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ビーチサッカー日本代表、開催国ロシアにリベンジならず…過去最高の2位で大会を終える FIFAビーチサッカーワールドカップロシア2021
2021年08月30日
ビーチサッカー日本代表は、FIFAビーチサッカーワールドカップロシア2021において大会史上初の決勝進出を果たしました。そして現地時間8月29日(日)、開催国ロシアとのファイナルに挑みました。
ロシアとはグループステージ第3節で対戦して1-7と大敗しています。その時は開始わずか8秒で先制点を奪われましたが、この決勝では冷静に相手の動きを見つつ、監督兼FPの茂怜羅オズ選手が果敢にプレスを掛けるなど、上々の立ち上がりを見せます。
しかし第1ピリオド4分、スローインから直接オーバーヘッドシュートを決められて先制されてしまいます。第1ピリオド終了間際にはゴールに近い位置でFKのチャンスを得ますが、FP大場崇晃選手のキックは枠を捉え切れず、1点ビハインドで第1ピリオドを終えます。
第2ピリオド、日本はキックオフの際に奇策を見せました。FP赤熊卓弥選手がスコップしたボールを茂怜羅選手が折り返し、赤熊選手がダイレクトでオーバーヘッドシュート。GKの前でバウンドしたボールはそのままゴールネットに吸い込まれ、1-1の同点としました。
しかしその直後、自陣でファウルを犯し、直接FKを決められてしまいます。再び1点ビハインドとされると、第2ピリオド3分には再び直接FKをたたき込まれ、1-3とされます。
粘りを見せる日本は第2ピリオド5分、赤熊選手がペナルティーエリア内で相手に倒されPKを獲得。赤熊選手はど真ん中に豪快に蹴り込んで1点差に追い上げましたが、第2ピリオド7分、一瞬の隙を突かれてロングシュートを決められ、2点差で第3ピリオドに突入します。
最後の12分間、日本は懸命の反撃を試みましたが、相手GKのファインセーブなどもあってゴールを奪うことができません。ロシアは巧みにボールをキープしながら時計の針を進め、第3ピリオド11分にはゴール前での粘りからダメ押しとなるゴールを決めます。2-5というスコアでタイムアップを迎え、開催国ロシアが3度目の優勝を達成。日本は惜しくもタイトルを逃しましたが、過去最高となる2位の好成績で大会を締めくくりました。
試合後、大場選手は「悔しいですけど、仲間と一緒にここまで来られたことを誇りに思います。勝つことはできなかったけど、歴史は続いていくので、次に向けて切り替えて頑張りたいと思います。応援ありがとうございました」と涙ながらに語りました。
試合後に行われた表彰式では、大会通算10得点を挙げた赤熊選手がブロンズスコアラー賞(得点ランキング3位)を獲得。そして2位チームとして表彰台に登場した日本の選手たちは晴れやかな笑顔でメダルを受け取り、誇らしげに掲げました。
監督・選手コメント
FP #10 茂怜羅オズ 選手兼監督(東京ヴェルディBS)
試合が始まる前、どんな結果になっても笑顔で終わらせようとチームで話をしていたので、結果は銀メダルでしたがみんなが信じ合って戦えたことが嬉しかったです。今回初めての決勝戦に進み、次は金メダルを目指したいという気持ちもさらに強くなりました。
日本代表を背負うことにはいつもプレッシャーがあり、今回は監督兼選手ということで今までの2倍、3倍のプレッシャーがありました。選手としての自分をこれまでの大会と合わせて振り返ると、今回満足はしていない部分はあります。ただ、前大会では個人で賞をもらってもチームとしてメダルを獲ることができませんでした。チームが勝つことが一番大事なので、今大会はチームのみんなが活躍してメダルを獲れたことを本当に嬉しく思います。
去年監督になり目指してきたことをみんなが理解してくれて、チームの成長も見えました。日本は戦う気持ちと勝つ自信を強く持てば、もっと強くなると考えていました。その2つを持てたこと、そして各々の体力もあり最後まで戦えたことが今回の結果の原動力になっていると思います。
私がこのチームに参加していること、この”家族”の中にいることに感謝し、すごい”家族”を作ったと毎回思っています。今までやってきたことに加えて、日本代表が強いチームであり続けるためにこれからも努力を続けていきます。
GK #13 城田優 選手(レーヴェ横浜)
