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【会長メッセージ】サッカーファミリー全体で手を取り合って、「JFA2005年宣言」の目標に近づける1年に~宮本恒靖会長
2025年01月01日
2024年3月に日本サッカー協会(JFA)第15代会長に選任されてから、さまざまな立場の人にお会いし、学び、吸収しつつ、対応する分野は多岐にわたるという日々が続いています。代表チームの遠征や、国際サッカー連盟(FIFA)やアジアサッカー連盟(AFC)の会議のために海外に行くことや各都道府県サッカー協会(FA)との会議などで全国を訪問することが多く、荷づくりと荷ほどきを繰り返しています。慌ただしい毎日ですが、最近になってようやく仕事の流れを含めてペースをつかめてきました。
私は、就任会見で特に果たすべき3つのテーマを掲げました。1つ目は競技面の成果、2つ目が女子サッカーの拡大、そして3つ目が商業的価値の向上です。これらのテーマを軸に2024年の日本サッカー界を振り返りながら、2025年の展望を語っていきたいと思います。
まず「競技面の成果」ですが、SAMURAI BLUE(日本代表)はFIFAワールドカップ26アジア最終予選(3次予選)を5勝1分け、勝ち点16で2位以下のチームを突き放し、グループ首位を走っています。自分たちの強さを認識した上で、自分たちはこうあるべきだというマインドセットがしっかりできていますし、森保一監督のマネジメントでチーム内に良い競争原理も働いていて、コーチングスタッフの役割分担もうまくいっている印象です。
JFAは、中国代表との初戦(2024年9月5日、埼玉スタジアム2002)に合わせて欧州から移動する選手のためにチャーター機を手配しました。選手が良いコンディションで試合に臨める環境をつくることが大事だと考えています。一日早く到着できれば、戦術を落とし込む時間もつくることができます。その分の費用は増えることになりますが、これは必要な投資だと判断しました。現場からのリクエストに対しては、JFA内で同意を得ながらなるべく応えられるようにしたいと考えています。2025年3月に行われるマッチデー7、8で本大会出場を決めることができれば、ワールドカップへの本格的な準備も早く始められます。森保監督からも「強い相手と戦いたい」というリクエストが届いていますから、今以上のチーム力をつけていくためにできる限りバックアップしていきます。
SAMURAI BLUEは8大会連続8回目のFIFAワールドカップ出場に向けてアジア最終予選でグループ首位を独走している
パリオリンピックは男女共にベスト8という成績でした。メダルに届かなかったのは残念ですが、良い部分もありました。次回のロサンゼルスオリンピックに向けて、男子は再度、大岩剛監督に指揮をお願いすることになりました。技術委員会からの高い評価もあり、総合的に判断して決定に至ったのですが、若い世代の成長を促すことがひいてはSAMURAI BLUEの強化につながりますので、大岩監督の手腕に期待しています。
次に「女子サッカーの拡大」です。女子サッカーには大きな伸びしろがあり、2031年のFIFA女子ワールドカップの招致のためにも、WEリーグの発展は欠かせません。私は9月にWEリーグの副理事長に就任しましたが、同じく3代目チェアに就任したJリーグの野々村芳和チェアマンらと力を合わせ、Jリーグ、WEリーグ、JFAがさらに連携できるよう進めていきたいと考えています。また、なでしこジャパン(日本女子代表)の新監督に、デンマーク人のニルス・ニールセン氏が就任しました。デンマーク、スイスと2つの女子代表で指揮を執り、2024年までマンチェスター・シティ(イングランド)で女子テクニカルダイレクターを務められました。2025年は初の外国人監督の下、新たなチャレンジが始まります。
2024年9月にWEリーグの副理事長に就任。女子サッカーのさらなる発展に向けて
「Jリーグ、WEリーグ、JFAが力を合わせて注力していくフェーズに来ている」と話す
最後に「商業的価値の向上」ですが、職員の皆さんの頑張りのおかげで、協賛金収入が少しずつ増えてきています。価値共創においてSDGs、ESG投資など社会的責任を重んじる企業も増えている中、われわれがより社会的価値を高めてハブになっていけば、商業的価値においても可能性はもっと広がっていくと考えています。これからも共創を軸とするアクティベーションが鍵となっていくでしょう。
もちろんこの3つのテーマ以外にも私がやるべきことはたくさんあります。たとえば、今、各都道府県のサッカー協会を訪問していますが、その中で出てきた課題や問題点を各FAの方たちと一緒になって解決していくこと。各地域で先頭に立っている都道府県FAにより力をつけてもらうことが、10年先20年先の日本サッカー界の未来をつくるベースになりますから。また、「競技としてのサッカー(エリート)」と「参加する、楽しむサッカー(生涯スポーツ)」という日本型ダブルピラミッドにおいて、「生涯スポーツ」の整備を地域の皆さんとすり合わせていくことも肝要です。
そして継続的にやっていかなければならないのが、復興支援活動です。私も会長就任後に能登半島地震の被災地に伺う機会がありましたが、石川県FAをはじめ多くの方のご尽力があって、物資支援やサッカー教室などさまざまな活動ができています。今後もJFAは被災地に寄り添っていきます。
2024年7月に金沢ゴーゴーカレースタジアムでなでしこジャパンの国際親善試合「MS&ADカップ2024~
能登半島地震復興支援マッチ~がんばろう能登」を開催。各地での復興支援活動を継続していく
2025年という新しい年がスタートします。「JFA2005年宣言」からちょうど20年。2050年までにFIFAワールドカップを開催し、その大会で優勝を遂げること、サッカーファミリーが1000万人になることを記しています。2050年まであと25年しかありません。サッカーファミリー全体で手を取り合って、少しでもこの目標に近づける1年にしたいと思っています。どうぞ皆さん、本年もよろしくお願いいたします。
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