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横浜FMがバンコクとの延長戦を制して初のACL8強進出、川崎と甲府は敗退

2024年02月22日

横浜FMがバンコクとの延長戦を制して初のACL8強進出、川崎と甲府は敗退

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は2月20日(火)、21日(水)に東地区ノックアウトステージ1回戦(ラウンド16)の第2戦を開催。日本勢はホームで行い、横浜F・マリノスがバンコク・ユナイテッド(タイ)に延長1-0で競り勝ち、2戦合計3-2で制して初の8強入りを決めましたが、川崎フロンターレは山東泰山(中国)に2-4で敗れて2戦合計5-6で、J2ヴァンフォーレ甲府は蔚山現代(韓国)に1-2で敗れて2戦合計1-5となり、敗退が決まりました。

横浜FM、延長戦終了間際に決着

2月14日(水)のアウェイ戦を2-2で引き分けた横浜FMはホームでバンコクを圧倒する攻撃を展開しながら、なかなかゴールが決まらず、延長にもつれる激闘に。PK戦に突入かと思われた延長後半アディショナルタイムにFWアンデルソン・ロペス選手がPKを決めて決着し、6回目の出場で初めて16強を突破しました。

横浜FMは出場停止のDF松原健選手に代わって入ったDF渡邊泰基選手を除いて第1戦と同じ顔ぶれを先発に起用。序盤からボールを支配してFWエウベル選手やMF渡辺皓太選手、MFナム・テヒ選手らが相手ゴールを脅かします。

バンコクは第1戦から唯一の先発入れ替えとなったパレスチナ代表FWマフムード・イード選手、ブラジル人FWウィルソン・モタ選手らを中心に、序盤こそ横浜ゴールに迫る場面も作りましたが、次第に横浜FMの攻撃に押されて守備に回る時間が増えるようになります。
横浜FMは60分にMF天野純選手とFW宮市亮選手を投入して、中盤の形をインサイドハーフ2枚とアンカーの形からトップ下1枚とボランチ2枚の形に変えると攻撃が活性化。さらに後半終盤にもDF永戸勝也選手を左サイドバック、FW村上悠緋選手を右サイドバックに送り込み、両サイドでの仕掛けと推進力を上げて得点を狙います。

後半だけで15本のシュートを放ち、120分で相手の5倍以上の27本のシュートでゴールを狙い続けた横浜FMに、ついに待望の瞬間が訪れます。

延長後半終了間際に、右サイドを村上選手がドリブルで切り込みクロスを上げると、相手のハンドを誘い、VAR判定によりPKを獲得。これをロペス選手がタイミングを外す巧みな動きでゴール右へ決めて1-0とし、苦しみながらも8強入りの戦いを制して、今季就任したハリー・キューウェル監督はホームでの初陣を勝利で飾りました。

横浜FMは準々決勝ではグループステージでも戦った山東泰山(中国)と、3月6日(水)にアウェイ、12日(水)にホームで対戦します。山東はラウンド16で川崎を破っての8強進出です。

川崎、後半終了間際の失点で敗退

13日(火)にアウェイでの第1戦を3-2で勝利していた川崎は、引き分け以上で2017年以来の8強進出決定が決まるホームでの対戦でしたが、相手の猛攻に対応できず、後半アディショナルタイムに失点を喫して2戦合計5-6で敗退となりました。

全北現代モータース(韓国)を2度のACL優勝に導いたチェ・ガンヒ監督の下、1点差でアウェイ戦に臨んだ山東は試合開始からFWクリサン選手、MFバレリ・カザイシュビリ選手らを中心に勢いのある攻撃を仕掛けます。

前半8分にはMFリー・ユアンイー選手が川崎DFにプレッシャーをかけてボールを奪うとペナルティエリアに切り込み、走り込んだクリサン選手にパス通して先制。さらに、25分には川崎のCKからカウンター攻撃に転じ、DFガオ・ジュンイー選手が決めて2-0として2戦合計で山東が勝ち越します。

川崎は優勝した17日(土)のFUJI FILM SUPER CUPから先発を入れ替え、最終ラインの2人を除いて第1戦の先発に戻して臨みましたが、相手の攻撃陣の勢いと強さに押され気味になります。それでも前半30分にMF山本悠樹選手が左サイドで仕掛け、パスを受けたDF三浦颯太選手が左足で移籍後初得点。新加入2選手の活躍で、振り出しに戻しました。

攻撃にリズムが出た川崎はその後、山本選手のミドルシュートがクロスバーを弾き、FWマルシーニョ選手やMF家長昭博選手が相手ゴールに迫ります。そして59分、家長選手のクロスに合わせたマルシーニョ選手のシュートのリバウンドにFWエリソン選手が反応。左足で押し込んで2-2とし、2戦合計で先行しました。

しかし、山東は73分にブラジル出身のクリサン選手が個人技を生かして左サイドから切り込み、この試合2点目で3-2。そして、そのまま延長戦かと思われた後半アディショナルタイム7分、山東はCKからゴール前で混戦となり、最後はDFジャジソン選手が決めて4-2とし2戦合計6-5で3度目の8強進出を決めました。川崎のアジア制覇の挑戦は昨年の天皇杯優勝で出場が決まっている来季に持ち越しとなりました。

