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バスケットボールにおける暴力暴言根絶の取り組み ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.100~

2021年01月18日

バスケットボールにおける暴力暴言根絶の取り組み ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.100~

サッカー指導者の皆さん、こんにちは。公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)インテグリティ委員会の宇田川貴生です。今回はJBAの暴力暴言根絶の取り組みについて紹介させていただきます。

JBAインテグリティ委員会は2018年12月25日に設立しましたが、まずは設立に至った背景について説明します。

2012年12月、大阪市立桜宮高校の男子バスケットボール部で事件が発生しました。この事件は、バスケットボール界だけでなく、スポーツ界全体に衝撃を与え、社会全体が暴力暴言根絶を強く進めていく大きな転機となる事件でした。この事件を受けて、JBAとしては2013年4月に登録指導者に対してアンケートを実施し、6月に注意喚起・厳重注意などを行いました。

しかし、実態は暴力暴言根絶には程遠い状況でした。2013年4月から2018年10月までの調査として、全国高等学校体育連盟の体罰認定件数は149件中27件(18%)、JSPO(日本スポーツ協会)への相談件数(U-12を対象)は315件中60件(19%)と、共に全競技で最も多かったのです。そこで、われわれとして今まで以上に取り組んでいくため、JBAが掲げる「バスケで日本を元気に」の理念の実現に向けて、「インテグリティの精神(誠実さ、真摯さ、高潔さ)」に基づき、人間力・指導力・組織力を高め、バスケットボールの価値を高めるための指針決定および啓発活動を目的として、インテグリティ委員会を設立しました。

2019年4月、喫緊の課題である暴力暴言根絶を目指し、上記のメッセージを全国に発信し、具体的な取り組みとして以下の3点を実施しました。

①JBAにおける暴力暴言根絶の取り組みについて周知徹底(全登録者へ文書通知、各種大会代表者会議での周知)
②大会プログラムに掲載およびメッセージバナーを会場貼付
③試合中、コーチの選手に対する「暴力的行為、暴言」をテクニカルファウルとし、1試合で2件の場合は失格退場(ルール変更ではなく適用範囲を拡大して対応)

なお、指導者の方々には、以下の3点について、さまざまな場所でお伝えしました。

①過去にさかのぼって魔女狩りをするのではないこと
②今は暴力暴言を社会が許す時代ではない。従って、これから一人一人が暴力暴言根絶に取り組んでほしいこと
③テクニカルファウルについては、バスケットボールの価値を高めるため、観客・保護者の皆さまにとって見苦しい振る舞いをなくすことも目的としていること

テクニカルファウルについては数値化し、実態を見える化するために調査を実施しましたが、その結果は表1の通りで、全国大会の方が多く発生していました。結局、強いチーム、勝っているチームの指導者が、相変わらず暴力的行為や暴言を続けていることが分かりました。

■表1 大会別のテクニカルファウル数

この結果を受け、2019年12月から「CLEAN THE GAMEキャンペーン」として、全国へ発信し、さらに啓発活動を行いました。その結果、12月に開催された「SoftBank ウインターカップ2019(令和元年度第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会)」では、暴力的行為や暴言によるテクニカルファウル数は0件となりました。

インテグリティ委員会を設立し、試合における暴力的行為や暴言の根絶については一定の成果が出たと感じていますが、これはテクニカルファウルという懲罰があってのことです。また、本丸である日常(普段の練習など)での暴力暴言根絶については、まだまだ課題が多くあります。今後は指導者および保護者への調査実施も含め、さらに進めていく必要があると感じています。

最後に、暴力暴言根絶に関しては、いち競技団体だけでなく、スポーツ界全体で取り組んでいく必要があります。日本サッカー協会(JFA)とJBA、そして他の競技団体も含め、協同しながら進めていければと考えています。ぜひよろしくお願いします。

【報告者】 宇田川貴生(日本バスケットボール協会インテグリティ委員会)

※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会『テクニカルニュース』2020年11月号より転載しています。

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