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【Match Report】U-20日本女子代表、スペインに敗れるも準優勝で大会を終える
2022年08月29日
FIFA U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022は8月28日(日)、サンホセのナショナルスタジアムで決勝戦が行われました。
フランスで行われた2018年の前回大会と同じ決勝カードが実現し、前回王者のU-20日本女子代表はU-20スペイン代表と対戦。前回大会でもチームを率いた池田太監督とペドロ・ロペス監督がピッチ上で再会することとなりました。
両国は、2014年にコスタリカで行われたFIFA U-17女子ワールドカップ決勝でも同会場で決勝を戦っています(2-0で日本が勝利し優勝)。日本は育成年代から切磋琢磨してきた最高のライバルと、U-20女子ワールドカップ史上初の大会2連覇を懸けてこの試合に臨みました。チケットは完売。29,891人の観客が見守る中、午後8時にキックオフの笛が鳴りました。
準決勝のブラジル戦と同じメンバーで臨んだ日本は、立ち上がりからスペインの圧力に耐える時間が続きます。ピッチを広く使ってドリブルとパスを効果的に使い分けるスペインに対し、なかなかボールを奪うことができません。すると前半12分、ロングボールから今大会7得点と絶好調のインマ・ガバーロ選手に抜け出されて失点。さらに、22分には同じくロングボールから、スピードのあるサルマ・パラルエロ選手に最終ラインを突破され、失点を重ねます。
日本は24分、大山愛笑選手がワンタッチでスペースに出したボールに浜野まいか選手が反応してシュートを放ちますが、GKチェル・フォント選手の正面。するとその1分後、自陣ペナルティエリア内で石川璃音選手の手にボールが当たりハンドの判定を取られ、PKをパラルエロ選手に決められて3点を追う形となりました。
日本はここで3バックから4バックに変更し、形勢を立て直します。31分、浜野選手のスルーパスに、右サイドから駆け上がった杉澤海星選手が走り込み決定機を創出。ペナルティエリア内で切り返してファーサイドを狙ったシュートは、わずかに枠を外れました。39分には、山本選手のクロスに田畑晴菜選手が合わせます。しかし、このシュートもフォント選手の守備範囲内でした。
0-3で迎えた後半、池田監督が天野紗選手と松窪真心選手をピッチに送り出すと、日本はさらに攻勢を強めます。待望のゴールは47分に生まれました。山本選手の仕掛けから相手陣内でフリーキックを獲得。デザインされたフリーキックでスペインの守備陣を翻弄し、最後は天野選手が詰めてゴールネットを揺らして1点を返します。
その後も日本の時間が続きましたが、交代枠を使って守備固めに入ったスペインの堅守を崩すことはできず。最後まで攻め抜いた日本に対し、スタンドからは大きな声援が送られましたが、試合はこのまま1-3で終了。スペインが大会初優勝を飾りました。
表彰式では、大会通算4得点を決めた浜野まいか選手が大会最優秀選手に贈られるゴールデンボールと、シルバーブーツを受賞。3得点の山本柚月選手がブロンズブーツを受賞しました。
監督・選手コメント
池田太 監督
相手選手の動き出しにはもちろん注意していましたが、先手を取られた部分があり、ゲームに入り切る前に失点が続いてしまったところは勝敗を分けた一つのポイントだったと思います。前半の途中から修正して、サイドにプレッシャーをはっきりいくことや、中盤のボールの動かし方も含めて形を変えてトライしました。その中でボールを動かして少しずつ相手の足を止めさせることができ、フィニッシュの形も何回か作ることができました。その中で準備してきたセットプレーで点を取れたことは、積み上げた結果だと思います。選手たちは最後まで戦う姿勢や諦めない姿勢、ゴールに向かうアグレッシブな姿勢を見せてくれました。
今大会を通じて選手たちが肌で感じた経験をもとに、一人ひとりが成長してくれることを願っています。また、この戦いを見てくださった様々な人たちに女子サッカーの素晴らしさが少しでも伝わったのであれば嬉しいです。
DF #3 長江伊吹 選手(AC長野パルセイロ・レディース)
スペインはチームとしても個としてもしっかりと仕上げてきた印象でした。試合の入りは、相手の圧力に負けていた部分もあったと思いますし、スペインのプレッシャーが想定していた形とは違っていた焦りもあったと思います。
途中で4バックにしてからは自分たちのペースに持っていけたので、そこは自信を持てると思いますが、立ち上がりの相手の状況によって自分たちが冷静に対応していく力はまだまだ足りないなと思いました。
