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【Match Report】フットサル日本代表 アンゴラ戦に8-4で勝利、ワールドカップ史上初の初戦勝利で次戦に弾みをつける
2021年09月15日
フットサル日本代表は14日(火)、2日前に開幕したFIFAフットサルワールドカップリトアニア2021の初戦となるアンゴラ戦を迎え、オリベイラ・アルトゥール選手の4得点を含む大量8得点で勝利を飾りました。
アフリカ大陸王者のアンゴラを相手に、白いAWAYユニフォームに身を包んだ日本のスタメンはGKに関口優志選手、フィールドプレイヤー(FP)にキャプテンの吉川智貴選手、オリベイラ選手、逸見勝利ラファエル選手、清水和也選手が並び、現地時間20:00に日本のキックオフで試合は始まりました。
キックオフ直後、早々に逸見選手がこの試合最初のシュートを放つと、清水選手が前線で起点となってアンゴラを押し込みます。序盤から積極的にシュートを打って攻撃を終え、相手のゴールクリアランスに対して高い位置から守備を始める得意の形で試合に入りました。「オープンな戦いを好む」とブルーノ監督が分析するアンゴラは、攻守に個々人の能力を存分に活かしたスタイルが特徴です。そのアンゴラに対して日本は緻密な連係をベースとした戦い方を得意とし、特に多彩なキックインでアンゴラを揺さぶると、カウンター気味に繰り出されるアンゴラの攻撃に対しても落ち着いて対応します。
数多くのチャンスを作る日本でしたがゴールを奪うには至らず。11分、流れを変えようと前後半各1回認められるタイムアウトを最初に取ったのはアンゴラでした。この時間を使ってブルーノ監督も選手に指示を出します。タイムアウト明けの13分、高い位置で得たキックインのチャンスに、逸見選手からパスを受けたオリベイラ選手が右足を一閃、寄せてきたアンゴラ選手の股を抜くシュートをゴール左隅に流し込んで待望の先制点を奪います。さらにその直後の14分、中盤でボールを奪った星翔太選手の絶妙なループシュートは惜しくもゴールバーを叩きますが、これに詰めていた室田祐希選手が押し込んで追加点をあげます。その後も厳しいチェックからチャンスを作る日本は、西谷良介選手や毛利元亮選手が積極的にシュートを放ちますがアンゴラGKのセーブに遭って突き放すことができません。前半残り時間も少なくなってきた17分に日本もタイムアウトを取りますが、その後は連続してピンチを招きます。シュートミスやGK関口選手のセーブで事なきを得ますが19分、自陣ゴール付近でもたついたところを突かれて失点。2-1と詰め寄られます。そのままハーフタイムに突入かと思われた20分、ドリブルで持ち上がったオリベイラ選手が、タイマーが残り時間0秒を示したところで倒されてFKのチャンスを得ます。この判定に対してブルーノ監督はペナルティエリア内でのファール、つまりPKを主張して、今大会採用されているビデオサポートによるチャレンジ権を行使しますが、ビデオ判定の結果ジャッジは変わらず。前半最後のプレーを実行するために戻された残り1秒のFKのキッカーはオリベイラ選手。GKと壁の間のコースを見事に通したシュートが決まって3-1とリードを広げて試合を折り返しました。
前半のスタッツで、アンゴラの17本に対して41本のシュートを浴びせて圧倒した日本ですが、後半開始わずか21秒、与えたキックインからあっさり失点して3-2と詰め寄られます。後半の嫌な立ち上がりのムードを打ち破ったのは再びオリベイラ選手でした。23分、左コーナーキックを吉川選手が巧みなコントロールキックで逆サイドのオリベイラ選手に合わせるとこれをダイレクトボレーで決めてハットトリックを達成します。ここからは点の取り合いとなり試合が一気に動きます。24分にオウンゴールで失点、続く25分には兄・星翔太選手のパスを弟・星龍太選手が流し込み、さらには西谷選手が抜け目ない守備からゴールを奪うも、29分には自陣ゴール前でのミスから技ありのループシュートを決められて6-4となります。
その後は膠着状態が続き、35分には再びブルーノ監督がチャレンジを行使します。清水選手のシュートに対してペナルティエリア内でハンドがあったと主張するも、映像判定の結果これは失敗。すると試合残り5分を切ったところでアンゴラはFPにGKのユニフォームを着せてパワープレーに出ます。落ち着いて対応する日本は37分、吉川選手と星翔太選手が厳しいフォアチェックでアンゴラを追い込むと、ボールを奪ったオリベイラ選手がコースを見極めてシュートを叩き込み、圧巻の4点目を奪って7-4とアンゴラを突き放します。勝ち点だけでなく得失点差も大事になるグループステージでは1点でも多くゴールが欲しいところ。試合時間残り3秒、この日誰よりも献身的に走り続けた星翔太選手がアンゴラのパワープレーを返す形で無人のゴールに蹴り込んで8点目を奪って試合は終了。今大会に臨むにあたり、「止めてしまった歴史の時計の針を前に進めるという強い気持ちで準備を進めてきた」と話した星翔太選手のとどめの一撃で、再び日本フットサルの時計が動き出した瞬間でした。
日本のグループステージ第2戦は、ブルーノ監督の母国でワールドカップ優勝2回を誇る強豪・スペインと日本時間17日(金)深夜24時キックオフ予定です。
ハイライト映像はこちら(FIFATV)
JFAフットサルテクニカルダイレクターコメント
小西鉄平 氏
