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アジア、世界を舞台に男女日本代表が躍動~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.3~
2016年11月24日
皆さん、こんにちは。日本サッカー協会(JFA)会長の田嶋幸三です。
U-20日本女子代表、今日(11月24日)、ブラジルと準々決勝
FIFA U-17女子ワールドカップで準優勝を果たしたU-17日本女子代表に続き、U-20世代の女子代表がFIFA U-20女子ワールドカップ パプアニューギニア2016で奮闘中です。
U-20日本女子代表は11月13日に、前回大会で準優勝したナイジェリアとの初戦に臨み、上野真実選手のハットトリックなどで6-0と快勝しました。続く16日のスペインとの試合は0-1で惜敗するも、20日のカナダとのグループステージ最終戦を5-0で圧勝。同グループのナイジェリアがスペインを下したことで日本はグループ首位に浮上し、ノックアウトステージ進出を果たしました。
そして今日、グループA 2位のブラジルとの準々決勝に臨みます。キックオフは18時30分(日本時間)、フジテレビNEXTで生放送です。
高倉麻子監督以下、強い気持ちで勝ち星を重ね、世界女王の座を獲得してほしいと願っています。皆さん、パプアニューギニアで戦うU-20日本女子代表に熱いエールをお願いします。
アジア最終予選、グループ2位に浮上
アジア最終予選も折り返し地点となり、11月15日は各地でし烈な戦いが繰り広げられました。
SAMURAI BLUE(日本代表)はこの日、ホーム・埼玉スタジアム2○○2で、グループB首位を走るサウジアラビアとの大一番に臨みました。
大迫勇也、清武弘嗣、久保裕也らが先発出場を果たしたこの試合、日本は立ち上がりから攻撃的なサッカーを展開しました。全員が集中力を切らさず、攻守にわたって躍動するサッカーを見せてくれました。これまでの5試合で最も良い試合だったと思います。選手たちも、今回のような戦い方を続けていけば予選突破につながるという自信をつかんだはずです。
この勝利で勝点を10に伸ばした日本は、サウジアラビアとの得失点差1でグループ2位となり、アジア最終予選の前半戦を終えました。来年3月からの後半戦はホームゲームが2試合、アウェイゲームは、アラブ首長国連邦、イラク、サウジアラビアとの3試合が控えていますので、予断を許しません。
中東でのアウェイ戦に向け、空路での移動の負荷や時差、気温差などの対策も必要ですが、ヨーロッパで活動する選手たちにとっては移動等の負担が軽減するとポジティブに捉えた方がいいでしょう。もっとも条件はどのチームも同じ。西野朗技術委員長を中心に強化プランを立て、しっかり準備して後半戦に臨みたいと思います。
Jリーグチャンピオンシップも11月29日(火)と12月3日(土)の両日に浦和レッズ(Jリーグ年間勝点1位)と、チャンピオンシップ準決勝を制した鹿島アントラーズとの決勝戦が行われます。天皇杯もベスト8が出揃い、12月24日(土)に準々決勝が行われます。
一方、ドイツのブンデスリーガをはじめ、ヨーロッパの各国リーグはシーズン真っ只中ですので、海外で活躍する日本人選手は何としてもレギュラーの座をつかみ、一段とパワーアップしてSAMURAI BLUEに勝利の息吹を吹き込んでほしいと思っています。
アジア王者となったU-19日本代表に期待
10月13~30日にバーレーンで開催されていたAFC U-19選手権で日本は初優勝を飾りました。しかも、グループステージ、ノックアウトステージの全6試合を無失点に抑えての優勝です。国際サッカー連盟(FIFA)も「日本は最も御し難い(meanest)守備陣を誇っていた。決勝までの道のりで5試合完封を続けていた」と、異例の表現でU-19日本代表の守備力を讃えました。
この世代は、2007年のFIFA U-20ワールドカップに出場したのを最後に4大会も国際舞台から遠ざかっていましたので、アジア4強入りは悲願でした。選手たちにはそれが大きな重圧となってのしかかっていたと思います。しかし、彼らはプレッシャーに押しつぶされることなく、果敢に戦ってくれました。試合を重ねる毎に成長し、自信をつかんだのではないでしょうか。初のアジア制覇を成し遂げてくれた内山篤監督以下、チーム全員に心からの賛辞を伝えたいと思います。
振り返ると、1990年代、U-17世代の代表には小野伸二、稲本潤一、高原直泰らが、U-20世代には中村俊輔、中田英寿、宮本恒靖といった選手がいて、海外遠征の機会が多くありました。成長した彼らは1999年のFIFA U-20ワールドカップで準優勝を果たすと、その後も10年以上にわたって日本サッカーをけん引しました。
今回、幸いにもU-17、U-20日本代表が共に世界大会進出を果たしましたが、18~20歳の若手選手の公式戦の出場機会が少ないことは、日本サッカーの恒常的な問題です。伸び盛りのこの年代が真剣勝負の機会がないというのは、将来の日本サッカーの弱体化を招きかねませんので、Jリーグと協力して多角的な対策を講じていかなければなりません。
国内リーグでの試合経験はもちろんですが、さらに上のレベルに持っていくには国際経験は不可欠。海外のチームと戦うことで選手は“グローバルスタンダード”を肌で感じ、自分との差を痛感します。このことによって、伸び代が大きく変化するのです。また、世界を経験した選手がクラブチームに戻って他の選手に伝える影響力も決して小さくありません。
Jクラブも海外遠征などを実施して海外経験を積む必要がありますし、日本サッカー協会(JFA)としては、国内で開催される国際マッチや海外での親善試合に積極的に参加するなどしていきたいと考えています。もっとも今回のように、U-17世代やU-19世代がアジアの真剣勝負を突破してワールドカップの舞台に立つことが最大の刺激になりますから、やはり、どの年代でも常に「世界」を視野に入れて強化を進めていくことに尽きると思います。
リオデジャネイロオリンピックで優勝したブラジルの代表チームは、19歳、20歳の選手が半数を占めていました。それを考えると、2020年の東京オリンピックに向けた選手の育成・強化は、ユース世代だけでなく、その下の世代、さらには、オーバーエイジの輩出も見据えて行っていかなければなりません。
一方、女子のオリンピックサッカー競技は男子と違って年齢制限がありませんから、U-17、U-20世代の若い選手が何人なでしこジャパンに入るかが、東京オリンピックでのメダル獲得を左右するでしょう。なでしこジャパンがリオデジャネイロオリンピックに出られなかった悔しさを若い世代が共有し、ベテラン選手とのポジション争いをしながら世界のトップ オブ トップを目指してほしいと思っています。
男子は西野朗技術委員長を中心に強化プランを立て、女子については、今井純子女子委員長と代表監督とで選手の育成と強化を推し進めていきます。国際舞台で代表チームが良い結果を残すことで底辺も拡大しますので、ベストなコンディションで2020年を迎えられるよう、JFAとしてはしっかりサポートしていきます。
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