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なでしこジャパン 課題修正に取り組みスペイン女子代表戦へ
2022年11月15日
なでしこジャパン(日本女子代表)は11月13日(日)、スペイン女子代表との国際親善試合の地、セビージャでトレーニングを開始しました。
午前を休息とミーティングに充て、午後に試合会場のEstadio La Cartujaで練習を行ったこの日は、約90分にわたり汗を流しました。ウォーミングアップ後、GKはシュートストップを中心にピッチやボールの感覚を確かめ、一方のフィールドプレーヤはタッチ数やパス本数など様々なルール下での5対2のボール回しを行い、その後はGKと合流し7対7+フリーマンでの6ゴールゲーム、9対9のゲームに取り組みました。ゲームでは先日のイングランド女子代表戦で課題に上がった攻撃面でのアクションの少なさに意識を向けながら、ビルドアップの中でもダイナミックな動きを起こしていくプレーを増やすことに取り組みました。全体練習後には猶本光選手、植木理子選手が前日に引き続きシュート練習に励み、試合に向けて感覚を研ぎ澄ませました。
翌日の14日(月)は午後に公式練習に臨みました。ここでもイングランド戦で得た教訓を生かすための確認が行われ、その上で自分たちの強みを出すためのトレーニングを重ねました。試合会場のピッチで集中した1時間を過ごし、練習後には選手同士で積極的に議論を重ねるなど、翌日のスペイン女子代表との一戦に備えました。この日の午前に行われたオンラインでのメディア対応でキャプテンの熊谷紗希選手は、「イングランド戦のパフォーマンスを絶対に繰り返したくないし、繰り返してはいけない。この敗戦をただ悔しかったということで終えるのでなく、先に繋げられるようにチームとして戦いたい」と話し、中3日で臨む試合に向けチームが意識を新たにしている様子を語りました。
15日(火)に対戦するスペイン女子代表は、11日(金)にアルゼンチン女子代表を7-0で退ける大勝を収めました。その試合では7選手がトップカテゴリーでの代表デビューを果たし、中でもSalma Paralluelo選手はハットトリックを達成するなど、若い力が躍動しています。今年はFIFA U-17女子ワールドカップ、FIFA U-20女子ワールドカップの両大会で優勝を果たし、日本としてはU-17では準々決勝で、U-20では決勝で敗れ行く手を阻まれた相手だけに、意地を示す戦いに期待がかかります。試合は15日(火)20:00キックオフ(日本時間翌4:00)、テレビ放送は16日(水)9:00よりNHK BS1で録画中継予定です。
監督・選手コメント
池田太 監督
イングランド戦では受け身にならずにトライしていることを出していこうとした中で、考えながらのプレーになったことでノッキングしてしまったり、またプレスの同時性、連動性というところですべてが上手くいったわけではありませんでした。もちろん勝負事なのでその1試合に懸ける気持ちも持ちながらですが、自信を持ってオートマチックにプレーしてくる欧州王者に対してトライしたことで、我々が今後構築していかなければいけないところも見えました。守備はファーストディフェンダーの強度で後ろ(の選手の守り方)が決まってくるのですが、ファーストのスイッチが入らなかったことで後ろがどういった強度でいくのか、迷いが生じるシーンがありました。それによって守備の同時性をうまく作れずに、相手に前を向かれたり中盤を使われてサイドに展開されたりというシーンがありました。ここの守備の同時性は作り出せるようにやっていきたいです。攻撃では常に相手の背後を狙う、相手DFラインに脅威を与えるアクションを増やしたいですし、そこで空いたスペースを他の選手が使うプレーを、スペイン戦では見せていきたいです。
DF #4 熊谷紗希 選手(FCバイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
10月から1-3-4-3のシステムをトレーニングしてきて、今回は相手が前回とは違う中で、全てができなかった訳ではないですが、できたことを再現性高くやっていくために試合の中で修正する力が全然足りませんでした。それがこの結果の原因かなと思いますし、あとはもっと迷いなくプレーするために、全員で考えを合わせて試合に入っていければもっと良くできたと思います。一人ひとりの守備範囲を広くすることも重要です。イングランド戦は個々が守れている範囲が狭くて、相手にひとつの立ち位置やパススピードで解決されてしまいました。チームとしてスペースを守ることも必要ですが、最後はボールに対していかなければならないということは忘れたくないです。日頃から海外でプレーする選手も多くなってきて、スピード感やパススピード、パワーに慣れている選手が増えてきたので、プレーで示すと同時にチームに伝えていけるようにしたいです。伝えることは大事ですし、発信することが大事。自分も含めてもっとチームに還元していきたいです。身体能力で相手を叩けるほどのものは持てていませんが、ただ現状に危機感しか無いですし、それぞれが所属チームでやるべきことはすごく多いと思います。イングランドのような相手にどう勝っていくかを考えることが重要ですし、そこの考えをみんなで合わせながらやっていくしかないと思っています。
