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全日本大学女子サッカー連盟 ウェルフェアグループ活動報告(2022年度) ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.116~
2023年12月12日
2022年10月のウェルフェアオフィサー(WO)ジェネラルのチーフ会議で、WO制度の今後の発展について提示しました。さらに各連盟とは個別にミーティングを行い、それぞれが組織の在り方や特徴に合わせて、主体的に求める基準や活動を考えていただけるように意見交換を行っています。
その中で、全日本大学女子サッカー連盟(大学女子連盟)では、全日本大学女子サッカー選手権大会(女子インカレ)にて、学生によるマッチ・ウェルフェアオフィサー(MWO)の配置に取り組んできました。大学生ならでは、選手自身によるMWOからの視点は価値のあるものであり、興味深い事例としてご紹介します。
目的
スポーツの活動現場における暴力・暴言根絶を目的とする。
【2022年度の実践計画】
①大学女子連盟内における講習会、啓発活動、担当者の質の向上
②女子インカレなどでのMWOの配置
③その他
活動内容
①講習会の開催
北信越地域で開催の準備をしたものの、タイミングの問題もあって参加者が集まらず、実施に至らなかった。
②女子インカレでのMWOの配置
準々決勝2試合、準決勝2試合、決勝でMWOを配置した(大学女子連盟の幹事の学生が担当)。
暴力・暴言の状況など
・2018年以降は変わらず、大学女子連盟内においてWOの認知度は低い
・MWOを配置した試合において暴言に相当するものをいくつか確認したが、そのほとんどが「指導者からレフェリー」によるもので、次いで「選手からレフェリー」によるものであった。ただし、執拗な発言は少ない
・ここ数年、暴力・暴言の増減に大きな変化は見られない
・暴力・暴言数の多少は、試合内容や試合の位置付けの影響が大きいと考えられる
・観客席の応援者たちによる望ましくない発言も確認された
成果と課題
【成果】
・女子インカレのマッチ・コーディネーション・ミーティング時に、監督やレフェリーにMWOの配置の趣旨を伝えることにより、協力体制(暴言抑止)とその認知向上につながったと感じた。特に、複数人体制(学生の模擬体験)は効果が大きいと思われる
・学生の関わりは、大学女子連盟内に暴力・暴言根絶の活動を短時間かつ確実に浸透させる手段であると思われる
【課題】
・大学女子連盟の関係者(選手、指導者)にWOの存在はもちろん、「暴力・暴言根絶」の取り組みが理解(認知)されていない
・MWOの配置試合が少ない
改善・提案
・WOの人数を増やす
⇒各地域にウェルフェアオフィサージェネラル1人の配置を義務付ける
・今後も継続する。将来的に各地域のリーグへと拡大していきたい
・大会プログラムや各地域のホームページなどに大学女子連盟のリスペクトバナーを掲載する
MWOを体験した学生の感想(一部抜粋)
・選手とスタッフの間には信頼関係があるのは分かりますが、チーム内でしか理解できません。その中での言動には、全く知らない状態から第三者という立場で見ると、不適切なものも多くあると感じました。
・試合は選手やスタッフだけでつくられるものではなく、相手チームや審判団、運営してくれる人、観客など多くの人の支援があり実施できているものということを、あらためて感じることができました。
・WOの活動は、これから発展すべきものだと思いましたし、自分自身も知識を身に付けたいと思いました。
・2日間の3試合だけでしたが、この役職を多くの人に知ってもらいたいと強く思いました。
・普段は、一選手としてサッカーを行い、上の立場にある監督から選手は評価され、それに従うということが当たり前になっていました。ですが、それほど単純な構造ではないことを再認識しました。立場に関係なく、それぞれがリスペクトを持って行動することでしか、スポーツの価値を上げることはできないと強く思いました。
・MWOという役職が普及することで、スポーツの野蛮性を取り除き、紳士的なものとして、本当の意味で価値を出すことができるようになるのではないかと考えました。
・今回、この役職の活動を行い、どれほどスポーツ独自の悪い慣習が受け入れられているのか、そしてそこに対して声を上げることが非常に重要であることを感じることができました。
【報告者】全日本大学女子サッカー連盟
※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会『テクニカルニュース』2023年7月号より転載しています。
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