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ACL初出場の神戸が8強進出、横浜FMとFC東京はR16で敗退
2020年12月08日
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2020の東地区ラウンド16の対戦が12月6日(日)、7日(月)にカタールのドーハで行われ、ACL初出場のヴィッセル神戸はMFアンドレス・イニエスタ選手の先制点などで上海上港(中国)に2-0で快勝して準々決勝へ進出しました。一方、横浜F・マリノスは水原三星ブルーウィングス(韓国)に2-3、FC東京は北京国安(中国)に0-1で敗れて敗退となりました。
12月10日(木)に行われる準々決勝へはこのほか、メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)に3-0で勝利した蔚山現代(韓国)が進出。試合の組み合わせは12月8日の抽選会で決まります。
躍動の神戸、イニエスタ選手が先制ゴール
神戸がテンポの良い試合運びを見せて、ラウンド16の常連で2017年には4強入りした上海上港を圧倒。イニエスタ選手とDF西大伍選手の得点で勝利を手にしました。
昨季の天皇杯を制してACL初出場となった神戸は、ジョホール・ダルル・タクジムがマレーシア政府の渡航制限で辞退となり3チームとなったG組で、再開初戦の広州恒大(中国)に勝って早々に突破を確定。グループステージの残り2試合で主力選手を休ませる采配で、負ければ終わりとなる一発勝負の戦いに備えてきました。
その効果は切れのあるプレーに表れ、イニエスタ選手を主軸にFWドウグラス選手、FW古橋亨梧選手、広州戦に続いて前線で起用された西選手が攻撃を展開します。
先制は31分。右サイドに場所を移していたイニエスタ選手がDF山川哲史選手へボールを預けて前線へ上がり、ゴールを背にMF山口蛍選手のスルーパスを受けると素早く反転。相手DFとGKの動きを見極めて冷静にシュートを放ち、ゴールネットを揺らしました。
神戸は前半終盤には古橋選手がミドルレンジから、ハーフタイム直前には古橋選手のパスを受けたドウグラス選手がペナルティエリアに切り込んで、相手ゴールを脅かします。
上海はこの試合が7戦目。チーム事情で元ブラジル代表MFフッキ選手が不在の中、チェルシーでゲームメークを担った元ブラジル代表MFオスカル選手を中心に攻め、FKの機会で神戸ゴールに迫る場面を作りますが、神戸GK前川薫也選手の好セーブなどもあり、ゴールには至りません。
後半開始から上海は選手交代で中盤の形を変更して臨みますが、神戸は攻め手を緩めません。
そして50分に、左サイドに流れたドウグラス選手のパスを受けた古橋選手が、ペナルティエリア深くに持ち込んで中央へ折り返すと、ゴール前に走り込んだ西選手が右足で合わせて押し込み、2-0としました。
その後も神戸は相手ゴールに迫る場面を作り、イニエスタ選手が68分に足の負傷を訴えて退いたものの、神戸の優位は変わりません。
73分に上海はFKの流れからDFワン・シェンチャオ選手がシュートを放ちましたが、DFトーマス・フェルマーレン選手が阻止。神戸が快勝でベスト8へ駒を進めました。
神戸の三浦淳寛監督は、「非常に難しい試合になったが、選手たちがチームコンセプトの下、しっかり勝利を勝ち取ることができた」と話し、西選手の前線での起用については、「ACLで結果を出すために」Jリーグを戦いながら様々な選手の適性をチェックしてきた結果だと説明。「この2日で次の試合へ向けて準備していきたい」と述べていました。
この試合のMVPに選ばれたイニエスタ選手は、「ゴールを決めてチームの勝利と次のラウンド進出に貢献できて、とてもうれしい」とコメント。「まだまだ歴史を作り続けていきたい。次の相手がどこであれ、今日のように自分たちがピッチでやるべきプレーをして準決勝進出をかけて戦いたい」と語りました。
マリノス、前半の決定機を活かせず
昨季のJリーグ王者として2014年大会以来の出場の横浜F・マリノスは、H組を首位で突破し、4度目の挑戦でクラブ史上初の16強進出を遂げましたが、前半の決定的なチャンスを活かせずに後半失速。G組を2位で通過した水原三星にミスから3失点を許して敗戦となりました。
立ち上がりから速い試合展開が続く中、相手のハードなプレッシャーにマリノスは思うようにパスがつながらず苦戦しますが、20分にMF喜田拓也選手のスルーパスをMF仲川輝人選手がダイレクトで中へ折り返し、走り込んできたFWエリキ選手が押し込んで先制します。
