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ブルーノ・ガルシアのフットサル道場 vol.5「時間を忘れて学び時間を忘れて遊ぶ」
2019年09月10日
必見「フットサル道場」!
機関誌『JFAnews』で連載中のブルーノ・ガルシアフットサル日本代表監督のコラムをJFA.jpでもお届けします。フットサルの魅力や指導法など、フットサルだけでなく、サッカーにも通じるポイント満載です。
※本コラムはJFAnews2017年12月号に掲載されたものです
プロの力を借りて選手の心身をケア
11月、フットサル日本代表はA F Cフットサル選手権2018の予選を突破し、本大会への出場権を獲得した。無事、タスクを達成したことは喜ばしく、良い感触で予選を勝ち抜いた充実感も覚えている。過密日程の中、リズムを崩さずに3試合を戦ったところに大きな手応えを得た。4月の欧州遠征以来、7カ月ぶりに今回のメンバーで戦ったが、チームの連係もスムーズだった。今後に向けて期待できる内容で予選を終えられた。
本大会が開幕する来年2月まで1カ月と少しだ。12月と1月は日本の選手にとって非常に重要な時期になる。これからFリーグが佳境を迎えることを踏まえると、選手は試合や練習だけではなく、ピッチ外の過ごし方にも気を配らなければならない。そこで今回は、オンとオフの切り替え、メリハリをつけることの大切さを考えたい。
以前、日本の指導者から「日本人は休むことを知らない」という声を聞いた。選手たちがスポーツに没頭するあまり、十分な休養をとらず、疲弊してしまうケースがあるというのだ。これでは選手の努力が報われず、逆にプレーの質が落ちてしまう。選手のパフォーマンスをいかに上げるかを考えるのが指導者の使命だが、ときにはストップをかける勇気も必要で、競技レベルが上がれば上がるほど、選手を休ませ、回復させることの重要性が増す。
ひと言で「休む」と言っても、疲労はさまざまなところからくる。一般的に、スポーツは技術、戦術、フィジカル、メンタルという四つの要素から成っている。このうち、技術面やフィジカル面が疲労の原因と思われがちだが、実際は、空間認知力を必要とする戦術の思考、試合や練習の状況によって揺れ動くメンタルも疲労の原因となる。指導者には選手の心身両方をケアすることが求められるわけだが、この全てをこなすのは難しい。
心理療法士や理学療法士などプロの力を借りながら回復方法を考えることは、一つの方法だろう。私も、クラブの監督を務めていたときは、心理療法士のサポートに助けられた。例えば、公式戦で普段通りのプレーができない選手がいる場合は、その選手が試合前に感じているストレスを管理してもらった。試合に至るまでのアプローチ方法をあらゆる角度から問題をあぶり出すことによって、ハイパフォーマンスに導くのだ。
体を動かすことはもちろん、戦術を理解しようと頭を使うことも疲労の原因になる。
体と頭を休めることが、本当の意味での「休息」と言える
時間の価値が分かればメリハリをつけられる
オンとオフを切り替える重要性を伝えるには何が必要か。根本的な話にはなるが、「学ぶときは時間を忘れて学び、遊ぶときも時間を忘れて遊ぼう」と、子どものころから言い続けることだと思う。日本人は規律と礼節を重んじる国民だと世界に評価されている。規律や礼節は学校や家庭での道徳教育によって身につけているものだとすれば、生活にメリハリをつけることの重要性も、幼少期から教えることによって身につくのではないだろうか。
もちろん、大人になってからでも遅くはない。過ぎ去った時間は二度と戻ってこないものと認識し、その価値を理解すれば、生活にメリハリをつけることにつなげられる。冒頭に触れた、「休むことを知らない選手」もそうだ。いま、過ごしている時間を自分が一番好きなフットサルやサッカーに費やすためには、健康でなければならない。そして健康でいるためには休むことが不可欠なのだ。
ここまで、休養を取ることの重要性を記してきたが、自分はいまだによく母親に「休みなさい」と注意される、典型的なワーカホリックだ。休日もソファーで横になってリラックスするより、フットサルの映像や試合を見て、分析する方を選んでいる。常に動き回り、働き詰めることが苦にならないタイプだが、それでも、家族と食事に行き、友人と会って、「仕事モード」のスイッチを切る時間も大事にしている。オフ・ザ・ピッチで幸せを追求することがピッチ上での充実にもつながると思っているからだ。
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