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SAMURAI BLUE森保監督、カタール大会終了で「選手が素晴らしい景色を見せてくれた」
2022年12月07日
FIFAワールドカップカタール2022に臨んでいたSAMURAI BLUE(日本代表)は12月6日(火)、ラウンド16でのクロアチア代表との延長PK戦での敗戦から一夜明けて、森保一監督は「心残りはない。選手が素晴らしい景色を見せてくれた」と振り返りました。
7大会連続7度目の出場で初のベスト8入りを目指した日本でしたが、大会優勝経験のあるドイツ、スペインに勝ってグループステージを1位突破して2大会連続でノックアウトステージに進出しましたが、ラウンド16で前回大会準優勝のクロアチアに延長1-1の末にPK戦1-3で敗れて敗退となり、目標達成は次回2026年大会以降へ持ち越しとなりました。
大会中のチーム本拠地となったアルサッド練習場で報道陣の取材の応じた森保監督は、「今できることはすべてやれた。チーム全体で常にベストをぶつけてくれた」と振り返りました。
4年半のチーム作りを経て挑んだ今大会での選手の戦いぶりに、「(ベスト8という)新しい景色はなかったが、世界トップオブトップの国と互角に渡り合って勝っていけるという素晴らしい景色を選手たちが見せてくれた。世界を追い越すと本気でマインドを変えてくれた」と評価。監督自身も選手として1994年アメリカ大会の出場権獲得をあと一歩で逃した「ドーハの悲劇」の地を、今回の戦いで「(歓喜の地に)変えたられたと思う」と語りました。
吉田麻也選手(シャルケ04)は、「いいチームでしたし、勝たせてもう一つ上に押し上げたかった。もっと成長して、ああいう試合で勝ちきる力を身につけないといけない」と話し、キャプテンという役割についても「立場が自分を成長させてくれた」と話して、監督への感謝を示していました。
今回がワールドカップ4大会目の挑戦だったGK川島永嗣選手(RCストラスブール)は16強突破を達成できなかったことに、「今まで悔しい思いをしてきた分、この(ベスト16の)壁を打ち破りたかったし、大きな可能性のあるチームだった」と悔しさを滲ませながらも、「今の日本の力なら確実に行ける力がある。ワールドカップは4年に一回で証明するには一瞬しかないが、自信を持ってこれからも進んでいいと思う」と話しました。
チームはこの日現地で解散となり、激闘の一ヶ月を終え、一時の休暇をとる選手、すぐさま待ち受ける今季残りの戦いに備える選手、それぞれが次の道へと踏み出しました。
コメント
森保一 SAMURAI BLUE(日本代表)監督
監督はチームを勝たせ、応援している方々に喜んでもらうのが仕事です。選手・スタッフは身を粉にしてがんばり、ベストを出し切って戦ってくれたのですが、最後に勝たせることができず、非常に申し訳なく思います。自分の力が足りなかったと感じていますし、今朝目が覚めてベッドの中で、勝つために「もっと何かできたことがあったのでは」、「何が足りなかったのか」と考えていました。ただ、戦術的に足りなかったことはありますが、チーム作りで心残り、悔いはありません。今できることはすべてやれたと思いますし、チーム全体で常に今のベストを試合にぶつけてくれた。この4試合も1試合1試合でチームの成長を感じながらブラッシュアップすることができました。
クロアチアは我々の良さをすべて消してきました。今大会はプランA、B、Cとできるだけ多くの選択肢を持って臨んできたつもりですが、もっと相手を上回る手を持っていなければならない。策に溺れ過ぎず、選手たちが個の部分を身につけるようにすれば、日本の団結力や組織力が生きます。我々が勝っていた試合内容で、(120分を)1-1で引き分けたと考えると、ある程度は狙っていた戦いができました。グループステージ3試合を含めて相手が高さで(勝負に)来たときにも弾き返し、耐えられるところは、これまでとは変わっていた。そこに日本の成長があると思います。経験値と選手のレベルが上がり、世界が日本の印象を変えるだけの攻撃と守備ができました。(ベスト8という)新しい景色はなかったですが、大会優勝経験のあるドイツやスペインやFIFAランク12位のクロアチアを相手に、世界トップオブトップの国と互角に渡り合って勝っていけるという素晴らしい景色を選手たちが見せてくれました。日本サッカーが改めて世界に学ぶべき点はまだまだ多いですが、「世界を追い越す」と選手たちが本気でマインドを変えてくれたと感じています。応援してくれるサポーターや国民のみなさんが共闘してくれたおかげで充実した4年半を過ごすことができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。全力疾走で、あっという間でした。
GK #1 川島永嗣 選手(RCストラスブール/フランス)
