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ボールパーソンに伝える“ありがとう”の気持ち ~いつも心にリスペクトVol.4~
2013年09月03日
「試合は、相手チームや審判員がいて初めて成り立つもので、僕は常に彼らをリスペクトしている。試合に携わってくれる人、例えばボールパーソンも試合をつくってくれる仲間の一員。だから彼らにもいつも感謝している」
そう話すのは、Fリーグ、ペスカドーラ町田の守護神イゴール選手だ。イゴール選手は試合中にボールを供給してくれるボールパーソンに必ず“ありがとう”と日本語で声を掛けている。その理由を尋ねると、「ブラジルでは代表の国際親善試合のような試合でしかボールパーソンはつかない。だから2009年に初めてFリーグでプレーした時、僕らにボールを渡してくれるボールパーソンがいることを本当にありがたく感じ、“ありがとう”という言葉が自然に出てきた」。“ありがとう”は来日前に覚えた日本語の一つだそうだ。
町田の関野淳太監督は「ゴールキーパーはボールがタッチラインを出ると、次のプレーを考えながらボールを取りに行く。特にイゴールはその時の機敏な動きが特長なので、あんなわずかな時間でもボールパーソンに気を配っているとは驚いた。今まで彼のような選手を見たことがない」と話す。
もっともイゴール選手も余裕がないときもある。また、せっかく動いてくれたボールパーソンよりも先にボールを取ってしまうこともある。そのような場合は、後でボールパーソンに“ありがとう”と声を掛けるようにしている。すると、ボールパーソンは笑顔を返してくれるそうだ。
「ボールパーソンは、日ごろサッカーやフットサルをしている子どもたちが担当することが多い。間近で一流のプレーを見て、しかも選手に直接声を掛けてもらえたらうれしいはず」と関野監督は話す。イゴール選手に声を掛けられた子どもたちは、あこがれの選手の相手を思いやる姿を見て、リスペクトとは何かをきっと感じ取るはずだ。
リスペクトは自分の鏡
イゴール選手は、「リスペクトは自分の鏡。相手をリスペクトすれば、必ず自分にも返ってくる」と話す。
「例えば、試合中に対戦チームの選手や審判員に対して自分がリスペクトしている姿勢を見せれば、相手も必ずリスペクトしてくれる。逆にこちらが敬意を表さないで、相手だけにリスペクトを求めることはない。互いにリスペクトをすることが重要であり、自然な姿なのだ」と。
日本でプレーして5年目、イゴール選手は、Fリーグでリスペクトの精神を感じる場面をよく見かけると言う。試合中に相手選手と接触した時、「ごめん。わざとじゃなかった」ととっさの一言が出るのは日本人選手ならではらしい。また、イゴール選手が倒れた時に審判員が「大丈夫?もう少し時間を取ろうか?」と配慮してくれたこともあるそうだ。
「コートの中でも外でも紳士でありたい。普段の生活の中でも相手をリスペクトすることを常に心がけている」というイゴール選手。お店やレストランなどの店員に対しても常に“ありがとう”という気持ちを持って接している。
「リスペクトの精神を持って人と接していれば、互いにリスペクトし合える仲間が増えてくる」とイゴール選手は言う。彼の“ありがとう”の言葉は、周りの人々を笑顔にし、そこからリスペクトの輪が広がっているのだろう。
プロフィール
イゴール
所属:ペスカドーラ町田
1980年7月7日生まれ。ブラジル出身。ブラジルのサンパウロFC、サンカエターノでプレー後、2009-10シーズンからシュライカー大阪に所属。同シーズン、Fリーグ最優秀選手賞を獲得した。今シーズンからペスカドーラ町田に移籍し、GKとしてチームを後方から支える。
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