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Jリーグにおけるセーフガーディングの取り組み ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.115~
2023年11月10日
セーフガーディングとは
セーフガーディングとは文字通り、「安全(=セーフ)を守る(=ガーディング)」ための活動のことで、それらは全ての人々に関係する大切なものです。
児童や青少年をさまざまな危害から守り、安心して活動できる環境づくりを促進するセーフガーディング。具体的には、虐待や不適切な取り扱いから児童や青少年を保護すること(保護)、健康や成長を阻害する要因をあらかじめ防ぐこと(予防)、全ての児童や青少年のことを最優先とした行動がとれるように必要な教育をすること(教育)となります。また、これらの保護、予防、教育の活動は大人も対象に含まれており、より社会的、組織的な協力が必要とされています。
なぜセーフガーディングに取り組むのか
Jリーグでは、「誰もがお互いを受け入れ、安心して前向きに取り組むことができ、オン・ザ・ピッチ、オフ・ザ・ピッチで、人の成長と模範的な振る舞いを勧めるサッカー環境を設ける」というビジョンを掲げています。児童や青少年、弱い立場にある大人(スタッフも含む)が安心・安全に活動し、楽しい経験が得られるサッカー環境を提供することを目指し、セーフガーディングの活動を推進しています。また、Jリーグは全ての人の未来のために、セーフガーディングを広めていきたいと考えています。私たちが大好きなスポーツは、人を幸せにするものであり、みんなが未来へ向かう今を楽しみ、それぞれの可能性を大切に育んでほしい。全ての人々が大切にされ、受け入れられ、認め合い、誰もが安心して大好きなことに打ち込める環境をつくっていきたいという思いで取り組んでいます。
セーフガーディングの具体的な活動
セーフガーディングワークショップの開催
2020年に、Jリーグセーフガーディングワークショップを開始しました。それ以降、毎年ワークショップを開催し、2023年で4回目の開催となりました。各クラブにはセーフガーディング担当者を必ず配置していただき、その担当者がワークショップに参加することになっています。
ワークショップでは、セーフガーディングについての基本的な考え方に加え、ハラスメント事例の理解を促進するためのグループディスカッションを行ったり、クラブからのベストプラクティス事例を共有したりしています。そして、JリーグとJクラブによる具体的なアクションにつなげていくことを目指しています。
セーフガーディングガイドラインの発行
Jリーグセーフガーディングガイドラインは、国際サッカー連盟(FIFA)が定める「FIFAガーディアンズ」を日本サッカー協会(JFA)が監訳した日本語版を基に、Jリーグセーフガーディングワーキンググループが試行版として作成しました。特に、JFAリスペクト・フェアプレー委員会のアドバイスを受けながら、JFAサッカーファミリー安全保護宣言とJFAチャイルドプロテクションポリシーの趣旨を反映させています。主な内容は以下の通りです。
・FIFAによるサッカーにおける子どもたちの安全保護の5つの原則
・JFAサッカーファミリー安全保護宣言
・サッカー活動における子どもの見守りに関するガイドライン
・サッカーの試合と練習に関するセーフガーディングガイドライン
・施設の利用に関するガイドライン
・大会への遠征の計画と実施に関するガイドライン
・サッカー活動における移動に関するガイドライン
・サッカー活動に関する情報発信のガイドライン:ソーシャルメディアによる選手の画像と通信の利用など
・選手(子ども、あるいは子どもたち)の行方が分からなくなった場合:行方不明者ポリシー
セーフガーディング特設サイトの開設
Jリーグは、セーフガーディングの考えを広く世の中に浸透させたいという思いから、セーフガーディング特設サイトを開設しました。特設サイトでは、JリーグやJクラブ、そしてFIFAやJFAのセーフガーディングに対する思いや取り組みを紹介しています。また、皆さんがセーフガーディングについて知識を深めること、今後どのようなアクションを起こせばいいのかを考えるきっかけとなるようなチェックリストも掲載しています。ぜひご活用いただければと思います。
Jリーグセーフガーディング特設サイトは下記参照
https://www.jleague.jp/special/safeguarding/
Jリーグからのお願い
Jリーグが作成したセーフガーディングの映像をご覧いただいたでしょうか。映像は、セーフガーディング特設サイトに掲載しています。ぜひ皆さんのSNSなどでこの映像を共有していただきたいと思います。
映像はセーフガーディングの考えを世の中に浸透させるために、Jリーグの思いを込めて作成したものです。誰もが安心して、安全に前向きに活動に取り組むことができる社会をつくるためには、一人でも多くの方にセーフガーディングの考えを知っていただく必要があります。セーフガーディングを社会に広める仲間として、ぜひサッカーをきっかけとしたセーフガーディングの推進と浸透をサポートしていただけることを願っています。
【報告者】増本伸弘(Jリーグフットボール本部育成部)
※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会『テクニカルニュース』2023年5月号より転載しています。
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