナダ戦でもっと完成度を高くしたい。その準備期間でどれだけまたお互いを高めていけるかが、すごく大事になってくると思います。
DF #3 谷口彰悟 選手(川崎フロンターレ)
ワールドカップに出るだけあって、エクアドルはすごく良いチームでした。強度も高くて中盤の攻防などでもなかなか隙を与えてくれない展開が続いて、ワールドカップへ向けて素晴らしい相手でいい準備になりました。その相手を上回りたかったという悔しい思いはもちろんあります。でも、こういう戦いになるということもよく分かったので、その中で相手をどう上回っていけるか、ここからどう詰めていけるかだと思います。
DF #5 長友佑都 選手(FC東京)
エクアドルの南米予選のアルゼンチン戦を見て、南米を勝ち抜いているだけのレベルと強度があると感じていました。僕は相手が強くなるほど自分の価値を示せると確信しているので、課題はもちろんありますが、負けないなと感じました。後半は相手のインテンシティが下がってきたところもありますが、立ち位置について連係を話し合って修正して、後半は明らかによくなりました。アメリカ戦から一気にメンバーを変えて、相手のレベルもあって、連係的になかなかうまくいかないところもありましたが、そういう難しい状況のときに自分が止めた後に(ガッツポーズで)鼓舞をする。そういう姿を見せることは、自分自身に対してもチームに対しても僕は大事だと思いますし、「味方にいたら心強くて、相手にいたら厄介」という選手を海外の戦いで多く見ています。自分もと考えて、半分反射的、半分意識的にやりました。
MF/FW #6 遠藤航 選手(VfBシュツットガルト/ドイツ)
エクアドルはインテンシティの高い良いチームでした。球際も強く、そこで上回られたりプレッシャーに行ってもワンタッチで剥がされる場面もあって、ボールを持てる選手も多くて難しい試合でした。シュミット選手に救われたというのはありますが、後ろをゼロで抑えることができたのはポジティブです。攻撃はもう少しできたと思いますし、後半最後は僕らにもチャンスがありましたが、どちらが勝ってもおかしくなかった試合だったと思います。前半試合を見ていてボールを持ったときに落ち着きたい、ボール動かしたいというのがあったので、自分たちも3枚をつくったり、間に来たらプレシャーを受けるところは意識してやっていました。ある程度インテンシティの高いチームに対して、自分たちが形を変えながらもやれたことが一番ポジティブだと思います。チームとしても総力戦という位置づけの試合で、海外でやっている選手も多く、選手層は厚くなってるかなと思います。
MF/FW #10 南野拓実 選手(ASモナコ/フランス)
負けなかったことはよかったですが、攻撃面などいろいろ課題も出ました。ピッチ状態があまりよくなかったのでボールを止めてから前に向くのが苦しかったですし、前向きな選手を早く見つけてボールを出したかったのですが、距離感もあまりよくありませんでした。しっかり収めて自分で前を向いていくことは自分の課題ですし、もっとシュートに関わっていきたいと思います。前を向けばチャンスになるので、それを続けて今のクオリティを上げていきたいですし、少ないチャンスに決めることは重要です。チームとしても、もっとどう攻撃を組み立てるのか、おのおのの選手のいいところをいかにもっと出せるようにするかを考えてプレーしていくことが、課題解決につながると思います。
MF/FW #15 鎌田大地 選手(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
相手は足元に来た時は結構深く来ているというのがあったので、途中から出て変なボールの取られ方をすると難しくなると思って、できるだけ相手に近くないところや、自分に優位性のあるポジションを考えてやっていました。難しい展開で交代から入るのも難しいなと思っていましたが、(終盤はシステムを変えて)いいシーンも作れましたし、いいオプションになっていたかと思います。ここからは所属クラブで目の前の試合でいいプレーを続けることが自分にとって大事ですし、それがコンディションの良さや代表にもつながってくると思うので、今やっているレベルでしっかりいい結果を残したいと思います。
MF/FW #17 田中碧 選手(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
