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なでしこジャパン 1-0で中国に勝利、史上2度目のアジア競技大会優勝! ~第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ・パレンバン)
2018年09月01日
なでしこジャパンは31日(金)、史上2度目のアジア競技大会優勝をかけて決勝を戦いました。
相手は中国女子代表。4月にヨルダンで開催されたAFC女子アジアカップ準決勝で対戦し3-1と勝利していますが、監督も変わり、「レベルアップしている」と高倉麻子監督も評する相手です。ウォーミングアップ中に降り出した雨はキックオフ直前には止み、気温も一気に下がります。
キックオフは中国。中国は4-3-3のシステムで、厳しいチェックでボールを奪い、すぐさまフォワードを経由してサイドに展開、正確なクロスと高さを武器に日本ゴールを狙います。
日本は長谷川唯選手をトップ下に、岩渕真奈選手をワントップに置いた4-2-3-1で臨みます。
立ち上がりから中国の厳しい守備に日本はテンポよくパスを回せず、リズムをつかめません。日本はなかなか前線にボールを運べず、逆にFWの岩渕選手も日本陣内深くまで戻って守備にあたるなど多くの時間を守備に追われます。特に中国の左サイドからの攻撃を数多く許し、ボールを奪ってもプレスが強く、かいくぐれない状況が続くと、この時間帯はバックパスが目立ちます。試合開始30分、ようやく日本は岩渕選手がファーストシュートを打ちますが、これも力なくゴールの枠を捉えることはできません。
中国はサイドを起点に幾度となく日本のゴールを脅かしますが、鮫島彩選手、三宅選手の両センターバックが集中して対応し、決定的なチャンスは作らせません。試合途中に再び振り出した雨が強さを増す中、前半が終了。日本らしさを出せずに前半を終えます。
迎えた後半、両チーム交替はなく、日本のキックオフでいよいよ金メダルをかけた最後の45分がキックオフしました。
53分には高い守備ラインの裏にスルーパスを出されて大ピンチを迎えますが、落ち着いて対処した三宅選手が粘り強く守りピンチを防ぎます。56分、日本は籾木結花選手に替えて菅澤優衣香選手を投入、システムも4-4-2に戻して策を講じます。その直後のカウンターのピンチもシュートミスに救われて難を逃れます。また63分にもペナルティエリア内でシュートを許すなど、劣勢一方の状況が変わらず続きます。
しかし徐々に状況が変わり、70分過ぎから中国の出足が鈍くなり、守備ラインも全体的に下がります。ここから日本は短いパスを丁寧につなぎながらチャンスを伺いますが、逆に押し上げた守備ラインの裏を突かれ、中国得意の形からシュートを許します。決定的と思われたシュートでしたがGK山下選手が片手ではじき出すスーパーセーブを見せ、中国に得点を許しません。その後のコーナーキックから連続攻撃を受けるもなんとか凌いで難を逃れます。
すると84分、ゴール前で細かく繋いでペナルティエリア内に侵入したところを中島依美選手が倒されてファウルかと思いきやその前にオフサイドを取られてチャンスを逃します。86分にはGK山下選手から1本のロングパスで中国ディフェンスの裏に走った菅澤選手にパスを送るなど、劣勢が続いた試合終盤に来ても日本は集中力は欠かさず、ひたすらチャンスを伺います。
試合も延長に入るかと思われた90分、まさにアディショナルタイムが表示される直前に、耐えに耐えた日本がひとつのチャンスをものにします。岩渕選手に縦パスが入り、得意のターンから前を向くとタイミングよく右サイドを駆け上がった中島選手にパス。中島選手は菅澤選手の動き出しを確認すると迷いなくクロスを送り、これがピンポイントで菅澤選手に合い、頭で合わせてゴール。ついに試合を動かしました。
ペースを掴みながら失点を喫し、ショックを隠せない中国に追いかける体力は残っておらず、アディショナルタイム3分も危なげなくコントロールすると、パレンバンの雨空に試合終了のホイッスルが鳴り響きました。
なでしこジャパンは2010年広州大会以来となる史上2度目のアジア競技大会優勝を果たし、4月のアジアカップに続いてアジア2冠を達成しました。
監督・選手コメント
高倉麻子 監督
アジアナンバーワンを決めるにふさわしい素晴らしい大会で、中国のようなチームと対戦できたことは嬉しいことでした。後半途中までずっと中国にペースを握られましたが、そこを選手が耐えて、数少ないチャンスをものにできたのは、選手の強い気持ちの現れだと思います。しかし、内容には誰も満足していません。これからも日本のサッカーを追求してトレーニングに励みたいと思います。
GK #18 山下杏也加 選手(日テレ・ベレーザ)
