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メディカルインフォメーション

はじめに

昨今、インターネットの普及により、様々な情報を容易に獲得できる時代となり、その情報は⼤⼈だけではなく育成年代の選手も、スマートフォンやパソコンなどを通して簡単に調べることが出来るようになりました。情報を得ることが当たり前になった今、その情報が正確なものなのかどうかを見極めることが⾮常に重要であると考えています。
これらを踏まえてJFAでは2017年11月に栄養サポート部会を発足させ、JFAとして統一的な栄養に関するガイドラインを作成し、各年代の栄養サポートを中心に活動していくこととなりました。
食事に関して、育成年代では栄養学的なことよりも、まずは生活の基本となる三食を中心に、品目を多く、好き嫌いなく、良い姿勢で、よく噛んで、楽しくゆっくりと食べることが重要です。そして、マナーよく食べることは非常に合理的で日本らしいと思います。
コンディショニングの基礎となるのは、選手の生活習慣(ライフスタイル)です。コンディションを整えるためには保護者や指導者がピッチ上だけでなく、子どもたちのライフスタイル全体を見ることが重要になります。
是非、JFAの栄養ガイドラインを参考にして頂き、選手の成長やコンディション維持にお役に立てれば幸いです。

JFA医学委員会 栄養サポート部会 部会長 前田 弘


1.栄養と食事の大切さ
①吉田麻也選手が語る栄養と食事の大切さ

吉田麻也選手

皆さんこんにちは。吉田麻也です。
私は中学1年生から名古屋グランパスエイトの育成組織に入団し、本格的にプロサッカー選手を目指し始めました。そこでは様々なトレーニングに打ち込みましたが、それと同時に管理栄養士の先生から食事指導の講義を受ける時間がありました。そこで食事や栄養の大切さ教えてもらい、初めてその重要性を感じました。また、当時の私は急激に身長が伸び始め、膝や腰に痛みが出るようになった時期でもありました。そういった自分のからだの変化もあり、自分自身のコンディションをきちんとコントロールしようと考えるようになりました。
特に感謝していることは、管理栄養士の先生が、ただ栄養素の知識を講義してくれるだけでなく、なぜその食品を摂取した方がいいのか、なぜ控えた方がいいのかという理由を教えてくれたことです。そのおかげで、自分自身で栄養や食事に対する考え方を組み立てられるようになりました。
サッカーの上達には、トレーニングだけでなく食事や睡眠・休養を取ることが同じくらい重要です。自分のからだと向き合い、自分にとってのコンディショニング方法を考えてみることはとても重要です。
サッカーは日常の習慣や生活がプレーに反映されます。自分の決めたことを毎日きちんと続けること。貫き通すこと。それが試合中のプレーでも妥協しないことや最後まで諦めないことに繋がっていくと思います。
本当に苦しい時に最後まで戦い抜ける選手になるためにも、トレーニング以外の時間も自分を律し、サッカーに取り組んで欲しいと思います。


2.戦うためのからだづくり
①体力を向上させるためには

サッカーは体力面の要求度が非常に高いスポーツです。サッカーのパフォーマンスを決定する要素は【図1】のようにとらえることができ、体力面は大きく四つの要素からなっています。

戦うための身体づくり

①持久的パフォーマンス(=持久的能力)
持久的能力は一試合を走りきるために必要となるだけでなく、回復能力の最適化、けがリスクの最小化、心理的負荷許容量の増加、技術的失敗の減少などにも貢献すると考えられています。

②高強度運動パフォーマンス(=高強度運動能力)
試合中のコンディションをより反映する、サッカーには特に重要な要素であり、スプリントなどの高強度運動を短い回復時間で長時間にわたり繰り返すことができる能力と考えられています。

③スピードパフォーマンス(=スピード能力)
サッカーにおけるスピード、特に20mまでの短い距離のパフォーマンスは、試合における決定的な場面(得点場面など)で必要とされる体力要素です。試合中に発揮されるスピード能力には、認知スピードから始まり、予測スピード、決定スピード、反応スピード、運動スピード、行動スピードと移行して関与します。

④筋発揮パフォーマンス(=パワー能力)
爆発的な筋発揮パフォーマンスは、ゴール前やゴールキック後の空中での競り合いの場面などで要求される能力です。また、障害予防の観点から、主に下肢筋群の左右や前後での筋力バランスの均衡が求められています。

