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S級コーチ養成講習会2023 Module2・集中講習⑤ 参加者レポート Vol.6
2023年07月13日
Module2の最終週となった本週では、UEFA TECHNICAL EXPERTのDany Ryser氏をお招きし、講義を実施しました。Dany氏は2009年に開催されたFIFA U-17ワールドカップにおいてスイス代表を見事優勝に導いた名将。2009年当時の話や監督としての意思決定の重要性など、様々な視点から話を聞くことができました。
Module2・集中講習⑤
期間:6月26日(月)~6月29日(木)
6月26日(月) | 午後 | 「プロフェッショナルコーチング論」 浮嶋敏 「プロフェッショナルコーチング論」 奥野僚右 |
---|---|---|
6月27日(火) | 午前 | 指導実践 |
午後 | 「Being a high performance coach」 Dany Ryser 「Leadership Decision making」 Dany Ryser |
|
6月28日(水) | 午前 | 指導実践 |
午後 | 「Decision making and problem solving」 Dany Ryser 「High performance environment」 Dany Ryser |
|
6月29日(木) | 午前 | 指導実践 「Individual player development」 Dany Ryser |
サポートプレーヤー派遣ご協力
拓殖大学、東洋大学
参加者コメント
佐藤由紀彦 さん(FC東京)
Module2がJFA夢フィールドにて行われました。毎回濃厚な時間を過ごして行く中で、参加者それぞれの強み、そして自分の弱みを補うスタッフワークに喜びと充実を感じております。
さて、今回のModuleで私が最も印象に残った講義はUEFAテクニカルエキスパート、ダニー・ライザー氏によるリーダーシップ論です。
「選手の性格と指導者」では好印象を与えるか、力を与えるかという4つのリーダシップスタイルがあり、
S1.指示性が高く支援性が低い行動(教示的)
S2.指示性も支援性も高い行動(説得的)
S3.支援性が高く指示性が低い行動(参加的)
S4.支援性も指示性も低い行動(委任的)
というそれぞれ異なる4つのスタイルを、Y世代と呼ばれる現代の選手達に対して、どう率いれば良いのか、という課題をグループそれぞれで意見を出し合い、まとめ、発表しました。総合的にダニー氏にまとめていただく形式を取り、様々な観点から多種多彩なディスカッションが積極的に行われました。
以下はそれらをまとめた意見です。
・状況に応じたリーダーシップ
・信頼を築く
・適切な質問をする(答えを先に出さない)
・役割と責任を委任する
・他者が自身で問題を解決出来るようする
・自己啓発がもたらす可能性を利用する
この講義を踏まえた上で自分自身の理想のリーダーシップを考えると、コーチからの指示を抑えつつ、選手への支援を行う事で選手達の主体的な行動を引き出す事が重要であると感じました。例えば、ピッチ上で問題が起こった時も、こちらから解決策を提示するだけではなく、選手同士で問題を解決出来るようリーダーとなる選手へ問題解決を委ねて、それを支援するスタイルを取れると、大事な試合に勝てるチームを作れるのではないかと考えます。
残りのModuleを通して、私もそのようなハイパフォーマンスコーチになれるよう努力したいと思います。
最後に、お忙しい中、わざわざ日本まで来て下さり、我々参加者に有意義なアドバイスを下さったダニー・ライザー氏に改めて感謝申し上げます。
島田裕介 さん(大宮アルディージャU-15)
S級ライセンス講習会はModule2・集中講習⑤に入りました。
今週はUEFAよりDany Ryser氏(FIFA U-17 World Cup 2009 スイスU-17優勝監督)をお招きし、とても学びの多い濃密な時間となりました。
午前は指導実践です。
連日気温が非常に高くハードなコンディションの中で行われましたが、サポートプレーヤーとして参加してくれた拓殖大学、東洋大学の選手の皆さんの協力のおかげで、活気ある質の高いトレーニングができたと思います。ありがとうございました。
トレーニング前には必ず映像を使ったミーティングを行いました。試合を分析して抽出した課題や改善ポイント、チームの狙いなどを伝えてからトレーニングを行うことで、選手との共通理解がより深まり、スムーズさが増すことを実感しました。映像の使い方や構成、言葉の選び方や強弱、間、共通言語の活用。それぞれのミーティングに様々な工夫があり、私自身とても勉強になり今後に生かしていきたいと思いました。
