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FC東京、苦しみながらもACLベスト16へ進出
2020年12月04日
FC東京が12月3日(木)、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2020のグループステージ突破を決定。ドーハで行われたグループF最終節でパース・グローリー(オーストラリア)にFWアダイウトン選手の前半のゴールで1-0と勝利。勝点を10としてグループ2位で2016年大会以来通算3度目のベスト16入りを手にしました。東京は12月6日(日)のラウンド16でグループE首位突破の北京国安(中国)と対戦します。
最終節を前にグループFは蔚山現代(韓国)が1位突破を確定済みで、残る1枠の2位突破を目指す東京は、上海申花(中国)と2勝1分2敗の勝点7で並ぶ接戦。得失点差1で2位に付け、最終節で申花よりも良い結果を出せば16強進出が決まります。
その大一番に、東京の長谷川健太監督は3日前の蔚山戦から先発を6人変更。累積警告で出場停止のDF森重真人選手に代わって、ガンバ大阪でACL出場経験のあるDF丹羽大輝選手をセンターバックに据え、MF三田啓貴選手やMF内田宅哉選手ら若手を起用して臨みました。
すると、今大会でこれまで出場機会が少なかった選手たちが躍動し、試合開始から積極的に相手の背後を突く攻撃を展開。前半8分、自陣でボールを持ったMF品田愛斗選手が前線へロングフィード。これをアダイウトン選手がドリブルで持ち込み、相手GKの動きを見ながら冷静にゴールに流し込み、先制点を奪いました。
「チームに勇気を与えてくれた」(長谷川監督)というゴールで、東京はその後もアダイウトン選手や内田選手が相手ゴールを脅かす場面を作り、優勢に試合を進めて1-0で前半を折り返します。
すでに大会敗退が決まっていたパースですが、前節は申花と3-3ドローを演じて今大会初の勝点を挙げて上昇ムード。この試合でも後半開始から攻撃の要のMFディエゴ・カストロ選手やFWブルーノ・フォルナロリ選手らを投入して反撃を試み、61分にはMFニール・キルケニー選手が枠を捉えられなかったものの、ミドルレンジから東京のゴールを狙う場面を作りました。
しかし、東京は68分にFWレアンドロ選手とMF高萩洋次郎選手をベンチから送り出して再び流れを引き戻すと、レアンドロ選手、途中出場のFW原大智選手がシュートで相手ゴールに迫ります。相手GKのセーブなどで追加点は奪えなかったものの、東京は1-0で試合を終えました。
この結果、東京は勝点を10に伸ばし、他会場で蔚山に1-4で敗れた申花を勝点3差で抑えて2位で終了。すでにグループステージ突破を決めていたヴィッセル神戸と横浜F・マリノスに続いて、ノックアウトステージ進出決定となりました。
長谷川監督は、「出場機会の少なかった選手が試合を作ってくれた。彼らの力を信頼していたし、その信頼に応えてくれた」と話し、「グループステージを通じて選手全員が本当によくがんばってくれた」と選手のハードワークを称えました。
苦戦続きのグループステージ
しかし、東京のグループステージでの戦いは簡単ではありませんでした。
新型コロナウィルス感染流行で中断していたACL東地区の戦いは、カタールのドーハでの集中開催で、試合消化数の少ないチームが11月18日から先行する形で再開。中断前は、グループ首位の蔚山現代と1勝1分ながら得失点差で2位に付けていた東京でしたが、11月24日の上海申花との再開初戦で、優勢に進めながらも後半半ばに与えたPKを決められて0-1で敗れ、申花に2位の座を譲り、3位に後退します。
いきなり苦しい局面を迎えた東京でしたが、中2日で迎えた27日の申花とのリターンレッグで反撃。立ち上がりからレアンドロ選手が相手ゴールを脅かす得点機を作り、前半終盤にはFW永井謙佑選手がスルーパスに抜け出して相手GKと1対1になる決定的な場面を作ります。
追加点を奪えないまま後半に入ると、開始早々にFWディエゴ・オリベイラ選手が相手の危険なタックルを受けて負傷退場を余儀なくされてしまいます。嫌なムードが漂う中、レアンドロ選手が61分に鮮やかなシュートを決めて、先制しました。
東京はその後も攻め手を休めずに得点機を生み出し、82分に安部選手が追加点を押し込んで2点のリードを奪います。終盤に1点を返されたものの、2-1で勝利し、申花を勝点1で上回って再び2位に浮上しました。
ところが、良い流れは続きません。
東京は、11月30日に3勝1分無敗の勝点10で首位に立つ蔚山と対戦。勝てば突破が決まる蔚山を相手に、試合開始早々に永井選手のゴールで1-0と先行し、幸先の良いスタートを切ります。
しかし、前半半ば過ぎに蔚山がMFコ・ミョンジン選手を投入して攻勢を強めると、前半終了直前に得たFKをMFユン・ビッガラム選手が直接決めて同点に追いつかれました。
東京は後半開始からMF東慶悟選手をベンチから送り出して陣形を4-4-2に変更。さらに60分過ぎには高萩選手とアダイウトン選手を投入して得点機を探ります。68分にはレアンドロ選手が右足を振り抜いて、相手ゴールを脅かしますが、ゴールを割ることはでません。
選手交代を重ねて攻勢をかける蔚山は、85分に右サイドの仕掛けからユン選手が2点目を決め、2-1で勝利して1位突破を決定。東京は、申花がパースと3-3で引き分けたため、勝点で並びながら得失点差1の僅差で2位をキープという状況で、突破をかけて最終戦に臨んでいました。
主力メンバーに負傷や出場停止の選手を抱えながらグループステージの連戦を戦い抜いて、長谷川監督は「蔚山に敗れて、一瞬『ダメか』と思うような状況だった」と胸の内を明かし、「よくここまで盛り返して決勝トーナメントへ行くことができた」と語り、安堵を滲ませていました。
最終節のパース戦で今大会初先発で決勝点を決めたアダイウトン選手は、「誰が出てもいいように全員準備していたし、みんなでチームとして変わらないプレーを出せた。みんなで勝ち取った勝利だ」と述べていました。
ラウンド16からは一発勝負
コロナ禍の影響で再編された今季のACLでは、この後のノックアウトステージからは一発勝負の対戦となります。
東京は2012年、2016年と16強止まり。過去2度の大会で遂げることができなかった8強入りを目指して、ラウンド16で北京国安と対戦します。
北京はグループEでメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)、FCソウル(韓国)、チェンライ・ユナイテッド(タイ)を抑えて5勝1分無敗の好成績で突破。6試合で4失点の堅守と、MFレナト・アウグスト選手やMFジョナサン・ヴィエイラ選手、FWアラン選手を中心に6試合12得点の攻撃力を備えています。
長谷川監督は「我々に失うものはなにもない。思い切りぶつかっていきたい」と語り、東選手も「カタールで1試合でも多くプレーできるように頑張りたい」と、次の戦いへ気持ちを切り替えてました。
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