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ウェルフェアオフィサーの配置〜暴力根絶に向けて ~いつも心にリスペクトVol.10~

2014年03月03日

ウェルフェアオフィサーの配置〜暴力根絶に向けて ~いつも心にリスペクトVol.10~

日本サッカー協会(JFA)は、暴力を用いた指導を「しない、させない、許さない」をキーワードに暴力根絶に向けて取り組んでいます。

スポーツの指導現場における暴力の問題には、日本のスポーツ現場における悪しき慣習や社会の認識が大きく関わっています。指導者ばかりでなく、選手、役員、保護者をはじめ、関わりのある全ての人たちがその根絶に向けて意識を高め、健全なスポーツ文化というものを広めていく必要があります。それが確実に、「しない、させない、許さない」ことへとつながっていくのです。スポーツを指導する人、プレーする人、支える人、観る人…それぞれに対して多角的なアプローチが必要でしょう。

「ウェルフェア(Welfare)」とは、幸福、快適な生活、福利などを意味します。リスペクトの先進国であるイングランドサッカー協会では、このウェルフェアの守り人とも言うべき「ウェルフェアオフィサー」を各大会に設置し、フェアプレーのある試合環境づくりに努めています。サッカー、スポーツを楽しむためには、安心・安全が確保された環境が大前提です。JFAとしても、子どもたちやプレーヤーの安心と安全を守る担当者として、「ウェルフェアオフィサー」を置き、心からスポーツを楽しめる環境を広げていきたいと考えています。

大会に配置されるウェルフェアオフィサーの趣旨は左表の通りです。都道府県サッカー協会や各種大会では、すでに自主的に取り組んでいるところもあります。

サッカー界における暴力根絶に関して一人一人がすべきこと

●一人一人が、暴力・暴言が不要であるという認識を確認すること。
●暴力・暴言は連鎖、助長する危険性があるということを認識すること。一人一人がそれを断ち切る力となること。
●指導環境をオープンにすること。声を掛け合える、相談のできる環境をつくること。

大会ウェルフェアオフィサーの目的

●暴力根絶の問題に取り組むという意志表示
●気軽に声を掛け合える社会を目指しつつ、それを促進するために、その役割を担う人を置き、内外にそれを明確にする(この人はそれを担当する人であり、気づいたことがあれば声を掛ける。何か気づいたことがあったらこの人に伝えればよい、といった意味)。
●管理、監視、取り締まり、処分をするのではなく、あくまでもサッカー仲間としての気づきを伝える(同じ言葉や態度でも不快に感じる人もいるということなどを考慮する)。
●指導者と選手の関係性の中だけでなく、選手と審判員、ベンチにいる選手から審判に対して、あるいは選手同士、サポーターも含む、あらゆる要素を対象とする。
●大会を通した啓発、情報発信を行う。

高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会での初の取り組み

昨年12月22日〜28日に開催した「第25回全日本ユース(U15)サッカー選手権大会」では、JFA主催大会で初めて次の取り組みを実施しました。

・各試合に一人ずつウェルフェアオフィサーを配置する(JFA-TSGおよびナショナルトレセンコーチ、三種大会部会員、大阪府協会技術委員会関係者が担当)
・試合前の「マネジャーズミーティング」において、両チームにウェルフェアオフィサーの趣旨を説明する。
・各試合が終わった後に両監督に集合してもらい、試合のテクニカル面の講評や暴力根絶の観点から気づきがあれば伝えるなど、意見交換を行う。
・重大とみなされる案件があった場合は、対応を検討し、解決に努める。
・来場者に対してもウェルフェアオフィサーの趣旨を伝え、暴力根絶の意識を共有する。

参加チームにとっては、中学3年間の集大成となる大会です。トーナメント形式のため、試合終了後に両チームの監督に時間を割いてもらう難しさはありましたが、できる限り柔軟に対応し、ウェルフェアオフィサーも“指導者仲間”のスタンスで簡潔に話をしました。

大会の現場だけでなく、普段のサッカー活動の中でも問題は起こります。そのため、より多くの人に高い意識を持ってもらい、日常の指導現場、あるいはその周辺への心配りをしてもらうことが大切です。大会は、それを共有するための重要な場にもなるのです。
 
年代や、大会の性質などにより、ウェルフェアオフィサーの配置にはいろいろなやり方が考えられます。全試合に配置するのではなく、大会全体で1名から数名を配置する方法もあるでしょう。他にも、試合後の振り返りを習慣づけるといったこと、また、負けたら終わりではなく、リーグ戦あるいはグループステージなど次の試合につなげる試合環境で適用できればより良い成果が得られるかもしれません。運営面も踏まえ、可能かつ有効なやり方を考えていきます。

JFAは今後、いろいろなやり方を検討し、普段のサッカー活動や日々の生活につなげられるようにしていきたいと考えています。また、ぜひ多くのサッカーファミリーの方にトライしていただければと思っています。

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