女子サッカークラブのアジアナンバーワンを決める「AFC女子チャンピオンズリーグ 2024/25」はノックアウトステージに突入し、3月22日(土)と23日(日)に準々決勝4試合が開催されました。

2023-24 WEリーグ王者の三菱重工浦和レッズレディース（日本）は、23日に埼玉県・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で武漢江大（中国）と対戦しました。

グループステージでは、3戦全勝でグループCを突破した浦和。この試合はGK池田咲紀子選手や柴田華絵選手など経験豊富な選手が多く先発し、なでしこジャパン（日本女子代表）に名を連ねる高橋はな選手はFWとして出場しました。対する武漢江大は中国や韓国など各国の女子代表選手を擁し、グループAを3位通過したチームです。

なでしこジャパンのニルス・ニールセン監督が視察に訪れた一戦で、最初にチャンスをつくったのは武漢江大。5分にケニア人FWのT. Engesha（テレザオブニュ・エンゲシャ）選手がペナルティーエリア右からシュートを放ちましたが、これはGK池田選手がセーブしました。高橋選手が「試合の入りで、相手は浦和のことを分析してきているとすぐに分かった」と話すなど、武漢江大はこの一戦に向けて準備してきたものを発揮します。

それでも昨シーズンのプレ大会で優勝した浦和が徐々に試合を優位に進め、塩越柚歩選手、島田芽依選手などが素早い寄せで相手の自由を奪い、攻撃では相手陣内でパスをつないでいきます。島田選手、伊藤美紀選手らがシュートを放ちましたが、武漢江大が高い集中力で守り、前半はスコアレスで終了しました。

チームを率いる楠瀬直木監督が最終ラインに石川璃音選手を投入した後半も、浦和のペースは変わりません。左右のサイドバックの栗島朱里選手、遠藤優選手が高い位置を取り、シュートまで持ち込みますが、ゴールネットを揺らすには至りません。

73分にはU-19日本女子代表候補の藤﨑智子選手を投入し、チャンスをつくっていきますが、浦和にとって1点が遠い展開が続きます。武漢江大はカウンターを軸に攻めるものの、ディフェンスラインを統率する石川選手、後藤若葉選手が互いにカバーして得点を許さず、0-0のまま延長戦に突入しました。

延長戦では、左サイドの藤﨑選手がドリブルやパスだけでなく果敢なシュートで多くのチャンスに絡み、相手ゴールを脅かします。118分には藤﨑選手のクロスからゴール正面で高橋選手がシュートを放ちましたが、わずかに枠を外れました。遠藤選手は「相手がかなり引いてディフェンスラインに6人くらいいて、寄せも早かった。もう少しキックフェイントやドリブルで仕掛けるなど工夫があれば」と試合後に振り返るなど、チャンスを生かし切れませんでした。

延長戦でもスコアは動かず、勝敗はPK戦に委ねられます。先攻の浦和は、高橋選手と塩越選手が連続で成功。武漢江大の2人目のWu Haiyan（ウー・ハイエン）選手のキックをGK池田選手がセーブすると会場は大きく沸きました。しかし浦和の3人目の藤﨑選手が失敗し、両者が譲らない展開に。サドンデスに突入する中、8人目の遠藤選手のキックが相手GKにセーブされ、PK5-6で浦和の敗退が決定しました。

楠瀬監督は試合後、「ボールを保持していたものの、フィニッシュで崩せない課題が浮き彫りになった」と振り返り、「PKは僕が（キッカーを）指名したので、僕に責任がある。良い返事をして蹴ってくれた選手たちに本当に感謝している。ただ（PK戦に入る）その前に決着をつけなければいけなかった」と残念そうな表情を見せました。

また、栗島選手は「負けた事実は変えられないので、悔しさを晴らすためにもWEリーグで優勝したい」と決意。塩越選手も「悔しいけれど、試合後のロッカールームで切り替えて次に向かおうと話をした。WEリーグではこの悔しい気持ちを持って戦えるはず」と前を向きました。

準々決勝の他会場では、昨シーズンのプレ大会で準優勝の仁川現代製鉄レッドエンジェルス（韓国）がバム・カトゥーン（イラン）に1-0で勝利。仁川は元NISHISATOアローレレディースの鳥海由佳選手が先発出場。また、途中交代で入った元日テレ・東京ヴェルディベレーザの鈴木陽選手のラストパスから81分に決勝点が生まれました。

元ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの曽根七海選手が先発したアブダビ・カントリー・クラブ（UAE）は、アウェイでホーチミン・シティ（ベトナム）と対戦。前半はアブダビが3-0とリードして折り返すも、後半に5点を決めたホーチミンが5-4で逆転勝利を飾りました。もう1試合、メルボルン・シティ（オーストラリア）と台中藍鯨女子足球隊（チャイニーズ・タイペイ）の戦いは、4分の先制ゴールを皮切りに3点を奪ったメルボルンが勝利しました。

ベスト4が出そろったAFC女子チャンピオンズリーグ 2024/25は、5月21日に準決勝が行われます。

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