34分には再び仲川選手が右サイドを攻めてゴール中央へ折り返し、FWマルコス・ジュニオール選手が右足で合わせ、40分にはエリキ選手がカウンター攻撃で持ち上がり、ペナルティエリアで相手DFを一人かわしてシュートを放つ決定的な場面を作ります。しかし、いずれも枠を捉えることはできません。
すると、後半に入ると2011年、2018年大会に4強入りした水原が反撃。球際を激しく競り合って中盤でボールを奪い、ゲームを優勢に進めます。52分にはFWイム・サンヒョプ選手に抜け出され、GKオビ・パウエル・オビンナ選手が前半に続いてこの日2本目のビッグセーブでゴールを守りますが、動きの落ちたマリノスは中盤でボールを失うミスが増加。そのミスが元で、3失点を許してしまいます。
57分にキム・テファン選手に同点ゴールを許すと、82分に元鳥栖のMFキム・ミヌ選手にワン・ツーパスで崩されて逆転されます。さらに87分にはハーフウェイライン付近からハン・ソクジョン選手がロングシュート。これが決まって3-1とされました。
マリノスは後半アディショナルタイムにFWオナイウ阿道選手が同じく交代出場のMF天野純選手のクロスに頭を合わせて1点を返しましたが、万事休しました。
マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は「前半で試合を終わらせるべきだった」と嘆き、「後半は流動性を出すことができず、ミスを繰り返し、そのミスでしっぺ返しを食らった」と指摘しました。
その一方で、指揮官は「クラブとしてこのレベルで戦ったのは初めて。このレベルを経験していない選手も多く、ビッグゲームは素晴らしい経験になったはずだ」と述べました。
喜田選手は、「水原の方が次に進みたい気持ちが上回っていたということ。気持ちを含めて、総合的に自分たちが次に進むだけの力ではなかった。またこの舞台に戻って、今日自分たちが見た壁を突破していくしかない」と肩を落としました。
東京、後半の失点で3度目の正直ならず
2012年、2016年に続く3回目の16強の舞台で、初のベスト8入りを目指したFC東京でしたが、今回も突破はなりませんでした。
中2日での戦いが続くカタールでの集中開催で、長谷川健太監督は積極的に若手を起用しながらメンバーを入れ替えてラウンド16へ進出し、この試合でも前節から先発7人を変更して臨みました。
一方の北京は、ACLでは2010、2013、2015年の16強が最高。リヨンでUEFAチャンピオンズリーグも戦ったフランス出身のブルーノ・ジェネジオ監督が昨年7月から指揮を執り、E組を5勝1分で突破。主力を休ませた前節から先発8人を入れ替えてきました。
試合開始速いペースでの展開となり、北京は攻撃の主軸の元ブラジル代表FWレナト・アウグスト選手、FWアラン選手、スペイン人MFジョナサン・ビエラ選手を中心に攻撃を組み立て、東京のゴールに迫りますが、東京は守備のブロックを敷いて相手のパスコースを消し、MF森重真人選手が中盤で相手の攻撃を遅らせるカバー力を見せて対応します。
東京は23分にFW原大智選手のシュートの跳ね返りにFWレアンドロ選手が右足で狙い、前半終了直前にはレアンドロ選手がFKから直接狙い、相手ゴールを脅かします。
しかし後半に入ると、東京は連戦の疲労からか、攻撃へ転じるところでボールを失う場面が増えます。そこから北京の攻撃を受け、アウグスト選手に右サイドからの仕掛けでシュート場面を作られるようになり、そして59分に、この形から北京に得点を許してしまいます。
アウグスト選手がビエラ選手のパスを受けて右サイド深くまで持ち込み、DFを振り切ってゴール前へ折り返すと、アラン選手が右足で合わせて先制しました。
東京は68分にMF高萩洋次郎選手、アダイウトン選手を投入し、ボランチを2枚にして中盤の形を変えて反撃の機会を探り、終盤にはMF紺野和也選手、DF中村帆高選手、MF内田宅哉選手をベンチから送り出しますが、得点にはつながらず0-1で終了。過去2回と同様、今回も中国勢を前に16強を超えることはできませんでした。
長谷川監督は、「1点が遠い中で一瞬の隙をつかれた。あの瞬間だけ、中の対応が若干遅くなった」と語り、勝負どころの時間帯に「そこで自分たちは1歩、2歩、足が前にでなかった。そこで相手の方が上回っていた」と振り返り、MF東慶悟選手は、「悔しい」という言葉を繰り返し、「チームとして個人として、まだまだ力を付けないといけない」と話しました。
また、東京の指揮官は、「AFC、JFA、Jリーグの協力があって我々はこうしてサッカーができ、このような素晴らしい大会に参加することができた。このような状況でもサッカーを続けられてプレーできるという教訓は、これからの人生で逆境に陥っても気持ちの支えになるのではないか」と語り、大会を後にしました。
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