サッカー選手には、これらの要素が複合的に必要とされ、一般的にオールラウンドに高いフィットネスレベルが要求されます。
育成年代は成長段階によって、より向上する体力要素に違いがあります。しかし発育発達には個人差が大きいため、暦年齢で必要なトレーニング内容を分けるのがとても難しいのが実状です。
実際の育成年代のトレーニングは生物学的年齢ではなく暦年齢(学年ごとに)で行われているのですが、より生物学的年齢を考慮しながら行うには、定期的な身長測定を実施して個別の成長段階を把握することが推奨されています。
一般的には小学生時代には、走る、投げる、跳ぶ、蹴るなど「運動の基本的な動作」を色々な「遊び」や「スポーツ」を通じて体験すること。身長が大きく伸び始める時期(おおよそ小学校高学年〜中学生年代)には、持久的能力を柱としたトレーニングを行い、身長の伸びがピークとなる時期(おおよそ中学生年代後半〜高校生年代前半)には、持久能力を柱に少しずつパワートレーニングの準備を始め、身長の伸びが少なくなる時期(おおよそ高校生年代後半以降)には積極的にパワートレーニングを行うべきです。
育成年代では、長期的視野で上記の四つの要素を含んだトレーニングを、計画的複合的に実施することが望まれます。


②日々の体調管理がトレーニングの質を上げる

サッカー選手への第一歩は<体調管理>です。

サッカー選手になるためには、限られた練習時間のなかで効率のよいトレーニングを行うことが重要です。このためには身体的にも精神的にも可能な限り良いコンディションで臨み、全力でトレーニングに向き合うことが重要です。自分に最適な体調管理を選手自身が常に求める習慣を持つことが重要であると考えています。【図1】

戦うための身体づくり

体調管理に必要なこと
体調管理に必要な要因としては、睡眠、食事、疲労回復です。疲労回復には身体的なものと精神的なものがあり、これらの疲労を回復するための方法は世界中で探求されています。この疲労回復の基本は、睡眠と食事です。今回は、この体調管理の基本として重要である睡眠と食事に関して述べます。【図2】

なぜ睡眠は重要なのか?
言うまでもありませんが、疲労回復に睡眠はとても重要です。人間には日内リズムがあり、人の細胞は、いつが夜でいつが昼間であるか認識しています。全身の細胞は夜になると成長したり、傷ついている部位を修復したりします。しかし、夜更かしをして、夜中まで光を浴びていると、目を通じて脳が光を感知して、からだがいつ夜であるのか分からなくなってしまい、この日内リズムの破綻が生じてしまいます。それにより、からだの修復が遅くなったり、疲労が取れなかったりする可能性がでてくるのです。この日内リズムをしっかり保つためには、まずは早寝(可能ならば夜9-10時までには寝ていることが望ましい)早起きすることを心がけましょう。【図2】

リズムからみた食事の重要性(栄養と食事は後述)
日内リズムをしっかり保つために、朝ごはんをしっかり食べることが重要であると言われています。早起きして、朝ごはんを食べることにより日内リズムが安定化して、集中力が高まるという報告があります。精神的な疲労は集中力の向上で解決できる可能性があることを考えると、朝ごはんをしっかり食べることは、精神的な疲労の予防や集中してトレーニングを行うことより、同じトレーニングを行っていても、競技力が他の人より向上することを見込めるかもしれません。【図2】

戦うための身体づくり

まとめ
自分にとって最適な生活習慣を探し、身につけることは素晴らしいことです。これを是非活用して、適切な体調管理を行い、素晴らしいトレーニング準備を行ってください。


③成長段階にあった食事の摂り方

サッカーは、持久的運動能力、高強度運動能力、スピード運動能力、筋パワー運動能力が必要となるため、そのためのからだづくりが必要です。

健全な成長が大切
サッカー選手としての戦うためのからだづくりには、からだの土台を築く時期である幼少のころから成人に至るまでに健全な成長を促し、健康的なからだをつくることが大切です。小学生から高校生の時期は身長と体重の増加が大きく【図1】、またからだの臓器や器官の発育も大きい時期【図2】です。からだが成長する時期に、正しい生活習慣と十分な睡眠、そして十分なエネルギーと栄養素のとれる食習慣を身につけることが、サッカーに必要な運動能力を獲得するために必要です。からだは食べ物からできています。毎日の食事が戦うためのからだをつくるために重要な役割を果たしています。

