日常の大切さときっかけについて 〜JFAアカデミー福島男子WEST スタッフ通信Vol.45
2021年10月12日
JFAアカデミーでは「常にどんな時でも(日本でも海外でも)ポジティブな態度で何事にも臨み、自信に満ち溢れた立ち居振る舞いのできる人間の育成」というフィロソフィーを掲げ、真のエリートを目指して日々活動しています。
JFAアカデミースタッフ通信では選手たちの日常の様子や、日々の活動を詳しくお伝えしています。今回JFAアカデミー福島男子WESTのレポートを担当するのは総務の芝脩希さんです。
JFAアカデミー福島男子で主にJrユース年代(中学生)を担当している芝です。アカデミーに来て5年目となりました。
これまでにスタッフ通信として、Vol.12【ジュニアユースの日常生活について】、Vol.15【ジュニアユースの寮生活について】、Vol32.【アカデミーの学習についての考え方】というテーマでJFAアカデミー福島を紹介してきました。
4回目の寄稿となる今回は、「日常の大切さと、きっかけを日常に活かす」という観点でお話しようと思います。
ここでの”行い”とは、主に寮生活や学校生活などオフザピッチでの振る舞いを指しますが、このフレーズは育成年代のサッカーに携わっていると一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。JFAアカデミー福島でもスタッフが選手に伝えているのをよく耳にします。スタッフの多くはプロの世界で選手、また指導者として長く活躍してきたキャリアがあるため説得力はありますが、選手がそれを自分のこととして受け止められるかはまた別の話です。
オフザピッチでの振る舞いがプレーに出るか出ないかは少し置いておいて、試合を振り返ったときに、「普段の生活がだらしないから負けたんだ」と言われることは、サッカー選手として悲しいことではないでしょうか。サッカー選手であるならば、プレーの内容や質の部分で評価されるべきだと思います。
そうであるならば、試合やプレーの結果に対して言い訳となる要素を排除できるように、選手たちはオフザピッチの部分を疎かにせず、しっかりと正していかなければならないと我々は考えています。
日常の大切さというのは、選手たちもある程度は理解していると思います。しかし、実際に行動として表れないことも多く、オンザピッチ、オフザピッチともに日常を変えるには何かきっかけが必要になるのかもしれません。
JFAアカデミーではオフザピッチの部分で選手にきっかけを与えるために、様々なプログラムを実施しています。ただし大切なことは、プログラムを受講するだけではなく、そこで学んだこと、感じたことを活かして、日常を変えていくということです。手段が目的とならないように我々スタッフも注意しなければならないと感じています。
また、オンザピッチの部分でのきっかけというと次のようなことがありました。U-15チームが8月に帯広で開催された日本クラブユース選手権大会に出場しましたが、結果は選手たちが目指していたものとは程遠いものとなりました。大事な試合に負けた後、悔しい思いをした後、選手たちは目の色を変えてトレーニングに取り組むようになります。これは悔しさや不甲斐なさという自分の気持ちをきっかけに日常を変える例だと思います。
誰かに与えられたきっかけよりも自分自身できっかけと思えた場合の方が、選手の変わろうとするエネルギーは強いものになると選手を観ていて私自身は感じています。
ただし、より重要なことはその時に感じた気持ちや思いを継続して持ち続けられるかではないでしょうか。クラブユース選手権の話をしましたが、カテゴリーの担当スタッフも大会敗退後に「今感じている思いを忘れないことが重要になる」と選手に伝えていました。
何かきっかけがあれば選手たちは変わります。しかし選手たちは時間が経つと以前の状態に戻ってしまうことも少なくありません。我々スタッフも試行錯誤しながら選手たちがその気持ちを持ち続けられるように刺激しますが、“忘れない”という部分においては、もしかすると選手個人の思いの強さに依る部分が大きいのかもしれません。
中学年代という多感な時期に、様々なきっかけ、刺激を大人が選手に与えることも大切です。しかしそれ以上に、選手自身がきっかけを感じとり、それを活かして日常を変えていく、そして持続させる、この流れが選手たちの成長に欠かせないものだと感じています。