2010年から日本代表で自分の人生すべてを懸けてやってきて、この4年も同じでした。自分たちがまだやれるという気持ちは確実にあったし、なにが届かなかったのか、気持ちの整理をつけるのは難しいです。ただ、今までとは全く違う日本のサッカーを見せることはできました。そこは自信を持っていいですし、若い選手にはチャンスがあるので、この悔しさが日本サッカーの未来につながっていけばいいと思います。対戦相手や試合状況で、自分たちが戦術面を含めてどれだけ高いレベルでそれを遂行できるのかという部分は、いままでにないくらい、それを徹底できていました。選手個人にしても、これだけそれぞれが個性のあるチームで、それを生かせたと思います。まだまだ伸びていけるチームだと思いました。
GK #23 シュミット・ダニエル 選手(シントトロイデンVV/ベルギー)
個人的にはなにも残せなかったですし、一人になると虚しさがこみあげてくる瞬間もありました。この悔しさを糧にして次のワールドカップではピッチに立ちたいという思いが強まりました。アジア予選のプレッシャーを経験して、そこを勝ち抜くために貢献しないとワールドカップ本番のプレッシャーは耐えられないかと思うので、次へ向けて頑張りたい。今大会は結果だけを求めて戦ってここまで来ることができましたが、このベスト16の壁を超えるために、もっとサッカーのやり方を考える必要があるのか、次の4年でいろんな国と対戦しながら、そのスタイルはできるだけ早く見つける必要があるかなと思います。
FP #3 谷口彰悟 選手(川崎フロンターレ)
悔しいです。まだまだ終わりじゃなかったという思いがあります。PKを蹴った選手を攻める気持ちはないですし、蹴った勇気を称えたい。そこよりも、90分、120分で仕留めきれなかったことにフォーカスして次につなげていきたいです。Jリーガーとしての思いを勝手に背負ってこの舞台に挑戦してきたつもりですが、いつも通りのプレーは出せたと思います。そういうのを見て、普段Jリーグで戦っている選手に勇気を与えていたらいい。すべては自分次第だと伝えたいですし、目指すものをしっかり意識して地道にやり続けることが大事だと、僕も改めて身を持って感じました。今大会で今後へ向けて一つの基準ができた気はしますが、まずはしっかり休んで気持ちの整理をして次に進んでいきたいと思います。
FP #4 板倉滉 選手(ボルシアMG/ドイツ)
最後にピッチに立てず、終わった瞬間は悔しかったですけど、もう4年後へ向けて「やってやる」と気持ちは切り替わりました。上(スタンド席)から見ていてみんな戦っていたし、持っている力を全部出してくれたと思います。チームを誇らしく思いますが、そのチームを助けられなかった自分にやりきれない、歯がゆい思いがあります。4年後に絶対に帰ってきて、この壁をぶち破りたいです。今すぐにでも、もう1回戦いたいぐらいです。結果的にはPKでぎりぎりで負けたが、もう1回自分たちのサッカーを見直して、4年間あるので強くしていかなければいけません。何が足りないのか難しいですが、この大会を経験した選手が引っ張っていかないといけないですし、自分もそういう思いです。チームの中心となって次のワールドカップでは必ず壁を破る思いでいます。
FP #6 遠藤航 選手(VfBシュツットガルト/ドイツ)
ベスト8に行きたかったです。ほかの経験あるチームとは何か欠けている部分があるのかなと思いますが、そこは分析していかないといけない。ただ、この4年間、今までの努力がここで終わるわけではないので、これからこの先のワールドカップへ向けてまた新しいチャレンジが始まるという感覚です。次のワールドカップへ向けて、自分のキャリアを志高く続けていくことが必要ですし、ブンデス1部でやっていることは悪くないと思っています。代表チームとしては、選手一人ひとりがもっと上を目指してやっていくしかないと思います。自分は前回のロシア大会から海外に出て、(年齢的にも)それほど早く移籍したわけではないですがが、ここまでできると示せたと思います。ほかの選手にももっと海外に行ってやってほしいし、参考にしてほしいです。
FP #10 南野拓実 選手(ASモナコ/フランス)
PKは1番手が決めるかどうかでその後の流れを左右するので、だからこそ自信があって自分が蹴ったのですが、不甲斐ない結果で次につなげることができなくて、申し訳ないです。チーム全員でいろんなプレッシャーを跳ね返してグループステージを突破して、だからこそベスト16の壁を破れると強く信じていたのですが、それができなくて非常に悔しい。PKに行くまでに決められていればと思うので、それは実力不足です。次のワールドカップでリベンジしたい思いはあるので、まずはこの悔しさを所属チームでしっかりぶつけて、選手としてもっとレベルアップしていかないといけないと思っています。
FP #11 久保建英 選手(レアル・ソシエダ/スペイン)
体調が良かったら昨日の試合はやっていましたが、コロナではなかったものの結構熱があったので、もったいなかったです。4年前の大会もテレビで見ていて、「4年越しでまたテレビで見るのか」と何とも言えない気持ちでした。チームのためにやることはやれましたが、自分のやりたいことはやれなかった。自分の見積りが甘かった。オリンピックと違って不完全燃焼感がありました。まずは今年のシーズンを戦って、パリのオリンピックにチャンスがあれば出たいなと、今回の不甲斐ない結果を踏まえて思いました。実現するのであればやりたいですし、代表で何かを成し遂げたいです。