中盤を狙われて厳しい戦いになりましたが、DF4人が耐えてくれて、FWが少ないチャンスを決めて点を取ってくれました。日本は決して攻撃力が高くはないので、朝鮮民主主義人民共和国戦、韓国戦も踏まえて、PKも覚悟して臨んだ試合でした。ビルドアップからもっと繋いで組み立てたかったですが、ピッチ状態もあって、蹴り合う展開になったのは仕方なかったかなと思いました。個人的には大会を通じた収穫よりは課題の方が多く、自分のビルドアップからミスで奪われるシーンもあったのでそうした足元の面や、試合運びでは自分がもっと後ろから声を出してコントロールして試合を安定させられれば苦しい展開にならなかったと思います。そこは課題です。アジアでは内容が良くなくても勝てましたが、もっと日本らしいサッカーをできるように、少ない代表活動でいかにFIFA女子ワールドカップに向けて準備するかが大事になってくると思います。
DF #3 鮫島彩 選手(INAC神戸レオネッサ)
本当に厳しい試合でしたので、嬉しいし、ホッとしています。今日の決勝だけではなく、朝鮮民主主義人民共和国戦、韓国戦も内容的には劣勢というか、負けていたような試合でしたので、そこは課題と捉えたいです。後半、中国の運動量が落ちたことがポイントではありましたが、自分たちは今日、徹底的に繋ぐことにトライしました。危ないシーンもあって失点のリスクはありましたが、ただ勝って優勝するだけでなく、何かを持ち帰ろうと、試合前、ハーフタイムにもみんなで話し合ってチャレンジしました。それができたことは少しポジティブに捉えたいと思います。今大会、期間が長く、また選手が18名と少ない中、それぞれの選手が「自分が参加するんだ」という姿勢が強まり、そうして生まれた自主性がいい結果を生んだ要因だと思います。難しい試合では前半点が取れていなくて、逆に失点もしていないから、この展開、結果なのですが、もし先制を許していたらそこから試合を覆す力はまだないと感じました。そうなってもそこから点を奪いに行く力を身につけていきたいと思います。
FW #9 菅澤優衣香 選手(浦和レッズレディース)
得点は、(中島)依美からいいボールが来て、身体の何処かに当たって入ればといいと思って飛び込んだので、入ってよかったです。(岩渕)真奈に入った時点で動き出して、練習でもニアに入る形はやっていたので、ゴールできてよかったです。途中交代で入った際に、前で起点になることと、ゴールすることを指示されて出たので、それができました。ベンチから見ていて、裏に抜け出すシーンや起点を作るシーンが少なかったので、自分が入ってそこを果たせたのかなと思います。アジアでは勝てても世界ではまだまだな部分は多いので、もっと積み上げていければいいと思います。パスサッカーがなでしこのサッカーなので、その中で最後のシュートに絡む選手が2人、3人という形ができつつあるので、そこを継続していきたいです。試合内容はまだまだと思いますが、全員で守って、(ゴールを)取るべきところを取って勝てたことをプラスに捉えて、でも足りない部分も多いのでさらに積み上げていきたいと思います。
スケジュール
第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ・パレンバン) | ||
---|---|---|
8月16日(木) | 2-0 | vs.タイ女子代表(BUMI SRIWIJAYA) |
8月17日(金) | AM/PM | トレーニング |
8月18日(土) | - | オフ |
8月19日(日) | AM | トレーニング |
8月20日(月) | PM | トレーニング |
8月21日(火) | 7-0 | vs.ベトナム女子代表(GELORA SRIWIJAYA) |
8月22日(水) | AM/PM | トレーニング |
8月23日(木) | AM/PM | トレーニング |
8月24日(金) | AM/PM | トレーニング |
8月25日(土) | 2-1 | 準々決勝 vs 朝鮮民主主義人民共和国女子代表(GELORA SRIWIJAYA) |
8月26日(日) | AM/PM | トレーニング |
8月27日(月) | AM/PM | トレーニング |
8月28日(火) | 2-1 | 準決勝 vs 韓国女子代表(GELORA SRIWIJAYA) |
8月29日(水) | AM/PM | トレーニング |
8月30日(木) | AM/PM | トレーニング |
8月31日(金) | 1-0 | 決勝(GELORA SRIWIJAYA) vs 中国女子代表 |
※時間はすべて現地時間。( )内は日本時間。
※スケジュールは、チームのコンディションや天候等により急きょ変更する場合があります。
第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ・パレンバン)
大会期間:2018/8/18(土)~2018/9/2(日)
【女子】決勝
8月31日(金) 20:30 [日本時間] vs 中国女子代表
NHK BS1で生中継
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