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[特別企画]全国高等学校サッカー選手権大会、第100回記念 伝統を残しながら、さらなる発展を 林義規JFA競技会委員長(JFA副会長)インタビュー 後編
2021年12月17日
冬の風物詩、全国高等学校サッカー選手権大会が今年度で100回を迎える。
数多くの名手と名将を生み出してきた大会において長く運営に携わり、監督としても出場経験のある林義規JFA競技会委員長(JFA副会長)に話を聞いた。
○オンライン取材日:2021年10月20日
※本記事はJFAnews2021年11月に掲載されたものです
負けた高校の先生も生徒も最後まで大会運営をサポート
――全国的に競技レベルが上がった背景として、93年にJリーグが開幕した影響もありますか。
林 高体連の立場からすれば、Jリーグがスタートするのと同時にJクラブがアカデミーを設けたことは刺激になりました。高校でもより優れた選手を育て、チームを強くするためにいろいろな取り組みを進めました。その一つが、布啓一郎さん、小野剛さん(現、JFA副技術委員長)らが中心となって編成したTSG(テクニカルスタディグループ)です。高校選手権の全試合映像を記録し、戦術、技術の分析を始めました。大会ごとにまとめた映像をDVDに収め、全国の約4000校に配布したわけです。高校によってはサッカーの専門知識を持たない先生が部活動を教えているケースもありますから、良い取り組みだったと思います。戦術、技術論を全国に広報したメリットは大きく、地域間のレベルが拮抗した要因の一つだと思っています。
70~80年代はワールドカップに出場するなど夢のまた夢でしたので、高校選手権だけを目標にする選手もいました。その点、Jリーグが創設されたことによって高校卒業後も次のステージで活躍するという目標が生まれたことは大きなプラスでした。大会運営に携わるわれわれにとって、高校選手権は選手たちの通過点であってほしい。高校選手権を経由してJリーグで活躍し、日本代表に選ばれ、ワールドカップに出場してもらいたいのです。今ではヨーロッパに羽ばたく選手もいますので、うれしい限りです。
――高校選手権は多くの選手を育て、また多くの指導者も輩出してきました。
林 現在の日本代表のコーチングスタッフを見ても分かる通り、高体連でプレーしていた方々ばかりです。日本代表の森保一監督は長崎日大高、横内昭展コーチは東海大第五高、上野優作コーチは真岡高で活躍していました。Jリーグで活躍中の監督にも同じことが言えます。川崎フロンターレの鬼木達監督は高校時代、市立船橋高で布監督に鍛えられ、FC東京の長谷川健太監督は清水東高で勝澤要監督の指導を受け、高校選手権でも躍動しました。
――大会を陰で支えてきた運営サイドについては、どのような思いを持っていますか。
林 多くの先生、生徒の協力が不可欠でした。昔は会場の警備、駐車場の管理なども首都圏にある学校の先生方が担当していました。どの高校も高校選手権出場を目指し、選手たちを鍛えて都道府県予選に臨みますが、勝ち残るのはほんの一握りで、ほとんどの高校は負けるわけです。そして、高校選手権の良いところは、負けた高校の監督や選手たちが、その後も大会の運営に携わり、勝ち残っている高校が最後まで気持ち良くプレーできるように尽力しているところだと言えます。
――古き良き伝統もあれば、時代に合わせて変化した部分もあるかと思います。
林 プレーヤーズファーストの観点から、試合の間隔を空けるなど、日程を見直しました。原則として、高体連の大会は長期休暇中に全日程を終えなければなりません。正直、越えるべきハードルは高かったですが、大会規定と選手の健康のバランスを取りながら、休養日を設けて準決勝、決勝を開催する現行のシステムになりました。
――第100回大会は新しい歴史の一歩になるのでしょうか。
林 コロナ禍でなければ新しいトライもできたかもしれませんが、第100回大会は、先人が培ってきたものを継ぎたいと思います。昨年度はインターハイが中止になるなど、未曾有の危機に直面しました。高校選手権に関しては感染予防対策を徹底することで何とか第99回大会の開催にこぎつけました。苦労した99回目がなければ、100回目を迎えることはできなかったと思っています。逆風が吹く中、うれしいニュースもあります。節目のタイミングで8年ぶりに国立競技場で準決勝と決勝が開催できることです。高校選手権ならではの伝統を残しつつも、101回目からは時代に合ったアイデアを出し、さらに大会を発展させていく構えです。
林委員長が「印象深い」と語る試合の一つが、第88回大会決勝。
横森巧総監督(写真左)率いる山梨学院大学附属高が青森山田を1-0で退け、初優勝を飾った
第100回全国高等学校サッカー選手権大会
大会期間:2021/12/28(火)~2022/1/10(月・祝)
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