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【Match Report】SAMURAI BLUE、スペインに逆転勝ちで2大会連続の16強進出
2022年12月02日
SAMURAI BLUE(日本代表)は12月1日(木)、FIFAワールドカップカタール2022のグループステージ最終戦でスペイン代表とカリファ・インターナショナル・スタジアムで対戦。堂安律選手(SCフライブルク)と田中碧選手(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)が後半早々に得点して2-1の逆転勝利を収め、2勝1敗でグループEを1位で突破。2大会連続で通算4度目となる16強進出を決めました。
日本は12月5日(月)に初のベスト8入りを懸けて前回大会準優勝のクロアチアに挑みます。
1勝1分けで首位をいくスペインに勝ち点1差で迫り、勝てば無条件で突破が決まる日本は、今大会で初めてスタートから3バックを採用します。板倉滉選手(ボルシアMG)、吉田麻也選手(シャルケ04)、谷口彰悟選手(川崎フロンターレ)を最終ラインに、ボランチを田中選手と守田英正選手(スポルティングCP)で固め、ウィングバックには右に伊東純也選手(スタッド・ランス)、左に長友佑都選手(FC東京)を配し、前線には前田大然選手(セルティック)を1トップに2列目に久保建英選手(レアル・ソシエダ)と鎌田大地選手(アイントラハト・フランクフルト)を起用。GK権田修一選手(清水エスパルス)がゴールで構える形で臨みました。
グループ1位突破で大会優勝を目指しているスペインは、1-1で引き分けた前節ドイツ戦から先発5人を変更しますが、セルヒオ・ブスケツ選手、ガビ選手、ペドリ選手の中盤は不動。そこに、ここまで2試合とも交代出場ながら2得点を決めているアルバロ・モラタ選手を先発で起用します。
すると試合開始12分でモラタ選手が期待に応えます。スペインは左サイドから右サイドへパスをつないで日本を押し込み、右サイドでブスケツ選手からパスを受けたセサル・アスピリクエタ選手が右からクロスを入れると、モラタ選手がゴール前でマーク2枚に競り勝ってヘディングで合わせて、3戦連続ゴールでリードします。その後もスペインがボールを保持して試合を進め、23分にモラタ選手がシュートで狙う場面を作るなど、前半はスペインがボールを保持して優位に試合を進めました。
日本は相手ボールを奪うと伊東選手、守田選手、鎌田選手が縦に速い攻撃を仕掛けますが、決定機にはなりません。0-1で前半を終えると、ハーフタイム直後にベンチが動きました。
後半開始から三笘薫選手(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC)と堂安選手を投入。前線で連動して相手最終ラインとGKウナイ・シモン選手に激しいプレスをかけます。
すると48分、左サイドで三笘選手と前田選手が連係して相手DFを押し込み、さらに前田選手がGKシモン選手に激しく寄せます。相手GKは味方にボールを出しますが、伊東選手が相手と競り合って落とし、これを受けた堂安選手が中央へ切り込んで左足を振ります。パワフルな一撃は、GKシモン選手の伸ばした手を弾いてゴールネットに突き刺さりました。
同点で勢いの出た日本は、その3分後、再び試合を動かします。GKからのロングフィードを受けた伊東選手から田中選手を経由して堂安選手とつなぐと、ペナルティエリア右から堂安選手がゴール前にグラウンダーのボールを供給。これが逆サイドに流れたところを猛ダッシュで追いついた三笘選手がゴールラインすれすれで折り返し、ゴール前に詰めた田中選手が押し込んでゴールネットを揺らしました。
直後にVARチェックが入り、三笘選手の折り返しがゴールラインを割っていないか入念にチェックされましたが、得点が認められて日本が2-1と逆転に成功します。
日本は62分に前田選手に代えて浅野拓磨選手(VfLボーフム)、その7分後には鎌田選手に代えて冨安健洋選手(アーセナル)を送り出して、伊東選手を2列目に上げて、冨安選手を右ウィングに投入し、スペインのサイド攻撃への対応を図ります。相手にボールを持たれる時間が続きますが、日本はしっかりブロックを作って守備を固めます。
試合を取り戻したいスペインは逆転を許した直後に選手交代でマルコ・アセンシオ選手、フェラン・トーレス選手を投入。さらに68分にもジョルディ・アルバ選手、アンス・ファティ選手と次々にフレッシュな選手を送り出します。日本は冷静に相手の動きに対応。同時に、三笘選手、堂安選手、伊東選手らがボール奪取でカウンターを狙う動きもちらつかせ、70分には三笘選手が左サイドで相手ボールを奪ってドリブルで持ち上がって中へ折り返し、浅野選手が右足で合わせて相手ゴールを脅かします。
