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ニチバン株式会社×JFA協働プログラム SOCCER MEDICAL CAMP発表対談
2019年05月28日
日本サッカー協会(JFA)はJFA Youth & Development Programme(JYD)パートナーであるニチバン株式会社と協働プログラム「SOCCER MEDICAL CAMP」を実施します。ここではニチバンの藤川智上席執行役員メディカル事業本部長、JFAの須原清貴専務理事、北澤豪理事、前田弘JFAアスレティックトレーナーによる座談会の様子をお届けします。
SOCCER MEDICAL CAMP
日本サッカー協会が、JFA Youth & Development Programmeのオフィシャルパートナーであるニチバン株式会社とスタートした、サッカー界を支える次世代のアスレティックトレーナーの育成を目指すプログラム。
将来、サッカーに関わるアスレティックトレーナーを志す方20名を対象に、日本サッカー界のメディカル領域で活躍するスタッフ達から、サッカーの現場で求められるアスレティックトレーナーの知識、経験、考え方などを伝えるセミナーを実施する。
――ニチバンはJYDパートナーとしてどのような活動を行っていましたか?
藤川 けがの予防であるとか、応急処置を啓発するためにムービーを作ったり、トレセンで保護者向けにテーピングやケアに関するセミナーを行っています。あと、シニア、レディース大会でテーピングのサービスを行っています。
――シニアやレディース大会でのブースには常連の選手がお土産を持ってくるほど好評だと聞いています。
藤川 毎年、楽しみにしてくださって、地元のお土産を持ってきてくれたりしています。仕事をしていて、直接的に感謝していただけるというのは、非常にありがたく思います。お役に立てているなと実感できる場になっています。
須原 JYDの活動は2016年からスタートしています。多くの実績を積ませていただいている中でもニチバンさんは中核企業であることは間違いありません。実際に大会会場に行くと、毎回JFAの職員よりたくさんいるんじゃないかと思うほどニチバンの社員さんが現場に来てくださっています。それくらいいろいろな形でコミットしてくださっていて、それがサッカー関係者にも伝わっているのだと思います。
――日本サッカー界が抱えるメディカル面の課題は何でしょうか?
前田 子どもたちは成長期にかけていろいろなけがをします。けがをしたときに指導者やトレーナーなど周りの大人たちが正しい指導をしていくことが一番重要だと思います。そこに対して、ニチバンさんのサポートにより、テーピングの正しい使い方や本来必要であるスポーツ障害に関しての正しい処置方法を指導しています。
北澤 大事な育成年代でけがをしてしまうとパフォーマンスや将来へのモチベーション低下につながります。少しずつ知識が増えていくと変わっていくと思いますが、選手の目線になってくれるトレーナーがいてくれることはありがたいことだと思います。
前田 トレーナーはプロのチームにはいますが、少年サッカーなどにはほとんどいません。そこで若い選手たちはインターネットなどでけがやトップ選手のトレーニングの情報を得て、同じことをやれば憧れの選手になれるんじゃないかという勘違いが生まれてしまいます。その結果、成長期で無理なトレーニングをしたり、本来であれば必要のないトレーニングをすることがあります。成長期に合った正しいトレーニングや食事について我々が発信していかないといけません。
――JFAとしてはどのようなビジョンを描いているのでしょうか。
須原 JFAが目指すべき姿の中に、SAMURAI BLUEやなでしこジャパンといった日本代表がワールドカップで活躍することがあります。それと表裏一体ですが、普及もものすごく重要なんです。草の根であるグラスルーツの現場でプレーしている選手たちが将来、Jリーグ選手になれるのか、日本代表になれるチャンスがあるのかと言えば決して大きくはないかもしれません。でも、大切な仲間です。そういう人たちに常に楽しくサッカーに携わってもらう環境を提供することがJFAの重要なミッションだと思います。日本中で楽しくサッカーをしてもらうための環境づくりの中で、安全であることはすごく重要で、そこでメディカルの領域が重要になります。
北澤 今回のニチバンさんとの取り組みで、「あ、こういうふうに取り組めば良かったんだ」ということを感じます。フットボールに携わる全ての人にメディカルの正しい知識があったとしたら、予防の意識も高くなるため選手のケガが減ったり、仮にケガをしてしまったとしても、正しいケアで復帰までの時間が短くなる。結果的に、ケガを心配せず思いっきり大好きなフットボールに没頭できる時間が増えるので、フットボールの質も上がっていきますよね。そういったことが日本全国で起こるわけですから、その頂点であるトップカテゴリーのレベルも自然と底上げされていく。もしこの活動が10年も20年も前に始まっていれば、もしかしたらSAMURAI BLUEが昨年のワールドカップでベルギーに勝っていたかもしれない。そういったところまでたどり着く話だと思うんです。早い段階から、いかに幅広い層に対して今回のようなアプローチができるかということはフットボール界としては大事だと思います。