DF #12 乗松瑠華 選手(大宮アルディージャVENTUS)
個人的にここ最近ずっと、対人のところでもう一つ間合いを詰めることにトライしていますが、イングランド戦を外から見ていて、パススピードやプレスのスピードが今まで自分が意識してやろうとしたことよりも全てにおいて遥かにレベルが高く、やるべきことはまだまだ多いなと感じました。一番はパススピードですが、速いボールを蹴られるようにしたうえで、間を作るようなパスや、スピードのあるサイドチェンジなど、その質にこだわっていきたいです。イングランドの選手は切り替えも早くて、自分たちはマイボールにしたボールをすぐ奪われてしまっていました。ボールを奪った後に前を向けなくてどうしてもバックパスや横を選択して、そこでまた圧を受けてボールを失うシーンが多く見られたので、前からくる相手をひとつ外してFWを見ることや、切り替えの中でも余裕を持って奪った後のことまで考えて相手のプレスを回避できるようなプレーをできればと思います。
DF #19 宝田沙織 選手(リンシェーピングFC/スウェーデン)
イングランド戦は途中出場でしたが、しっかりとしたプレーを全くできなかったなと思っています。外から見ている時も相手のスピードや質がすごいなと感じましたし、その中で自分が入ったらどういうプレーをするか、どういうポジションを取るかを考えていましたが、入ってみて、なかなか自分の思うようなプレーができなかったのが実際です。スピード感は(普段プレーしている)スウェーデン国内にも似た選手はいますが、そういう選手がたくさん揃っているチームはなかなかいませんし、それをさらに上回る選手がたくさんいるのだと感じさせられました。普段の練習でもそういうスピード感やパスの意識を上げていかないとと思いましたし、自分も意識しながら、周りを巻き込めるようにしていきたいです。
途中出場の難しさはありますが、いい流れだったらよりボールへの関わりを増やしてチャンスを作っていきたいですし、悪い流れのときは積極的なプレーで相手のスピードや圧に負けない、流れを変えられるプレーをしなければいけません。まずはチームとして勝つことが大事ですし、その中でチームワークの質をあげていきたいです。怖がらずチャレンジしていきたいです。
MF #8 猶本光 選手(三菱重工浦和レッズレディース)
イングランドと試合をして、自分たちが前回の活動から取り組んでいる新しいシステムがどれだけ通用するかトライした結果0-4というスコアになり、「このレベルの相手にはこういうことが起きるんだ」ということが分かりました。そこからミーティングも含めて試行錯誤している中で、スペイン戦に向けて準備しています。イングランドはシンプルにすごく上手だなと思いましたし、アンカーの選手のポジション取りやボールのさばき方、プレッシャーの回避もうまくて、こちらとしてははめにくいなと思って見ていました。そういう相手に対して自分たちは連動して対応するしかないですし、連係は日本にとって命綱。そこがずれると、上手くて速くて、個がある相手には剥がされてしまうと思います。自分たちもうまく規制をかけられている場面はありましたが、前線からのプレスを剥がされると即ピンチになるという状況が多かったので、そこはチームとして修正しなければいけないですし、できると思っています。スペイン戦は相手がパスを繋いでくる中で、加えてドリブルで剥がすプレーを上手にやってくると思います。それを許すと全部崩れてしまうので、しっかり付いていくこと、パスを出させて次で奪うようなプレーで対応していきたいです。
FW #10 岩渕真奈 選手(アーセナル/イングランド)
イングランド戦は押し込まれる時間が長くてボールを奪える位置が低く、相手の切り替えも早かった中で、自分はなるべく前でボールを収めることを意識していました。ただ一旦ボールを収められてもその次に裏へ抜ける動きが足りず、また自分がターンできたとして前方向に人がいない中で、そこの工夫は考えさせられました。自分も周りとの距離感を意識しなければいけませんし、インサイドハーフやボランチとの距離感などは自分たちのサッカーには大事なので、周りの選手と話しながらもっともっとやらなければいけないところだと思っています。いま自分たちでここからどう戦っていくかという話を重ねている中で、自分自身はこの前の試合で初めて1-3-4-3でプレーしたので、次はまず最低限のプレーはしたいと思っています。スペイン戦にどういう選手が出るかはわからないですが、点を取らないと勝てないので、ゴール前に行く部分は全員で迫力を持っていきたいです。みんな自分が好きなサッカーをやってきたことでこの場にいるはずですし、サッカーで上を目指していくことやパッションは自然と出てくるものだと思います。毎回ですが女子ワールドカップは日本の女子サッカーにおいて大事なので、その思いは選手で共有したいですし、全選手が強く責任感をもってやらなければいけないと思います。
国際親善試合
2022年11月15日(火) 20:00キックオフ予定(現地時間) ※日本時間16日(水) 4:00 vs スペイン女子代表
会場:Estadio La Cartuja(スペイン/セビージャ)
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