戦うための身体づくり
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戦うための身体づくり

学童期の食事
学童期では自ら食べることに興味・関心をもち、食事が将来のからだをつくることを意識することです。その支えとなり主に食事を整えてくれるのは、保護者が中心になります。保護者の正しい知識と行動が選手のからだづくりに影響する時期でもあります。

思春期・成長期の食事
思春期・成長期は自立の時期です。選手自らが正しい食事の選択ができるようになることが必要です。そのためには選手自身が正しい知識をもち、実践できる力を身に付けることが必要です。

成人期の食事
成人期では全てにおいて自己管理が必要となりますが、戦うためのからだづくりのために自身にとって何が必要か、何をすべきか、その前提に何が問題で何が課題なのかを明確にすることが必要となります。自己判断は必ずしも良い方向に進まない場合もあるため、成人期での戦うためのからだづくりのためには、各分野の専門家に相談することも重要です。

■参考文献
1)小林正子.スキャモンの発育曲線と子どもの発育.子どもと発育発達,12(4),259,2015(一部改変)


④相対的エネルギー不足に注意を!

スポーツにおける相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport , RED-S)

国際オリンピック委員会(IOC)はアスリートの健康を守るため、科学的根拠に基づいた合意文章(consensus statement)発表しています。
その一つに“スポーツにおける相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport , RED-S)”という概念があります。相対的エネルギー不足とは、健康、日常生活、成長および運動活動に必要なエネルギー消費が日常の食事によるエネルギー摂取を上回った為に生じるエネルギーが足りなくなった状態のことを言います。このエネルギー不足は免疫、月経機能、骨の健康、内分泌系、代謝系、血液、成長発達、メンタル、心血管系および消化器系に影響し【図1】、慢性的になると健康とパフォーマンスにまで影響を及ぼすとしています【図2】。

この中で相対的エネルギー不足(利用可能なエネルギー不足、以降エネルギー不足)によって視床下部性無月経と骨粗鬆症が生じた状態を女性アスリートの三主徴【図3】と呼んでいます。

戦うための身体づくり

このエネルギー不足は女性アスリートにおいて月経周期異常や無月経を生じさせるため、月経を通じて男性アスリートより気づかれやすく問題視されていますが、当然男性アスリートにも起こりうる健康被害ですので注意が必要となります【図4】。

戦うための身体づくり

女性アスリートの三主徴において無月経による低エストロゲン(女性ホルモンの一つ)血症はさらに骨粗鬆症を引き起こし、疲労骨折の原因の一つともなり得ます。
このようにエネルギー不足は競技パフォーマンスを低下させ、最終的に競技からの離脱という最悪の問題に発展する可能性をはらんでいるのです。

■参考文献

  • 1) De Souza MJ, Nattiv A, Joy E, et al. et al. 2014 Female Athlete Triad Coalition Consensus Statement on Treatment and Return to Play of the Female Athlete Triad: 1st International Conference held in San Francisco, California, May 2012 and 2nd International Conference held in Indianapolis, Indiana, May 2013 Br J Sports Med 2014;48:289
  • 2) Mountjoy M., Sundgot-Borgen J., Burke L., et al The IOC consensus statement: beyond the Female Athlete Triad—Relative Energy Deficiency in Sport (RED-S). Br J Sports Med 48: 491-497 2014


3.食事の重要性と水分補給
①サッカー選手にとっての食事の重要性

サッカー選手にとっての食事の重要性は、①からだづくり、②体調管理、③障害予防が挙げられます。 からだづくりのためには、十分なエネルギーと栄養素の補給を考え、毎日の体重測定により、練習や試合で消費したエネルギーを補充できているのか確認することです。また、体重管理だけではなく、体調管理として日々の疲労度や食欲などの自分自身の体調面を振りかえり、十分な栄養素の補給に努めることで、障害予防にもつながります。

サッカー選手にとっての食事の重要性


②戦うからだをつくるための基本の食事

大切な食習慣とは
高い競技力を保持するからだには、筋・脳・内臓に十分なエネルギー源を蓄えていること(エネルギー)、そのポジションに見合った筋肉や骨格を作ること(からだづくり)、トレーニング後や試合前の体調を整えること(コンディショニング)、障害の予防及び改善に取り組むことが不可欠になります。そのためには、食事からエネルギー及び栄養素を過不足なく摂取することが重要です。
(1)欠食をしない
(2)食品摂取の偏りをなくす・好き嫌いをしない
(3)アスリートの「基本的な食事の形」【図1】をそろえる
(4)トレーニングに合わせた水分・食品を摂取する
の4つの食習慣が基本になります。

