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帰省時の栄養指導 〜JFAアカデミー堺 スタッフ通信Vol.16

2021年02月17日

帰省時の栄養指導 〜JFAアカデミー堺 スタッフ通信Vol.16

JFAアカデミーでは「常にどんな時でも(日本でも海外でも)ポジティブな態度で何事にも臨み、自信に満ち溢れた立ち居振る舞いのできる人間の育成」というフィロソフィーを掲げ、真のエリートを目指して日々活動しています。
JFAアカデミースタッフ通信では選手たちの日常の様子や、日々の活動を詳しくお伝えしています。今回JFAアカデミー堺のレポートを担当するのは小野美香トレーナーです。

はじめに

JFAアカデミー堺に来て3年になります。オフザピッチでは、1年生を担当しています。新たに始めた帰省時の栄養指導と栄養講習を紹介します。
JFAアカデミー堺では、平日は寮に寄宿し、週末・長期休暇は帰省して所属チームでの活動をしています。週末帰省時・長期休暇期間は食事内容や摂取量を自己管理する環境となります。しかし週末帰省・長期休暇明けに、体重・筋量が減少する選手が多いのが実情でした。
そこで、帰省時に食事内容を場面に応じてマネージメントする能力を身につけること、帰省中の食事量や食事内容の把握・個別指導を目的として、帰省時の栄養指導を昨年の10月から導入しました。

帰省時の栄養指導方法

選手には5種類の食事構成 主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物をそろえる食事の基本を指導するとともに、コンディション管理ソフトONE TAP SPORTSを活用した指導を行っています。具体的な方法は、月1回設定した土曜日・日曜日の食事・補食を各選手がスマートフォンで写真を撮り、食事量と食事の写真をソフトに入力します。入力後、管理栄養士がその内容を確認し、各選手の評価・指導を行うというものです。
評価、指導結果を共有し、テクニカルスタッフとともに、在寮中の生活の中で選手へ声掛け、指導内容の理解を促すようにしています。
毎月の評価では、ソフト内に管理栄養士からコメントを入れ、選手がそれぞれコメントを確認します。また数ヶ月に1回、食事5種類について、JFAアカデミー堺で設定している各種類の目標量を100としてスコア化したものを紙で選手に渡し、自分の食事量や栄養バランスを理解しやすいようにしています。
今年度からはさらに、保護者の方から食事や栄養に関するコメントをいただくようにしました。こうしたやり取りは、家庭での選手の様子や家庭の食事で困っていることを把握するツールの一つになっています。(図1.2)


帰省時栄養指導の結果

栄養指導開始時、帰省時の食事摂取量がアカデミーでの摂取量と比較して少ない傾向が見られました。指導を始めた2019年10月と2020年1月を比較した結果、栄養指導実施により食事5種類のスコア合計点(500点満点)は、全学年の全体スコアの平均が354から380に変化し、食事の改善がみられました。種類別のスコア変化を見ると、主菜、副菜、牛乳・乳製品はスコアが上がりました。このように月1回の評価・指導ですが、一定の成果がみられています。
また、個人の課題が明確になり、貧血やエネルギー不足の選手に対しても的確な栄養指導が出来るようになりました。保護者の皆さまからは、自宅でも「補食を用意してほしい。」「果物やチーズ・ヨーグルトがほしい。」と選手から要望がでるようになった、との変化の声も聞いています。(図3.4)


栄養講習会

現在、選手と保護者を対象とした栄養講習会を年に2回ずつ行っています。内容は、選手・保護者共に同じ内容にするように心がけています。講義内容を統一することで、各家庭で栄養について話す機会を作ってほしいと考えているからです。今年度は、新型コロナウイルス感染症の流行により対面での講習会は実施できませんでしたが、選手を対象としたリモートでの講習会を実施しました。
今年度の講習会では、週末に食事を上手く取れている選手を講義の中で紹介しました。そして、選手同士で食事摂取ポイントをインタビューし食事摂取のコツを聞くようにしました。1年生は先輩の週末の食事摂取量を見て驚き、補食の取り方も学んでいました。先輩が良い見本になってくれています。
今年度の保護者対象の栄養講習会は、選手対象の講習会と要点を同様にした動画を作成し配信することを検討しています。感染予防のため、例年と異なる形にはなりますが出来ることを一つ一つできればと思っています。

以上、JFAアカデミー堺で行っている栄養サポートの一部分を紹介しました。帰省時の栄養指導を開始して、長期休暇後の体重・筋量が低下する選手は少なくなってきました。保護者の皆さまのご協力・ご理解があっての成果であり、感謝しています。一方で、選手は思春期であり体重には敏感な年ごろです。食事量を増やすことに抵抗がある選手がいるのも現状です。自分自身の適正体重を正しく認識できるようにアプローチすることも大切だと考えています。今後は婦人科領域との連携を強化していきたいです。

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