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試合後には握手をしよう ~いつも心にリスペクトVol.9~
2014年01月31日
代表戦をはじめ国内の各種大会において、試合終了後に対戦した選手同士が握手をすることは当たり前の風景になった。また、たとえ敵対するチーム同士でも、倒れた選手に手を差し伸べたり、素晴らしいプレーに拍手を送るなど、相手への敬意が表れた行為は、スポーツにおける最も感動的なシーンと言えるだろう。
日本サッカー協会(JFA)が、試合終了後に選手同士の握手を実施するようになったのは、2003年度から。国際サッカー連盟(FIFA)が2003年3月の理事会で「FIFA主催各種大会の決勝大会で試合後に選手同士握手を行うこと」を決定したことがきっかけだ。
FIFAとしては、対戦相手への敬意を選手自身による『握手』で具現化することが狙いだった。それにより、選手だけでなく観客やファン・サポーターに、「両チームの選手たちが試合の結果を受け入れていること」「サッカーが競技規則に従って行われる1つのスポーツ競技であること」「試合が終了したこと」を示すことができる。試合終了後の握手は、1つの儀式とも言えるだろう。勝敗にかかわらず、選手が互いの健闘をたたえ合う姿は、それを見た観客たちにも同様に、相手チームや相手サポーターにもリスペクトの念を抱かせ、それが大きな拍手となってピッチに注がれる。
JFAは、すでに実施していた「試合前の選手同士の握手」に加えて、試合終了後の握手を導入し、JFAが掲げるサッカー行動規範の具体的な表現の一つとして普及させてきた。
また、Jリーグでも2011シーズンから新たなフェアプレーキャンペーンを展開し、その一環として試合終了後の握手だけでなく、選手入場後の両チーム選手による握手も取り入れた。シーズンを告げる2011年2月26日のゼロックススーパーカップ(名古屋対鹿島)の開催に当たり、元日本代表の宮本恒靖氏による提案を受けてのものだ。
トップリーグの選手がそうしたリスペクトやフェアプレーの精神を見せることで、プロサッカー選手に憧れる子どもたちにも確実に伝わる。それはまた、サッカーの魅力と価値を高めることでもある。もちろん、選手たちがピッチ上で繰り広げる闘志あふれるプレーや高度なテクニックは見る者を釘付けにし、サッカーの醍醐味を味わわせてくれる。選手にとっても、対戦する相手や試合をコントロールする審判員がいてくれるからこそ、日頃培った技術を試合で余すところなく発揮できるのだ。
2014年1月1日の第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会・決勝戦、横浜F・マリノスに敗れたサンフレッチェ広島の佐藤寿人キャプテンは試合後、横浜FMの中村俊輔キャプテンと固い握手をかわした。こうした試合後の選手たちのふるまいに注目していたファン・サポーターも多いのではないだろうか。「勝者がいれば敗者がいる」という佐藤選手の言葉からは、悔しさを抱きながらも自らの負けを認める潔さを感じ取れる。
対戦相手は“敵”ではなく、共にサッカーを愛する“仲間”。握手ひとつとっても、サッカーを、そしてスポーツを愛していればこその行為と言えるだろう。
JFAサッカー行動規範
1 最善の努力
どんな状況でも、勝利のため、またひとつのゴールのために、最後まで全力を尽してプレーする。
2 フェアプレー
フェアプレーの精神を理解し、あらゆる面でフェアな行動を心がける。
3 ルールの遵守
ルールを守り、ルールの精神に従って行動する。
4 相手の尊重
対戦チームのプレーヤーや、レフェリーなどにも、友情と尊敬をもって接する。
5 勝敗の受容
勝利のときに慎みを忘れず、また敗戦も、誇りある態度で受け入れる。
6 仲間の拡大
サッカーの仲間を増やすことに努める。
7 環境の改善
サッカーの環境をより良いものとするために努力する。
8 責任ある行動
社会の一員として、責任ある態度と行動をとる。
9 健全な経済感覚
あらゆる面で健全な経済感覚のもとに行動する。
10 社会悪との戦い
薬物の乱用・差別などのスポーツの健全な発展を脅かす社会悪に対し、断固として戦う。
11 感謝と喜び
常に感謝と喜びの気持ちをもってサッカーに関わる。
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