藤川 トップカテゴリーだけではなくグラスルーツでも普及をすることを第一に考えています。安全という言葉もありましたが、メディカル部門としてはそこに加えて、安心という部分をしっかりとお伝えしていければ、保護者、指導者は安心して、若い選手も楽しくサッカーができるのではないでしょうか。知識を持ちながら楽しむということができれば、サッカーがより広まるのではないかと思います。我々が持っている知見はそういうところでお役に立てるのではないかと思いますし、知見がグラスルーツのところまで広がっていくことが我々の最終的な夢です。
――今回のプログラムはどのような経緯で始まったのでしょうか。
須原 メディカルの重要性が高まっている中でJFAとして何ができるかということがきっかけでした。我々が恵まれているのは、こういうときにさまざまな角度からプロフェッショナルな意見をいただけること。ニチバンさんは製品を研究開発しているプロフェッショナルですし、前田さんを中心としたトレーナーの方々は最前線でその製品を実際に使ってきました。加えてJFAには医学委員会がありますので、そのメンバーであるドクターの日々の活動の中から得られる実地体験ですとか、いろいろな情報が集まってきます。今回はそのようなメンバーにプログラムを作っていただきました。
前田 これはニチバンさんと一緒に作ったプログラムです。講師は医学委員会の先生方が多いですから充実した内容になると思いますし、もちろん現場の声も知っている方々なので、非常にいいプログラムになっていると思います。
――このプログラムに懸ける思いはいかがでしょうか?
前田 トレーナーを目指している人はたくさんいますが、その中でも志の高い人が最終的には残っていく思います。今、東京都だけでもトレーナーを目指せる大学・専門学校が10数校ありますが、その中で日本スポーツ協会公認のアスレティックトレーナー資格が取得できるのは約3~4割くらい、そしてその中の約2~3割の人が第一線で仕事ができるのです。それくらい難しい世界です。でも、やりがいのある仕事であることは間違いなく、志の高い人たちがこういうプログラムに参加してくれることを望んでいます。私がこのプログラムに賛同したのは、トレーナーを目指す方と関わることで、自分自身がもう一度原点に戻りたいという気持ちもあるからです。
藤川 このプログラムはスポンサー基点ではなくて、前田さんのような熱い思いと共に我々のスタッフが一緒に作り上げたものです。そこにこれだけの先生方に来ていただけることに感謝したいと思います。どれだけその思いに応えられる方が集まってくれるのかというのは今から楽しみでもあり、終わった時点でも成長も楽しみです。
――今回のプログラムの内容はどのようなものですか?
須原 定員は20人で全6回のプログラムを予定しています。一回一回が非常にリッチな内容なので、トレーナーの方が成長するチャンスを提供できると嬉しいです。
前田 プログラムでは外傷やアンチ・ドーピングのことはもちろん、内科的なことも取り上げます。私達が海外遠征したときに必ず注意するのは、予防接種の必要性など、その国の環境に合わせた対応の仕方です。そういうこともブラジルワールドカップに帯同された内科の島田和典先生(順天堂大学)が話してくれます。テーピングの実技・リハビリでは、今、育成年代の代表トレーナーとして帯同している金成仙太郎さん(国際医科学研究所)が担当してくれます。いずれも参加者には非常に勉強になる内容だと思います。
――プログラムではどのようなことを伝えていきたいですか?
前田 とにかくこれを一つのステップとしてほしいですね。あとは、サッカーに関わることを考えている人もたくさん応募してくると思うので、サッカーを愛する方にしっかりと勉強してほしいと思います。
――前田さんが学生の時代と比べて今、トレーナーを目指す環境に違いはありますか?
前田 私がトレーナーを目指したのは30年くらい前です。当時はトレーナーの学校や仕事を探すことが必要でした。学校には40人の学生がいましたが、現在もトレーナーの仕事をしているは僕私一人だけ。それくらい厳しい世界なんです。
北澤 前田さんのときのように1人ではなく、今回の20人には最後まで残ってほしいですね。内容を見る限り、教科書に書いてあることを話すのではなくて、実際にやってきた経験をシェアするわけで、こういうことが大事。次の世代に残していく、引き継いでいくことがこれからの発展につながっていくと思うので、そういうプログラムになっているのではないかと思います。
――「スポーツ×企業との協働」という点で、非常にユニークな取り組みのように感じます。
須原 スポーツ界と企業とのお付き合いとなると、「スポンサー」としての立ち位置がありますよね。今回のJYDにおけるJFAとニチバンさんとの関係は、確かにスポンサー的な側面はゼロとは言いませんが、「パートナー」なのです。お互いに持っているいろいろなリソースを出し合って、理念を実現していきましょうということなんです。ここで言う理念とは、サッカー界がもっと楽しくなって、大きくなって、長く続けられるようになること。そうすることで日本のスポーツ界全体に波及していき、その結果がワールドカップでの活躍や、他のスポーツがオリンピックで勝てるというところにつながってくる。その流れを作りたいと思っています。
北澤 僕はこうしてフットボールの話ができるのがいいですね。テーピングの話だけではなくて、いかにフットボールで使うのかという話ができる人が増えるのが、サッカーファミリーの拡大だと思うので、そういうところが協働していく素敵なところですね。
藤川 一緒に何かをやっていくということでこのプログラムは始まっていますので、そういうところで貢献していきたい。期待をしていただいていい企画になっていると思います。
――公募で参加者が選ばれますが、改めてどのような人に来てほしいですか? また、参加者に期待することは?
