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【j-futsal連動企画】Fリーグを子どもたちの誇りに――。元フットサル日本代表選手が仕掛ける「T-DREAM」の野望
2018年11月28日
フットサルは、いつでも、どこでも、だれでも、さまざまな形で楽しむことのできるスポーツです。JFAエンジョイフットサル総合サイト「j-futsal」では、フットサルに関するさまざまな情報を発信しています。
今回は、元フットサル日本代表村上哲哉さんと佐藤亮さんが立ち上げたプロジェクト「T-DREAM」について紹介します。
T-DREAMは、かつてFリーグのシュライカー大阪で活躍し、フットサル日本代表に上り詰めた村上哲哉さんと佐藤亮さんの二人が、まだ現役だった2015年7月に立ち上げたフットサルの振興を目的にしたプロジェクトです。
現役のプロ・フットサルプレーヤーならではの経験を活かし、フットサルの普及活動はもとより、フットサルをツールとした地域活性化、そして次世代を担う子どもたちの育成に重きを置いてきました。スタートしてから3年が経過した今、二人は現役を退きましたが、セカンドキャリアの一つとして、T-DREAMは続いています。
今回、村上哲哉さんがj-futsalの取材に応じてくれました。
村上さんは、2008年にシュライカー大阪でプロフットサル選手としてのキャリアを歩み始めると、2009年から13年まで日本代表に選出され、「2012 FIFAフットサルワールドカップ」のピッチにも立っています。2016/17年のシーズンをもって8年間に渡るプロ生活にピリオドを打つと、2017年4月にFリーグのディビジョン2に所属する広島エフ・ドゥの監督に就任。現在は監督業の傍ら、T-DREAMでフットサルの魅力を発信しています。
第一線で活躍したプレーヤーの経験を子どもたちに直接伝えたい
「僕は山口県宇部市の出身なのですが、大学の時に広島エフ・ドゥに所属していた縁と、Fリーグのチームが広島にはないこと、そして広島県内ではフットサル自体がまだまだ発展途上だったこともあり、現役を引退した2017年4月に広島でフットサルスクールを立ち上げました。『子どもたちにフットサルの魅力を伝えるためには、どうしたらいいのか?』と考えたときに、自分が実際に現場に立って、子どもたちとボールを蹴りながら、関わりを持つことが一番だと思ったからです。」(村上哲哉さん)
現在、T-DREAMのフットサルスクールを広島県、福岡県、山口県で開校し、幼稚園の年中から中学生のU-15年代までの子どもたちを対象としています。T-DREAMでは子どもたちにフットサルの技術を指導するのはもちろんですが、一番大切にしているのは「技術の指導ではない」と村上さんは言います。
「一番大事にしているのは『コミュニケーション能力=自己表現力』です。僕のプロフットサル生活は決して順風満帆ではありませんでした。ケガでボールが蹴ることのできない辛い時期もありました。大きな挫折をした事もあります。それでも、僕はプロとして9年間も続けることができました。何よりも周りの人たちの支えがあったからです。その人たちへの感謝の気持ちを忘れてはいけません。そして何よりも大切なのが、自己表現力です。自分の思っている事を仲間に伝える、要求する。これはとても大切で、将来プロを目指すためには、必要不可欠な能力です。僕はプレーヤーとして、足元の技術が高い選手ではありませんでした。どちらかというと、気持ちを表に出し、仲間のために身体をはり、声を出してチーム内の盛り上げ役を担っていました。日本代表として世界で戦い、自己表現できなければ上手くても生き残れないでしょう。今、ピッチを離れてからはセカンドキャリアとして、スクールやチームの営業活動もしていますが、その現場でも自分の考えを人に伝える力を持っていることがすごく大事だと感じます。」(村上哲哉さん)
また、村上さんは、ゴールデンエイジやジュニアユースの子どもたちには成功体験が必要だと考えています。「ちょっとしたプレーの成功体験が日常生活の自信にもつながります。『フットサルもがんばって上手くいったのだから、勉強だって、がんばれば出来るようになるだろう』というような連鎖は必ずあると思います」フットサルの技術の向上と同時に心も成長できるように願いながら、日々、子どもたちと向き合っているのです。
さらに、T-DREAMでは、フットサルスクールを開催すること以外にも、地域で開催されるイベントで、チャリティーフットサル教室や、親子のスポーツリズム教室を開催するなど、アスリートのノウハウを活かし、スポーツを通した地域貢献活動に積極的に参加してきました。
「例えば、その一つとして、年末になると蹴り納め大会をやっています。僕の地元でもある山口県のような地方では、みんな学校を卒業すると地元を離れて都会に出てしまいますが、年末になると里帰りしてくるので、彼らの集まれる場所としての、同窓会のようなフットサルイベントですね。」(村上哲哉さん)
「蹴り納め大会」も今年で4年目になります。これまで、たくさんの人に参加してもらいました。「高校を卒業してから15年ぶりに友達に再会できました!」といった話を聞くと、スポーツやフットサルのイベントの可能性や魅力を改めて感じると村上さんは言います。
Fリーグを子どもたちにとって誇れるリーグにしたい!
そんな村上さんの率いる広島エフ・ドゥですが、Fリーグディビジョン2 第10節を終えて6位の成績です。(11月16日時点)
「一巡目を終えるまでは、なかなか勝ち点を奪うことができず、厳しいチーム状況でしたが、ここに来てチーム内に戦術も浸透してきました。これまでは内容の良い試合展開をしていても、最後に失点してしまうこともありました。やはり経験値が大切で、これから二巡目は良い試合をすることができると思います」
その言葉の通り、リーグ後半の初戦となった第8節には、首位を走るボアルース長野をホームに迎え、3-2と白星の好スタート。続くボルクバレット北九州戦は敗れましたが、第10節はデウソン神戸に対して7得点を挙げて快勝しました。
村上さんは、現役フットサルプレーヤーを終えてから、これまでの1年半を、広島エフ・ドゥの監督とT-DREAMを中心に精力的に活動をこなしてきました。忙しさに追われる中でも「熱意を伝えることができれば、応援してくれる人がいる」と手ごたえをつかんでいます。
「僕はFリーグで育ててもらって、フットサル日本代表になって、ワールドカップの経験もさせてもらいました。それが僕の人生の中では大きな財産となっています。依然、日本のフットサル界(Fリーグ)はまだまだ発展途上ですが、自分たちの誇れるリーグとしてFリーグがなければ、子どもたちに夢を伝えることはできません。引退した僕たちが身を削ってでも携わっていくことが大事なのだと思っています」
Fリーグを子どもたちにとって誇れるフットサルリーグにするため、佐藤亮さんと二人でT-DREAMの夢は続きます。
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