日本らしい足元の技術や走り切る姿、最後まで諦めない姿は、世界にも見せられたと思いますが、通用しない部分もまだまだあると感じました。これからはWEリーグでも、今日のことを絶対に忘れずに1試合1試合戦っていきたいと思います。
DF #7 杉澤海星 選手(大宮アルディージャVENTUS)
スペインと対戦して、改めて本当にうまいなと感じました。前半は、「こんなにボールを持たれてしまうんだ」という印象で、一人ひとりの技術も高いし、ボールの動かし方も巧みだったので、なかなか奪いどころが見つけられませんでした。個々の対応力や、失点した後にどう守るのかをチームとしてもう少し改善できれば、3失点する前に自分たちのペースに持っていけたのかなと思います。
6試合を通じて世界のスピードを身をもって体験できましたし、自分の通用するところや、これから強みにしていく部分がわかった大会でした。相手との駆け引きもそうですし、個人で打開すること、ゴールに向かう姿勢をもっと磨いて、自分の力でチームを勝利に導けるような選手にならないとなでしこジャパンにはいけないと感じました。WEリーグでは、ゴールに向かう姿勢をさらに極めていきたいと思います。
MF #15 天野紗 選手(INAC神戸レオネッサ)
前半はベンチから見ていて、テンポよくボールを回せている時はゴール前に進めていましたが、逆に縦パスのトラップが足元に入ったり、サポートが遅いとボールをかっさらわれていたので、サポートやセカンドボールの回収を意識して後半ピッチに入りました。後半からでも絶対に勝てると思っていましたし、得点も狙っていたので、その気持が得点につながったのかなと思います。
スペインは立ち上がりから特長であるパス回しで日本を動かして疲れさせたり、またゴール前での迫力もありました。日本がやりたいサッカーをやってきたと思います。球際の強さや、守備の面でこちらが奪い切れそう時でもそのまま数人を囲んでドリブルで運んで行くプレー、あとは決定力に差があるなと感じました。
自分は早生まれなので、次のU-20女子ワールドカップへの出場資格もありますが、なでしこジャパンにも関わっていけるように、まずはクラブでスタメンを取って、ゴールなど目に見える結果を残していきたいです。
FW #9 山本柚月 選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)
立ち上がりは、自分たちが目指しているサッカーを相手にやられてしまった印象です。日本が目指すアグレッシブさをスペインがさらに上回ってきたので、対応できず後手に回ってしまいました。
後半は前半よりボールが動くようになって、自分自身もボールを触る機会が増えました。後半のプレーが前半の最初からできれば、もっと競った試合になっていたと思います。賞を頂けたことには嬉しい気持ちもありますが、日本は全員で戦ってきたので、みんなに感謝したいです。今後は、WEリーグで活躍する先になでしこジャパンに入るチャンスも生まれてくると思うので、今大会の悔しい思いを次に生かせる舞台に立てるように頑張りたいと思います。
FW #11 浜野まいか 選手(INAC神戸レオネッサ)
うまく日本のペースを掴めないまま、苦しい時間が続きましたが、後半は少しずつ日本のペースにできたと思います。後ろの選手たちがしっかり守ってくれたので、ペースをつかめるように、自分たち攻撃陣が決めるところをしっかり決め切りたかったです。ハーフタイムは、「応援してくれている人たちがいるので、やるしかないよね」とみんなで話しました。ワールドカップの大きな舞台で、3万人近くの観客が入った中でプレーしていたので、この試合でもアドレナリンが出て疲れは感じませんでした。日本に帰ってもこの悔しさを忘れず、「絶対にまた世界の舞台に戻ってくる」という思いで取り組んでいきたいと思います。
FIFA U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022
大会期間:2022年8月10日(水)~8月28日(日)
グループステージ
第1戦 8月11日(木) 14:00[現地時間] vs U-20オランダ女子代表
第2戦 8月14日(日) 11:00[現地時間] vs U-20ガーナ女子代表
第3戦 8月17日(水) 17:00[現地時間] vs U-20アメリカ女子代表
ノックアウトステージ
準々決勝 8月21日(日) 20:00[現地時間] vs U-20フランス女子代表
準決勝 8月25日(木) 20:00[現地時間] vs U-20ブラジル女子代表
決勝戦 8月28日(日) 20:00[現地時間] vs U-20スペイン女子代表
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