スペインは終盤、アセンシオ選手がミドルシュートを放ち、フェラン・トーレス選手のパスにオルモ選手がペナルティエリアに入って右足で狙いますが、どちらもGK権田選手が阻止。最後までリードを守って2-1で勝利し、初戦のドイツ戦に続いてワールドカップ優勝経験のある強豪を撃破して勝ち点3を獲得。田中選手はこの試合のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれました。
この結果、日本は2勝1敗の勝ち点6でグループEを1位で突破。同時開始だったもう一試合でドイツがコスタリカに4-2で勝ってスペインと勝ち点4で並びましたが、得失点差で上回ったスペインが2位でノックアウトステージ進出です。
日本はラウンド16でグループFを2位で抜けたクロアチアと対戦。勝てば初の8強進出が決まります。
監督・選手コメント
森保一 SAMURAI BLUE(日本代表)監督
世界最高峰の実力のあるスペインとの戦いは難しく厳しくなることは予想していましたし、実際に難しい試合展開でしたが、選手たちが1失点したあとも、自分たちの戦いに持っていこうと粘り強く戦ってくれました。前半、粘り強く我慢強く戦ってつなげてくれる選手がいたからこそ、後半良い攻撃に移っていくことができました。選手たちがコスタリカ戦から気持ちを切り替えて最高の準備をし、粘り強く最後まで戦うことで勝つ確率を上げてくれました。現地で、日本で、サポーターが応援してくれたおかげです。国民のみなさんに勝利を届けられてうれしく思います。
今日の戦い方はチームで考えて選択したものです。ハーフタイムには0-1でしたが、よく我慢しながら戦えていたので、「プラン通りに進んでいる。よく我慢した」と選手に声をかけ、後半へ向けて、よりゴールに向かっていくことと、もう失点をしないようにということを伝えました。スペインにボールを握られると想定して、いい守備から背後のスペースを突くことを優先順位の第一に考えて、ボール保持する時間を作ることも選手たちに伝えていました。スペインのプレッシャーが早くてあまりうまくいかなかったですが…。決勝ゴールのVAR確認の時は、レフェリーのジャッジをリスペクトして任せようと思っていました。
もう一つの試合会場の動きは逐一報告を受けていて、途中は引き分けでもという状況もありましたが、最終的には勝たないとグループステージ突破はなかったので、勝利を目指して戦っていました。試合の最後の1分ぐらいは、(1994年最終予選の)ドーハの記憶が出てきていたのですが、ちょうどその時に選手が前向きにボールを奪いに出たのを見て、「あ、時代は変わったんだ」と、新しい時代になったと感じました。世界最高峰のドイツとスペインに勝ったことは、アジアや日本が世界の舞台で戦っていけるという大きな自信につながると思います。アジアや日本サッカーに関わるすべての人々と喜びを分かち合いたいです。
FP #3 谷口彰悟 選手(川崎フロンターレ)
いつ出場のチャンスが来てもいいように準備をしていました。初めて(ワールドカップの)ピッチに立たせてもらって少し緊張しましたが、比較的落ち着いてできたと思います。スペイン戦で勝ち点3をとって突破するというタスクを果たせたので、うれしいです。とにかくゼロの時間を長くしようと言っていて、試合に入って先に失点はしましたが、0-1でも我慢強く戦おうと。もう一つの試合状況を含めて我慢強く戦うことは試合前からみんなで(意識を)合わせていました。最少失点でチャンスをうかがってプレーすることは今日もできたと思います。ハーフタイムにはとにかく仕切り直して、「チャンスあるぞ」と言っていました。後半からメンバーが変わって、堂安選手は時間を作れますし、三笘選手には高い位置でプレーさせてはめにいかせてと考えていました。そこで相手を少し惑わすことができて逆転にもっていけたと思いますし、人の特徴を生かしながらチームとして戦うことができたと思います。
FP #17 田中碧 選手(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