また、トレーニングまでの事前準備や連日の打ち合わせは、新たな気づきやアイデアが生まれ、監督・コーチ間の信頼関係が深まり安心感に繋がるということを改めて感じ、実践後のフィードバック含め大変有意義な時間となりました。
午後は講義の時間です。
1日目の『プロフェッショナルコーチング論』では、浮嶋敏さんから「チームをマネジメントすること」の大切さを学びました。チーム構成(コーチ、スタッフの人数、それぞれの役割)を考え、試合当日のタイムスケジュールやスタッフの役割などをそれぞれグループで話し合い発表しました。
奥野僚右さんからは、アクシデントに対するマネジメントとして、実際にチームを率いた際にどんな問題が起こりうるかを考えました。監督として、不意な出来事への準備と予測、チームルールの基準作りが大切で、「良い決断の連続」がマネジメントに繋がるということを学びました。
そして2日目からはDany Ryser氏から5つのテーマをもとに3日間にわたって講義をしていただきました。
『ハイパフォーマンスコーチになるには』では、監督には「試合に勝つ・選手を育成する・成功を生み出す」という使命があるというお話しから、そのために監督として必要な資質は何かを考えました。4つの領域(知識・スキル・経験・個人の資質)で能力を発揮することがプロフェッショナルコーチの力量であり、そのためにはしっかりと自己認識して「自分を知ること」が大切だと感じました。
『リーダーシップ』では、ビハインド・ザ・カーテン(物事の裏側を見る)と題して、「FIFA U-17 World Cup 2009 スイスvs日本」の話をしていただきました。前半20分で早くも日本に2点をリードされる状況となったスイス。そこでMFの中心選手を早々と交代し、戦術を大幅に変更してそこから逆転(4−3でスイスが勝利)まで持っていったというお話がとても印象的で、ここでのDany氏の「リーダーとしての決断力」には本当に驚かされました。また、リーダーシップには指示性や支援性の高さによって「教示的・説得的・参加的・委任的」という4つのスタイルがあり、他者を率いるためにはまず「自分自身を知ること」が大切であり、状況によって柔軟に変化させることが必要だということを学びました。
『意思決定と問題解決』では、マネジメントが難しいとされるY世代の選手たちをどのように率いればよいかをグループで考え発表しました。状況に応じたリーダーシップ(柔軟性)、役割と責任を委任すること。たくさんの意見が出た中で、Dany氏の「若い選手にミスを許し、助けてあげることが成長に繋がる」「自分の失敗やミスから多く学ぶことが大切」という言葉が印象に残りました。それが選手の主体性を引き出し、選手との信頼関係を生み、指導者としての成長に繋がるのだと思いました。
『ハイパフォーマンス環境』では、チームの目標に向かって、互いに「多様性」を認め、コーチングチームとして「信頼関係を構築すること」が大切だと改めて感じました。また、コーチングチームを構築する際の課題や、ファンやメディア、スポンサーなど外部環境への対応などを考えました。
『個の選手の育成』では、選手のプロファイルを作成し、IDPなどを用いて選手各々の「パフォーマンスを診断すること」が大切で、個別に映像を見せるなど個人への働きがけや個々の選手の育成の大切さについて学ぶことができました。
3日間のDany氏の講義を通して感じたことがあります。
それは私たちに常に「考えさせる」ということ。問いかけに対してグループで話し合うディスカッションの時間をより多く取っていたことが印象的で、プレゼンテーションでは、時間という「基準」は設けながらも方法は全てこちらに委ねていました。そして発表に対してのフィードバックが常にポジティブで、それにより参加者たちのプレゼンの質がどんどん高まっていったように感じました。
基準を設けながら「考えさせること」、「選択肢に幅を持たせること」はとても大切なことだと改めて感じ、今後の自分自身に生かしていきたいと思いました。
Danyさん、通訳をしてくださった伊藤瑞希さん、大変貴重な時間を本当にありがとうございました!
次回module3は9月になります。
改めてS級ライセンス講習会というこの素晴らしい学びの時間と出会いに感謝して、これからも1日1日を大切に過ごしていきたいと思います。
S級コーチ養成講習会は、スポーツ振興くじ助成金を受けて実施しています。
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