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アジアのピッチから ~JFA公認海外派遣指導者通信~ 第59回 江口なおみ タイ女子代表・U-20女子代表フィットネスコーチ
2021年10月29日
フィジカルコーチという新たな試み
2021年4月よりタイ女子代表での活動を開始された岡本三代監督と轟奈都子GKコーチから遅れること4ヶ月、7月にタイ入りしてから2週間の隔離期間を経て、8月初旬にようやく代表合宿に合流できました。私は、普段の活動場所が日本ではなくカナダであること、サッカー指導者としての派遣ではなくフィジカルコーチ(タイでの肩書きはフィットネスコーチ)であることなど、JFA指導者の海外派遣事業としては初の試みが多く含まれるケースだと思います。
代表合宿に合流してからは、まず自分の居処を探して確立するところからのスタートでした。タイ女子代表にはもう1人、タイ人のフィットネスコーチがいます。私はタイ語が話せず、英語はほとんどの選手に通じないため、日々のアップやクールダウンなどチーム全体でやることは彼に従来どおりやってもらっています。一方、私はまず気になるところをピックアップして彼と相談し、アップやフィジカルメニューの内容を変えたり、怪我で離脱した選手の競技復帰を担当しました。言葉を使っての細かいコミュニケーションはなかなか難しいですが、できるだけメディカルルームにも頻繁に出入りして選手の状態を把握するようにし、現在はメディカルとフィールドの架け橋として機能できていると思います。今回の私の任務はタイ女子フル代表とU-20代表のフィットネスコーチの兼任ですが、U-20に関しては、AFC U20女子アジアカップ2022予選が中止になってしまったため、それと併せて予定されていた合宿なども中止になり、11月の短期合宿実施がようやく決定したばかりです。
長期合宿という選択とパレスチナ遠征
新型コロナウイルスの影響でタイ全土においてスポーツの実施に制限がかけられた影響で、現在も男子のプロチーム以外はクラブチームでの活動が行えない状況が長く続いています。そのため、女子選手は代表の活動がない限りサッカーができないという状況を踏まえ、フル代表はAFC女子アジアカップインド2022予選に向けて長期合宿を実施しました。元々、タイの代表活動において長期合宿は珍しいことではないとのことですが、今回の長期合宿はコロナ禍のため、感染のリスクを最小限に抑えるために選手・スタッフ共に外出を制限するといった厳しいものでした。自由がない中での共同生活は何かとストレスが溜まるものですが、皆それぞれ工夫をしてなんとか乗り切ることができました。夏の長期合宿の最後は、AFC女子アジアカップ2022予選のためパレスチナに向かいました。期間中の活動はAFCの厳重な感染対策の下、チームバブルを徹底し、ホテルから一歩も出られないという厳しいものでした。結果は、選手たちの頑張りもあり無事1位通過となりましたが、移動や帰国してからの隔離含め、コロナ禍で海外遠征をする大変さを思い知らされました。11月よりまた長期合宿がスタートしますが、今度は1月中旬より開催されるAFC女子アジアカップインド2022本大会に向けての強化を予定しています。
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