甲府、終盤1点返すも及ばず

15日(木)にアウェイで0-3と敗れた甲府は、逆転を期してACLでのホームとしている東京の国立競技場での一戦に臨みましたが、試合終盤に1点を返したものの、序盤と試合終了間際の失点で勝利につなげることはできませんでした。

得点が必要な甲府は第1戦から先発の約半数を入れ替えて、前線にFWピーター・ウタカ選手とFWファビアン・ゴンザレス選手、FW宮崎純真選手、MF鳥海芳樹選手を起用して臨み、序盤に宮崎選手が左サイドからシュートを狙うなど積極的な姿勢を見せます。

しかし、第1戦から先発5人を入れ替えた蔚山に前半11分に先制を許します。蔚山MF江坂任選手の相手の裏のスペースを突くパスをMFイ・ドンギョン選手が受けて右サイドへ展開。FWオム・ウォンサン選手が右から狙い、ポストに当たった跳ね返りをFWキム・ジヒョン選手が押し込みました。

甲府は前半36分のFKの流れからウタカ選手が狙いますが枠を捉えられず、2分後にはMF木村卓斗選手が持ち上がって左足を振るなど相手ゴールに迫ります。しかし、先日のAFCアジアカップカタール2023でも活躍した韓国代表GKチョ・ヒョヌ選手にセーブされ、ゴールにはなりません。

前半終了直前には蔚山のオム選手のシュートをGK河田晃兵選手が阻止して後半へ望みをつなぎます。

後半開始からFWアダイウトン選手、60分過ぎにはFW三平和司選手、MF武富孝介選手らを投入して得点機を探り、後半は相手の2本に対して11本のシュートを放つなど攻勢を強めますが、GKチョ選手のセーブもあり、枠を捉えることができません。それでも甲府は88分に左CKに三平選手が頭で合わせて同点とします。

しかし、蔚山は後半アディショナルタイムにDFソル・ヨンウ選手が持ち上がり、オム選手へつなぐと、オム選手の折り返しに途中出場のFWチョ・ミンギュ選手が左足で合わせて得点。蔚山が2-1で勝利を収め、甲府のACL初挑戦は16強で幕となりました。

蔚山は3月5日(火)の準々決勝で全北現代と対戦します。全北現代はアウェイで浦項スティーラーズ(韓国)と1-1で引き分け、2戦合計3-1の勝利です。

なお、西地区ではアルナスル(サウジアラビア)がアルフェイハ(サウジアラビア)を2-0で下し、2戦合計3-0で勝利。アルアイン(UAE)がFCナサフ(ウズベキスタン)に2-1で勝って2戦合計2-1で8強に進出です。

アルイテハド(サウジアラビア)とナフバホール(ウズベキスタン)、アルヒラル(サウジアラビア)とセパファン(イラン)の第2戦は22日(木)に行われます。

西地区準々決勝では、アルアインとアルナスルが3月4日(月)と11日(月)に対戦し、セパファンまたはアルヒラルがナフバホールまたはアルイテハドと3月5日(火)と12日(火)に対戦します。

監督・選手コメント

ハリー・キューウェル 監督(横浜F・マリノス)
次のラウンドに進むことができてうれしく思います。勝ち進むのはどの大会でも難しいものですし、バンコクも全力を尽くして我々を追い詰めてきました。我々は狙っていた戦い方をしましたが、ファイナルパスに必要な精度を欠いてしまい、そこはフラストレーションを感じる点です。それでも選手たちは試合のほとんどで攻め続けて、最後に褒美を手にすることができました。選手たちを誇りに思います。アジアトップを決めるACLは他の大会とも違い、我々は試されています。新シーズンが今大会のラウンド16で始まることは、この仕事を受けた時から分かっていましたし、難しさも理解していたので、プレシーズンから注意深く準備をして選手たちもしっかり取り組んでくれました。難しい作業でしたが、クラブの8強入りという特別なことを成し遂げたので、それだけの価値はあったと思っています。

MF 喜田拓也 選手(横浜F・マリノス)
このクラブはACLで16強以上に行ったことがなく、僕自身、何度も16強の壁に阻まれた悔しさを味わって、その景色や感情は忘れたことはありません。このクラブの未来を切り拓くために全員で力を合わせて戦って、どんな形でも必ず勝利をもぎ取るという強い気持ちで臨みました。みんなのハードワークでそれを勝ち取れたことを非常にうれしく思います。試合の内容では自分たちはもっとできると思っていますし、ポジティブな変化をしているところなので、もっとチャレンジをして、これからも仲間を信じて貫き通したい。ここで満足せず、もっと上に行ける、もっと良い景色を見ることができると思っています。

FW 村上悠緋 選手(横浜F・マリノス)
(交代で)試合に入る時に監督からも言われましたが、チームとして縦の動きが少なかったので、そういうところを意識していましたし、それを続けようとした結果、自分の仕掛けからPKを獲得することができました。チームとして求められていることをやることはすごく重要だと改めて思いました。試合に出たら自分がなんとかしてやろうという気持ちでいたので、それが勝ちにつながって良かったです。

トチャワン・スリパン 監督(バンコク・ユナイテッド)
マリノスの非常に高いクオリティを認めなければなりません。我々はしっかり相手と戦って90分間でチャンスを作り、それをモノにして勝つことを考えて臨んだのですが、ほとんどの時間を守備に割くことになってしまいました。ここまで守備に回るようになるとは全く予期していなかったことです。相手の質の高さとテンポの速い試合のなせる業で、こういう展開になってしまいました。

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