2016年10月にブルーノ・ガルシア監督体制がスタートし、ワールドカップで主役になることを目標にこれまで強化を続けてきました。2016年のワールドカップコロンビア大会の出場権を逃した後ということで、まずはアジアで日本の定位置に返り咲くという目標を掲げ、2017年アジアインドアゲームズで3位、そして2018年AFCフットサル選手権では準優勝と、優勝こそ逃しましたが、日本が本来いるべき場所に戻ることが出来たと思っています。我々が次に掲げた目標は、フットサル日本代表のワールドカップ史上、最高位を勝ち取ること。そしてワールドカップの主役になることです。まずは今日の初戦に勝利することができました。この勝利のために選手やスタッフが捧げてきた努力や想いを知っているので、本当に嬉しく思います。また、フットサルに対して情熱を傾けている多くの仲間の思いも今日の勝利を後押ししてくれたと確信しています。この勝利の意味や意義というのは、おそらくこのワールドカップが終わったあとにはっきりとした輪郭として出来上がってくるものと思っています。それは、フットサルが日本フットボール界にどう貢献していけるのか。また、その価値を今以上に感じてもらえるのかといった我々の存在価値を引き上げてくれるものだと思いますし、日本が今大会の主役になることができればその輪郭はより大きく、より明確なものになると思います。目標達成のために、次のスペイン戦もチーム全員で良い準備をして臨みたいと思いますので、引き続きの応援のほどよろしくお願いいたします。
監督・選手コメント
ブルーノ・ガルシア 監督
難しいワールドカップの初戦に勝てたこと、そして史上初めてワールドカップの初戦に勝利できたということで、非常に重要な一戦になりました。今日の登録選手14人中12人が初めてのワールドカップで、スタッフの多くも同様に初めてのワールドカップです。そうした観点からも非常に重要な意味を持った勝利だったと思います。グループにおいては、スペイン、日本ともに4点差で勝利しましたが、8得点している日本が上回っているということも良かったと思います。アンゴラの情報が少ない中で、彼らの直近の試合を分析したり、またここリトアニアで行った、同じアフリカ代表で似た特徴を持つモロッコとの試合で準備できたことが功を奏しました。初めてワールドカップを戦う選手が多いグループだということもあるかもしれませんが、今日の失点はすべて自分たちのゴール近くで起きたミスであり、本来は起きてはいけないものでした。しかし、今本当に大事なことは、そういったものをしっかりと抽出し、次の試合に向けて改善させることだと思っています。
FP #7 室田祐希 選手(エスポラーダ北海道)
今日は勝てたことが一番大事で、その点では満足しています。個人的には後半の中盤くらいで落ち着かないプレーやミスが出てしまい、反省しなければと思っています。チームとしては試合を通じて球際に強く行けていましたし、走り切ることができていました。攻守の切り替え、ゴール前で体を投げ出すこと、こぼれ球に詰めることなど、そうしたひとつひとつのプレーが8つのゴールを生んで、結果として勝利に繋がったんだと思います。一方で改善すべき点としては、4つ目、5つ目のファールを取られると、自分たちの強みの積極的な前線からの守備にいけなくなるので、ファールコントロールは気をつけないといけないと感じました。
FP #8 加藤未渚実 選手(シュライカー大阪)
自身初のワールドカップで、キックオフするまでの時間で「本当に始まるんだな」と感じました。ワールドカップに向けた活動が始まって、初戦に向けて頑張ろうと話していて、そこから日本、スペイン、ポルトガルと活動を続けてきました。長いなぁと感じた時もありましたが、直前になってからはいよいよ始まるんだなと思ってこの日を迎えました。自分は2016年に日本代表でデビューをして、そこで初めてピッチ上で国歌を聞きました。その時もぐっと来るものはありましたが、今日の国歌は声が裏返るほど感極まるものでした。チームとしてこれまで積み上げてきたものがある中で、それが完ぺきにできたわけではありませんが、思い切ってやろうとセット内でも話していて、実際に気持ちよくプレーできた部分もありました。チームが勝利できた中で、あとは個人的にはゴールに絡めるようにしたいです。
FP #14 西谷良介 選手(名古屋オーシャンズ)
初戦で8得点できたことは非常にポジティブなことです。改善しなければいけないことはもちろんありますが、この初舞台で初勝利できたこと、そして個人的には初得点できたことを今日は素直に喜びたいと思います。2016年のワールドカップを逃して臨んだ今大会、試合前に流れた君が代を聞いて、今までにない感情が胸に湧き上がってきました。過去の敗戦を知っているからなのか、ここまでの時間が長かったからなのか、色々とこみ上げてくるものを感じました。試合後は、皆どこかで納得していない雰囲気もありましたが、監督も言っていたように、この勝利を素直に喜ぼうと思います。今日の試合は、ひとつのゴールの大事さを知るいい機会にもなったので、ゴールをチーム全員で喜び、また失点の重みを知ることで、この試合を教訓に次の試合につなげたいと思います。
FIFA フットサルワールドカップ リトアニア2021
大会期間:2021/9/12(日)~2021/10/3(日)
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