戦うからだをつくるための基本の食事

①主食(体を動かすエネルギー源)主に炭水化物:ご飯・パン・麺・もち
②主菜(筋肉、骨、血液など人の体を作る)主にたんぱく質:肉類・魚介類・卵・大豆製品
③副菜(体調を整えたり、骨や血液の材料となる)主にビタミン、ミネラル:野菜・芋・海藻・きのこ
④牛乳・乳製品(骨をつくるのに欠かせない)主にカルシウム、たんぱく質:牛乳・ヨーグルト・チーズ
⑤果物(疲労回復、コンディショニングに役立つ)ビタミンC、炭水化物

エネルギー収支バランスの確認
相対的エネルギー不足に注意を!で述べているように、日常での身体活動や成長に加え、激しいトレーニングによりエネルギー消費量が増えるため、消費量に見合ったエネルギー量を食事から摂取し、「相対的エネルギー不足」にならないことが重要です。エネルギーの消費量と摂取量が見合っているかは「体重の変化」でわかります。毎日体重を測定し、エネルギーの収支バランスを確認しましょう【図2】。

戦うからだをつくるための基本の食事

基本の食事をそろえましょう
「エネルギー」となるのは炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質であり、「からだづくり」にはたんぱく質が最も重要となり、ミネラルはその補助をしています。脂質は、細胞膜や体脂肪組織を形成します。「コンディショニング」は生体内の化学反応を円滑に行う、スポーツ障害を予防するという点からビタミン・ミネラルに代表されます。表1に日本人の食事摂取基準(2015年版)に示されている摂取目標量を示します。必要なエネルギーと栄養素をバランスよくとるために、「主な栄養素のはたらきと多く含まれる食品【表2】」を把握しましょう。実際に日常的な食事においては、毎食アスリートの「基本的な食事の形」【図1】をそろえることが理想的です。

【表1 1日の目標栄養摂取量(18歳以上)】
男子女子
エネルギー(kcal)3,0502,200
炭水化物エネルギー比率(%)50〜6550〜65
たんぱく質(g)6050
脂質エネルギー比率(%)20〜3020〜30
カルシウム(mg)850650
鉄(mg)76.0〜10.5
ビタミンA(μgRAE)850650
ビタミンB1(mg)1.41.1
ビタミンB2(mg)1.61.2
ビタミンC(mg)100100
ビタミンD(μg)5.55.5
ビタミンK(μg)150150

【表2 主な栄養素のはたらきと多く含まれる食品】
栄養素主なはたらき多く含まれる食品
炭水化物(糖質)体を動かすエネルギー源
脳の唯一のエネルギー源。
ご飯、パン、麺類、餅、芋類、バナナなど
たんぱく質筋肉、骨、血液などの材料となる。肉、魚介、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品など
脂質細胞膜やホルモンの生成に必要。
エネルギー源。
脂溶性ビタミンの吸収を助ける。
油、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、 肉の脂身など
ミネラルカルシウム骨や歯の形成、筋肉の収縮などに必要。牛乳・乳製品、小魚、大豆・大豆製品、ひじき、青菜など
赤血球の成分として、酸素や栄養素の運搬にかかわる。牛肉(赤身)、レバー、かつお、あさり、大豆・大豆製品、青菜など
ビタミンビタミンA皮膚と粘膜を健康に保つ。
明暗に順応する視力にかかわる。
レバー、うなぎ、卵、牛乳・乳製品、緑黄色野菜など
ビタミンB1炭水化物からのエネルギー産生に必要。豚肉、ハム、うなぎ、大豆・大豆製品、玄米、胚芽精米、緑黄色野菜など
ビタミンB2炭水化物・たんぱく質・脂質の代謝に必要。うなぎ、レバー、ぶり、さば、卵、納豆、牛乳・乳製品、緑黄色野菜など
ビタミンC抗ストレス作用、抗酸化作用、鉄の吸収促進、コラーゲンの生成に必要。かんきつ類、キウイ、いちご、柿、緑黄色野菜、淡色野菜、芋類など
ビタミンDカルシウムの吸収を高め、骨や歯の形成に働く。まいわし、さけ、うなぎ、さんま、まがれい、きくらげ(乾)、干ししいたけなど
ビタミンK血液の凝固に働く、骨の形成を助ける納豆、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、豆苗、鶏もも肉(皮つき)、カットわかめ(乾)など