ゴールの場面は、前田選手と三笘選手がいたのでなんとか残るんじゃないかなと思って信じたんです。で、(三笘)薫さんがうまく残してくれました。入ると信じてやり続けたのがよかったと思いますし、あそこに入ることは(練習で)ずっとやってきていました。自分はけが人が出てチャンスをもらっていたので、出る以上は結果を残してポジションを勝ち取りたいという思いもあります。それには目に見える結果が一番なので、そうできたのはよかったです。ずっと自分がゴールを取ることをイメージしてやってきていました。それを現実にすることができて、少しは努力が報われたのかなと思います。東京オリンピックでスペインに負けていたので、勝てて率直にうれしいです。相手にボールを持たれて、自分たちがやりたいサッカーをやれているというのではないですが、ワールドカップで勝つなかでは最善策ですし、きついグループで勝ち点6を獲れたのは紛れもなく僕らの力です。それは、少しは自信を持っていいと思います。
FP #22 吉田麻也 選手(シャルケ04/ドイツ)
すごくうれしいです。でも、目標はもう1つ勝つことです。失点シーンはちょっと甘かった。一瞬のスキをつくクオリティはドイツもスペインもあります。前半は我慢を強いられて、前線の選手にほとんどチャンスがなくて申し訳なかったですが、ハーフタイムにドイツが1-0で勝っているという情報が入って、1点獲れば抜けられるとポジティブにとらえました。ドイツ戦の経験から0-1でいけば必ずチャンスがあるとみんな思っていましたし、点を取りにいかないといけない状況だったので、後半10分は前からプレスに行こうと。あの時間はスペインが一瞬気を抜いていたかと思います。うまく堂安選手が点を取ってくれて、(2点目確認の)VARも長かったですが、畳みかけることができました。そこからかなり長い時間守ることになりましたが、気を緩めずに最後まで戦えたのが大きかったと思います。ドイツとスペインに勝ったことは自信を持てますが、目標はベスト8です。ここで満足せず、もう1つ行って新しい世界を見たい。それが日本サッカーの発展につながります。子どもたちが10年後20年後に、「この試合を見たから代表に」という選手が増えれば日本サッカーの進歩だと思います。
FP #25 前田大然 選手(セルティック/スコットランド)
前半は我慢というのがありました。失点して若干苦しくなりましたが、前から行かないで引いて、ブスケツ選手のところで起点を作られないようにと意識して戦っていました。後半はプレスでいくとなったのですが、チーム全体でいくとハマるので、それがうまくできたと思います。ドイツ戦同様に2点目を取らせなかったことが逆転できた要因だと思います。でも、ノックアウトステージでは先に失点すると厳しくなります。そこは改善する必要があると思います。このグループはドイツとスペインが上がると言われていたなかで、1位突破はすばらしいこと。でも、僕らが目指しているのはそこではないので、切り替えてクロアチア戦に準備したいです。
ルイス・エンリケ スペイン代表監督
1位突破ができず、守備もできずで、結果にも内容にも満足していません。ハーフタイムに、日本は後半出てくるので気を付けるようにと注意していたのですが、うまくチームをマネジメントできませんでした。守備が崩れて2失点を与えてしまい、3分間でノックアウトされました。(ボール保持する時間は)80分はあったのに日本に負けて、突破はしましたが全く喜べません。次の試合へ、気持ちを盛り返して自信を取り戻すことが必要です。タフなグループでした。
田嶋幸三 JFA会長
森保監督と選手たちが日本のやり方や戦術をしっかり把握した上で、共同体としてコレクティブなサッカーを見せて、ドイツ戦同様に非常に難しい戦いでしたが、前半を0-1で終わらせて、よく逆転してくれました。特に最後の方はドイツ対コスタリカの試合の動きで、刻々と変わる状況でしたが、選手たちがしっかりと対応してくれたことは本当に素晴らしい。選手は強くなっています。コスタリカ戦からしっかり切り替えられていて、本当に彼らはプロフェッショナルだと思いますし、欧州やJリーグでいい選手と向かいあって戦っている証だと思います。指導者だけでなくサッカーに関わる全ての方々を含めて日本サッカー全体の底上げがあってのことです。次は新しい景色を見るためにクロアチアに挑戦することになります。アジアの大会で、オーストラリアや僕らが次のステージへと抜けていくことは大事なことです。韓国にもがんばってほしいと思います。
FIFAワールドカップカタール2022
大会期間:2022年11月20日(日)~2022年12月18日(日)
グループステージ
第1戦 11月23日(水) 16:00[現地時間] vs ドイツ代表
第2戦 11月27日(日) 13:00[現地時間] vs コスタリカ代表
第3戦 12月1日(木) 22:00[現地時間] vs スペイン代表
ノックアウトステージ
ラウンド16 12月5日(月) 18:00[現地時間] vs クロアチア代表
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