前の試合には出ていませんが、アメリカとは違う激しさ、強度の高いゲームで、特に前半はすごく難しかったです。芝の状態などもあって相手のファーストプレーを多少受けた感がありました。それでもゼロで進めることは意識していたので、そこはギリギリ良かったと思います。ゼロで抑えるか失点するかで後半が変わってくるので、チームとしても意識したところです。ただ、チームもそうですが個人の攻撃では、こういう強度の高い中でどれだけできるかが改めて重要だと感じました。それは自分のなかでは大きな刺激で、今までのものとはちょっと違うと感じています。後ろを3枚に変えて前進できるのはわかっていましたが、外に人数をかけられなかったり、中央に入ってもやれない部分があったので、サイドと中のクオリティを上げないとならないと思いました。
MF/FW #18 三笘薫 選手(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC/イングランド)
今回の活動では、グループステージを想定したシミュレーションも戦術的な練習もありましたし、チームでの共有への手応えはあります。前の時(6月の活動)よりはそれを意識して取り組んだ選手も多いですし、チームとしても取り組んだところはあったのでそこは一つ進歩です。ただ、ピッチでの対応力は常に選手がもっていないとならないことで、今回はそれができなかった。素晴らしい相手と試合できたので、ここで出た課題を生かすしかないと思っています。本大会までにコンディションを上げることと怪我をしないことが一番だと思うので、ここからは自分にフォーカスしてやれることをやっていきたいと思います。
MF/FW #21 堂安律 選手(SCフライブルク/ドイツ)
ワールドカップを想定できる、すごくいい相手で、僕らは前半あまりいい時間帯はなかったですが、ハーフタイムに「本番もこういう試合はある」という声が出ていましたし、常に本番を想定しながら自分たちに声をかけてやっていました。チャンスもあったので、決してネガティブなものではなく、いい90分になったと思います。今回は先発でスペースがなかったので細かいプレーになることが多かった。前半の最後の方は少しずつ良くなってきましたが、よりコンビネーションを上げないとならないと思いました。守備はいい強度でできましたが、攻撃はまだまだ改善点があって、もっと良さを出せると思います。
MF/FW #26 上田綺世 選手(セルクル・ブルージュKSV/ベルギー)
勝利に貢献できるパフォーマンスができたとは思えません。日本にいた頃よりも欧州に来て高いインテンシティでやれている分、戦うところ、ぶつけるところ、スピード感は遅れをとることはなかったと思いますが、そのなかで圧倒していくことやボールをキープしてシュートまで持っていくところは、もっと回数を増やしていかなければいけないですし、自分が強引に持っていくことや粘って味方につなぐなど、自分のシュートチャンスを含めて、もっとチームのチャンスメークできるようにしたいです。今日は0-0で押し込まれる展開という、ワールドカップを想定した部分を含めて、いろいろなフォーメーションのトライでしたがやってみた価値はあったと思いますし、ゼロで終えることができました。順応してやっていくことが必要だと思います。
グスタボ・アルファロ エクアドル代表監督
親善試合とはいえ、両チームともインテンシティが高く、勝利への思いの強い試合でした。日本はスキル、パッション、コーディネーションがあり、フィジカルも組織力も備えていて、後半プレーを改善してきました。こういう緊張感のある試合では1つのミスが失点につながります。我々は日本の前線の4枚と中盤の2枚にプレッシャーをかけて外を生かそうと試みたのですが、日本はそこを締めてきました。それでもチャンスを作ってPKを獲得しましたが、決めることができず、決定力を欠く試合になりました。本大会まで残り45日です。最後の選手選考の試合を終えて、本大会にはベストな26人を選びたいと思います。
2022年9月27日(火) 13:55キックオフ予定(日本時間 20:55)vs エクアドル代表
会場:デュッセルドルフ(ドイツ)/デュッセルドルフ・アレーナ
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