前田 夢を持ってトレーナーを目指している方がたくさんいると思います。その夢はいつかかなうという思いでこのプログラムに参加してほしい。その先には、サッカーに限らず、いろいろな競技が付いてくると思います。自分で言うのもおかしいですが、サッカーのトレーナーをしていれば、他の競技のトレーナーになれる可能性もあると思います。サッカーはそれくらい外傷も障害も起きる競技です。他競技の方からも「サッカーのトレーナーでいい人いませんか?」と誘いがあるほどです。そういう点ではこのプログラムを通して、いい人がいれば、サッカーではない他競技で勉強をして、またチャンスがあればサッカーに戻ってくるということができれば、参加者もモチベーション高くできるのではないかと思っています。だから、サッカーだけではなくて、さまざまな競技に対応できるというプログラムになっています。
藤川 安心・安全で楽しくサッカーができる環境を作るのに少しでも貢献できればいいと思いますし、ここに参加される20人の方には大いに吸収して成長してほしいです。その後、いかに波及させていくか。先ほど前田さんが言ったように、参加された方が成長して、サッカー以外のスポーツで活躍するかもしれませんし、スポーツ界全体に波及していくようなものになれば素敵だなと考えています。
概要
趣旨:
サッカーに関わるアスレティックトレーナーを志す方を対象に、JFAの活動に関わるドクターやアスレティックトレーナーからのセミナー機会を提供し、サッカーの現場における怪我予防、応急処置、コンディショニング等の業務に触れる機会を提供する。
主催:
ニチバン株式会社、公益財団法人日本サッカー協会
内容:
別紙
日程:
2019年7月~11月
会場:
JFAハウス会議室(〒113-8311 東京都文京区本郷3-10-15)
受講料:
無料
※会場までの交通費は参加者負担
受講人数:
全20名(推薦枠10名、一般募集枠10名)
※募集は、一般募集枠10名分となります。
その他:
参加者に対し何らかの資格を付与するものではありません
募集要項
求めるメンバー像:
以下条件を満たす方のご応募をお待ちしています。
・将来、サッカー界でアスレティックトレーナーとして活動を志す方(18歳以上、高校生は不可)
・アスレティックトレーナーとして基本的な知識があり、日本スポーツ協会推奨の基本的なテーピングが巻ける方
・高いモチベーションをもって、全7回参加可能な方
※資格の有無は問いません
選考スケジュール
書類提出〆切:
2019年6月21日(金)必着
(合格者には6月末までにニチバン株式会社よりご連絡します)
応募方法
応募課題:
①履歴書(ご自身で準備頂いても、市販の履歴書を活用頂いても構いません。)
氏名・証明写真・年齢・生年月日・住所・連絡のとれる電話番号
所属(学校・企業)・所属年数(学年・勤続年数)
トレーナー活動に関わる資格有無・トレーナーとしての活動歴・活動先
②レポート(ご自身で作成ください。)*1200文字程度
・志望理由(必須)
本プログラムへの参加を志望する理由と、ここで学びたいことを教えてください。
・将来のキャリア像について(必須)
あなたが将来、サッカー界でどんな仕事をしたいか、具体的な就職先や理想のトレーナー像など交えて教えてください。
・現在の活動内容(任意)
現在、トレーナーとしての活動を行っている方は、そこでの自身の具体的な役割を教えて下さい。また、活動の中で抱える課題や悩みがあれば教えて下さい。
応募要項
上記「応募課題」を満たす書類を、以下送付先まで郵送ください。
(応募に関わる費用はご自身での負担となります。)
送付先:
〒112-8663 東京都文京区関口2-3-3
ニチバン株式会社 メディカル事業本部 JYD×ニチバン サッカーメディカルキャンプ担当者宛
選考スケジュール
書類提出〆切:
2019年6月21日(金)必着
合格者には、6月末までにニチバン株式会社よりご連絡します。
【応募に関するお問い合わせ窓口】
サッカーメディカルキャンプ事務局
Tel:03-6303-9666
Mail:project-info@medical-camp.jp
※メール返信には最大48時間お時間をいただく場合がございます。
受付時間 平日10:00~18:00(12:00~13:00 及び 土・日・祝日を除く)