オルカ、くノ一のなでしこ1部勢が3回戦を突破 皇后杯 JFA 第43回全日本女子サッカー選手権大会
2021年12月12日
皇后杯 JFA 第43回全日本女子サッカー選手権大会は、12月11日(土)に3回戦の4試合を実施しました。真岡市総合運動公園陸上競技場では、2021プレナスなでしこ2部リーグチームが、同1部チームに挑戦する構図の2試合が行われました。
静岡SSUアスレジーナ 0-1(前半0-1、後半0-0) オルカ鴨川FC
なでしこ2部で3位の静岡SSUアスレジーナ(東海/静岡)と、同1部で9位のオルカ鴨川FC(なでしこ1部/千葉)の対戦は、両者の勝利への意欲に満ちた90分でした。
オルカはここまで無失点で、2回戦ではニッパツ横浜FCシーガルズ(なでしこ1部/神奈川)を0-1で破って好調を維持しており、この日もアスレジーナを押し込みます。19分には今季でオルカを退団する南山千明選手が、ミドルシュートを放ちますがゴール右に外れました。それ以外もシュートを連発するオルカは32分、右サイドに流れた南山選手のクロスボールに浦島里紗選手が右足でダイレクトシュート。狙い澄ましたシュートはゴール左に決まって、オルカが先制します。浦島選手の2試合連続のビューティフルゴールに、客席からは大きな拍手が起こりました。
1回戦から2試合連続でPK勝ちを収めてきたアスレジーナは、攻撃を組み立てる藤原加奈選手、三好茜選手にボールが渡らず、苦しい前半となりました。
しかし後半はアスレジーナが徐々に相手ゴールに近づき、50分には高島絢音選手が蹴ったFKに藤原選手が頭で合わせてシュート。58分には、山田優衣選手のミドルシュートがゴールポスト右をたたきました。
リードを広げたいオルカも61分と65分にセンターバックの鶴見綾香選手が高い打点でのヘディングシュートを放ちますが、これらはゴールの枠から外れます。
攻撃の時間を増やしたいアスレジーナでしたが、攻撃が単発になり71分に放った三好選手のシュートもゴール右にわずかに外れてチャンスを生かせません。1点差の試合は90分が近づくにつれ激しさを増しましたが、スコアは動かず0-1でオルカが勝利。オルカは再び無失点を守り、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(WEリーグ/千葉)が待つ4回戦に進みました。
伊賀FCくノ一三重 7-0(前半2-0、後半5-0) 福岡J・アンクラス
なでしこ1部で優勝した伊賀FCくノ一三重(なでしこ1部/三重)と、同4位の福岡J・アンクラス(九州/福岡)の対戦は、くノ一の高い攻撃力が際立つ試合となりました。
2回戦で筑波大学(関東/茨城)に4得点を決めて完勝したくノ一は、キックオフと同時にアンクラス陣内でボールを動かし、多彩な攻撃を仕掛けて、10分に先制弾を決めました。鈴木千尋選手が蹴った左CKをニアサイドの森仁美選手が頭で合わせてゴールネットを揺らしました。その後もくノ一は左右のサイドから攻め、6月以来の先発出場となった右サイドバックの常田菜那選手も、積極的に攻撃に関わります。
アンクラスは速攻で攻撃の糸口を探りますが、くノ一のボール回収が早く、攻めに転じることができません。24分には、なでしこ1部で最優秀選手賞の杉田亜未選手が追加点を決めて、2-0のくノ一リードで前半を終えました。
後半はさらにくノ一が多彩な攻撃を発揮します。53分に杉田選手のクロスボールから島野美央選手が今季初得点を決め、その3分後には杉田選手がこの日2得点目をマーク。なでしこ1部の得点王・西川明花選手も、杉田選手のクロスボールに頭で合わせて2試合連続得点を決めました。
くノ一は途中出場選手も活躍し、64分には沖野くれあ選手がペナルティーエリア内で倒されPKを獲得。自身でキッカーを務めましたが、これはアンクラスGK朝山美帆選手が決死のセーブを見せて会場を沸かせました。
しかしその後、くノ一は流れの中から沖野選手、三橋明香選手がゴールを重ね7-0で完勝。計33本のシュートを放ち、アンクラスを退けてベスト16に進出しました。
本田美登里 監督(静岡SSUアスレジーナ)
GKからのビルドアップで前半から突破できれば良かったのですが、それができませんでした。後半はボールを動かしていましたが、フィニッシュで点が取れないところも課題です。ただ、選手はなでしこ1部相手に十分やれるという自信は持てたと思うので、来季こそなでしこ1部昇格に向けて、もっと徹底して磨いて圧倒的な力で昇格を勝ち取りたいと思います。
DF #4 鶴見綾香 選手(オルカ鴨川FC)
2回戦は押し込まれた展開で勝ち切れたので、それを無駄にしないためにもすごく大事な試合でした。今日も全体的に苦しい展開で、私は今季リーグ戦で1得点しか決められなかったので、今日はヘディングで決めてチームを楽にしたかったのですが残念です。次は古巣のジェフとの対戦で、それを考えず戦ってきましたが、対戦が決まるとやっぱりうれしいです。勝つための準備をしていきたいです。
MF #10 杉田亜未 選手(伊賀FCくノ一三重)
チャレンジしてくる相手なので、まずは前半が大事だと話していました。立ち上がりはなかなか点が入りませんでしたが、先制後はみんなの動きも変わっていったので、それが大きかったと思います。皇后杯はまずWEリーグチームと対戦するのが目標で、次はレッズ(三菱重工浦和レッズレディース)との対戦が決まったのでワクワクしています。くノ一としては勢いに乗れていると思うので、思い切りぶつかっていきたいです。
河島美絵 監督(福岡J・アンクラス)
相手は攻撃力のあるチームなので、しっかりした守備からカウンターで打開したい試合でしたが、いい立ち位置が取れず、ただ守備をする前半でした。ハーフタイムに状況を把握して後半は落ち着いていこうとしましたが、止める・蹴る・走るに大きな差はないにも関わらず、なでしこ1部と戦うメンタリティーとは言えませんでした。ただ、コロナ禍で練習場が使えない時期もあった中、成長は感じた1年でした。
開催期間:2021年11月27日(土)~2022年2月27日(日)
【1回戦】11月27日(土)、28日(日)
【2回戦】12月4日(土)、5日(日)
【3回戦】12月11日(土)、12日(日)
【4回戦】12月25日(土)
【準々決勝】12月29日(水)
【準決勝】2022年1月5日(水)
【決勝】2022年2月27日(日)