グループステージ3戦はベンチ外でしたが、常にいつ出ても良いように、GK同士各々の状態を確認しつつ日々を過ごしていました。決勝では、セーブ力を武器にしている自分の出番がそろそろあるかもと準備していました。ワールドカップ決勝という舞台で呼ばれたときにはもう緊張や不安は全くなく、残りの時間で日本の勝利のためにやってやろうという気持ちで、逆転できるようなプレーを心がけました。(シュートの際には)良いコースに行ったので入ってくれとは思ったものの、世界のキーパーは簡単にはゴールを割らせてはくれませんでした。タヒチ戦でも決勝でも、PKの場面でようやくチームの一員としてピッチに立てた所でしたが、シュートは止められず失点につながってしまったので、止めたかったなという悔しさはあります。僕は試合が好きなのであの舞台に立てたことは幸せでしたし、決勝はこれまでとは全く別の舞台だと感じました。ただ、ピッチに立てばワールドカップでも関東リーグでも自分はゴールを守るだけということを常に考えて、これからもプレーしていきたいと思います。
FP #6 赤熊卓弥 選手(ラソアペーゴ北九州)
今大会で4回目のワールドカップでした。前回までは先輩の背中を追いかける形が多かったですが、今大会は自分が引っ張る思いも強く、試合中にも自分がどうにかするという強い気持ちがありました。メダルを獲れたことはすごく嬉しいです。決勝戦という舞台で、入場したときにお客さんがたくさん入っていて早く試合がしたい気持ちでいっぱいでした。アウェイな雰囲気だろうと考えてはいたのですが、実際にピッチに立ってみると少人数でも声を張り上げて応援してくれる日本の方たちがいてくれて、自然とそこに目がいったことが印象的でした。
個人としては率直に、得点王になりたかったので(ブロンズスコアラーには)悔しさもあります。チームとしては銀メダルで悔しかったものの、あの表彰のステージに立てたのはすごく幸せだと感じました。優勝と得点王という目標は果たせませんでしたが、たくさんの方からメッセージや言葉を貰い、この2年間がむしゃらにやってきてよかったなと思いました。今後は全国大会もあるのでしっかり切り替えて練習もして、次は所属チームの力になれるように頑張りたいと思います。
FP #7 大場崇晃 選手(レーヴェ横浜)
メダルを獲れたことは新しい歴史を作ることができ、純粋に今は嬉しい気持ちでいっぱいですが、試合後はチームを勝たせられなかった悔しさと、応援してくれたたくさんの方々に金メダルという形で恩返ししたかったなという気持ちで涙が溢れました。
ロシアは誰が出てもチーム力が落ちない、総合力の高いチームでした。日本もしっかり戦ったと思いますが、自分も含めて正直まだ足りていないのかなと思いました。競技力という所にフォーカスした積み重ねを、国内レベルでしっかりあげていかないとと強く思いました。
日本の強みは、タッチの繊細さ、動きの質など素晴らしい技術があることだと思います。また、試合の中で相手を見極めて流れの中で変化していける戦術の抱負さもあり、それに対応できる選手が集まっています。しかし銀という結果を見ると、質が足りなかったと思うので、理解度を伸ばしていければもっと強くなれるのではと感じています。
個人的には代表に選ばれ続けて次こそはワールドカップ優勝ということがひとつの目標になりました。そしてもっとたくさんの人にビーチサッカーという競技を知って貰うためにも寄与できたらと思います。まずは普及・発展、競技力の向上を目指し、ビーチサッカーの魅力を伝えて行けるよう、一歩一歩しっかりと応援される選手、チームとなるために各チームが国内でも盛り上げていければと思います。
FP #11 奥山正憲 選手(レーヴェ横浜)
対ロシアは1試合目から修正をして日本も懸命に戦ったものの、それでも勝敗を分けたのは、アウェイの雰囲気もありますし、経験の差が出たのかなと思います。今大会は1戦目ビハインドから始まって難しい大会でしたが、オズ監督、田畑コーチがテクニカルな部分を支え、ベンチも声がけをしてくれて難しいチーム状態も立て直してくれました。スタッフもコロナ禍の中でできる限り最善の準備をしてくれて、僕たちは安心して戦うことができました。個人的にはもっと点をとってチームに貢献したかった思いもあり悔しい気持ちもありますが、今まで越えられなかったステップを越えられたことはとても嬉しく思います。
決勝のピッチは観客も満杯で、気候も涼しくて、空も綺麗で、想像を超えた最高の舞台が用意されていると感じました。その中でプレーできたことは僕自身誇りに思っています。ビーチサッカーを初めて6年以上、サッカーは小学校の時からやっていて、FIFA国際大会の決勝のピッチに立つというのは本当に心が震えましたし、一方でピッチに立てなかった選手の思いを考えるとすごく感情的にもなりました。
今までビーチ界を引っ張ってくれたラモスさんをはじめ、OBの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。そしてコロナ禍の中で支えてくれた家族や関係者に対しても、このピッチで戦えたことに感謝しかありません。
ハイライト映像はこちら(FIFATV)
FIFAビーチサッカーワールドカップロシア2021
大会期間:2021/8/19(木)~2021/8/29(日)
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