FP #13 守田英正 選手(スポルティングCP/ポルトガル)
「しっかり守ってしっかり攻撃」というワンフレーズで(戦い方が)共有されて、選手が話し合いをしてやってきました。それがはまってベスト16まで来れましたが、今後日本サッカーが向上して本当に強豪国を相手に戦っていくには、自分たちから主体的にサッカーをする、アジャストするだけでなく、自分たちから行動していく必要があると思います。それができる国だというのは僕自身、今大会をやってみて肌で感じました。チームとしてプランを持って何個も選択肢があるなかで、そのときに何をチョイスするかという状況にもっていくべきで、その時々でベストな戦い方を持っておくべきです。そういう部分が次のワールドカップまでに必要な部分だと思います。
FP #14 伊東純也 選手(スタッド・ランス/フランス)
スペイン戦やドイツ戦は、結果は勝てましたが内容では圧倒的に相手の方が上でした。もう少し自分たちが持つ時間やチャンスをつくらないと、次にやったら勝てないと思います。今回は戦略的に引いて守ってカウンターという戦い方で、割り切った方が勝つ確率が上がるので良かったと思いますが、あのやり方でも奪ったボールをもう少しつなげたり、攻撃の時間を増やさないと苦しい。(世界トップとは)そこのクオリティの差を感じました。対等にやるには、もっとプレッシャーに行ってボールを回収して自分たちの時間を作ることが大事です。今回ウィングバックもやりましたが、押し込まれることが多かったので、そこから攻撃に出るパワーは難しかった。自分もチームも5バックに慣れていなかったので、5バックを試すという経験も重要だと思います。(世界との差を埋めるには)個人個人が余裕を持つことは必要です。相手にプレッシャーに来られても、剥がせるクオリティやメンタリティを持ってやらないとならないと思います。
FP #22 吉田麻也 選手(シャルケ04/ドイツ)
この試合は負け方が負け方なので受け入れるのには時間がかかると思います。ワールドカップの決勝に行ったチームに対して120分間互角に戦ったのは価値のあることで、日本が進歩した証になると思いますが、もっと成長して、ああいう試合で勝ちきる力を身につけないといけない。ベスト8への道は一日にしてならずです。今回、ほとんどの選手が初出場で、年齢的には次も出られるチャンスがある選手ばかりなので、この経験を次の大会やさらにその先の指導者としても還元していってほしいです。日本のサッカーが発展するためには、この歩みを止めてはいけません。日本のサッカー全体として「次はアジアカップだ」というモチベーションを持って、今大会の反省を踏まえていい準備をして臨む。アジアカップをもう一回取り戻さないとならないと思います。
FP #26 伊藤洋輝 選手(VfBシュツットガルト/ドイツ)
今大会は悔しい思いもありながら、刺激的な大会でした。世界のトップの選手、同じポジションの選手から受ける刺激がありましたし、プレースタイルは違っても突出した武器をもっていなければいけないと感じました。それを大舞台で出せるのが本当の実力だと思うし、それがいい選手の価値だと思うので、それを身に着けるためにやっていきたい。ボールを握る強いチームになるほど、後ろは個の力で守っています。その部分はより意識してやっていきたい。今回自分がピッチに立って強豪国と対戦したことで、自分がどういう選手になりたいか、何を武器にするか、改めて確認したいと感じました。経験が実になり、自分を成長させてくれると思います。
田嶋幸三 JFA会長
残念ながら我々が目指していた「新しい景色」の一歩手前で敗れてしまいました。ロシアから4年、森保監督がオリンピックチームの指導者として6年、我々はこのために全力で向かってきましたが、この結果になって、多くの方をがっかりさせて申し訳なく思っています。ただ、選手、スタッフ、監督が一番悔しいと思います。PK戦は運だと思いますし、どちらが勝ってもおかしくなかった。前回準優勝のクロアチアに敗れてしまいましたが、改めて選手、スタッフ、監督に感謝したいと思います。
FIFAランクでトップ10の強豪チームが順当に勝ち上がっていて、この壁をやぶらないと上に行けません。今回PK戦まで来ても破れなかったということは、やっぱり足りないものがあり、我々がやることはまだまだあるのだと改めて実感しました。(クロアチア以外の)4チームが簡単に進出しているのを見ると、我々はもっと上をいかないと超えられない、そうならないといけません。前回ロシア大会でも追いつかれ、今回も追いつかれて、選手は身体的には相当きつかったと思いますが、粘ってさらに失点せずに引き分けた。前回(ベルギー戦)の記憶があるからだと思いますし、成長していると思います。強豪のいるグループを勝ち抜いて、よくここまで来てくれました。森保監督は素晴らしい仕事をしてくれたと思います。
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