1日に何をどれだけ食べたらよいか
1日にどのような食品をどれだけ食べたらよいのか、食品と量の例を【図3】に示します。
2,000kcalと3,500kcalの例を示しました。

戦うからだをつくるための基本の食事

■参考文献

  • 1)国立スポーツ科学センター ウイナーズレシピ
  • 2)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会報告書
    日本人の食事摂取基準(2015年版)第一出版,2014.
  • 3)(財)日本体育協会スポーツ医・科学専門委員会監修
    アスリートのための栄養・食事ガイド.P94.第一出版,2008.
    一部改変:国立スポーツ科学センター アスリートの食事ベーシックテキスト


③補食でエネルギー、栄養を効果的に補う

補食とは
補食とは朝・昼・夕の3食で足りないエネルギーや栄養素を補給することです。また、練習前に空腹の場合、練習後から夕食までに時間が空いてしまう場合は、効果的なトレーニングとリカバリーのために補食をとるようにしましょう。

運動前・運動中・運動後の補食
運動中の主なエネルギー源は、血中グルコース(血糖)と筋肉・肝臓に貯蔵されているグリコーゲンです。これらが不足すると空腹感・疲労感をおこしやすく、集中力が落ちるなどパフォーマンスの低下の一因となります。運動時間が長くなると、エネルギー源として脂肪が使われる割合が高くなりますが、脂肪が酸化してエネルギー源を産生する反応にもグルコースが必要です。そのため、練習前にはエネルギー補給をしておきましょう。
トレーニング後は、消耗したグリコーゲンを速やかに回復させる必要があるので、炭水化物を十分に摂取することが大切です(図1)。練習後速やかに炭水化物を摂取した場合は、何も摂取しなかった場合よりトレーニング後の筋肉たんぱく質分解が少ないことがわかっています(図2)。さらに炭水化物とたんぱく質を摂取することで、筋たんぱく質の合成が高まることも報告されています。

補食について
補食について

補食のタイミング
基本的には、トレーニング開始2~3時間前、トレーニング終了後はなるべく早いタイミング(終了後2時間以内)で食事時間を設定できるようにスケジュールを組みましょう。
【図3】に運動前と運動後に適した補食例を示します。

戦うからだをつくるための基本の食事

■参考文献

  • 1)Costill DL, et al. : Nutrition for Endurance Sport :Carbohydrate and Fluid Balance. Int J Sports Med, 1: 2-14, 1980
    一部改変:国立スポーツ科学センター アスリートの食事ベーシックテキスト
  • 2)Lemon PW and Mulin JP:Effect of initial muscle glycogen levels on protein catablism during exercise. J Appl Physiol 48:624-629,1980.
    一部改変:国立スポーツ科学センター アスリートの食事ベーシックテキスト

6.SAMURAI BLUE(日本代表)の補食についてでSAMURAI BLUEで提供している補食について紹介していますので参考にしてください。


④効果的な水分補給の方法

サッカー選手はプレーヤーとして、100%のパフォーマンスをしっかりと発揮することが重要です。
そういった中において、夏場のピッチ上は蒸し暑く、環境の厳しい練習場やゲームに臨むにあたり、様々な準備が必要となってきます。そういった環境にむけたJFAにおいて実践している水分補給・暑熱対策を紹介するとともに、様々なサッカーの現場で推奨される熱中症の具体的な予防策や応急処置についても紹介します。
まずからだには、たくさんの水分が含まれています。成人男性で体重の60%、新生児で約80%が「体液」とよばれる水分でできています。つまり、体重70Kgの成人男性ならば、約42リットルもの水分を体内に蓄えていることになります。言うまでもなく人間にとって水分は最も重要なのです。またただの水ではなく、ナトリウムやカリウムが含まれた水分を摂取することも大切です。
1)熱中症を発症しなくても水分摂取の不足によるパフォーマンスへの悪影響も報告されています。体重の2~3%(体重60kgの選手で1.2~1.8kg)の水分を発汗で失うと有酸素性運動能力がおよそ10%下がるという報告もあります。夏の暑い環境下で水分摂取を怠ることは、熱中症の危険性が高くなるだけでなく、有酸素性持久力も低下する等、パフォーマンスの発揮に悪影響を与えてしまいます。トレーニングや試合前、中、後の適切な飲水は、体内水分や循環血漿量の損失を減らし、最大下運動時の心拍数を下げることによってパフォーマンスを維持し、熱ストレス、熱疲労と熱射病を減らすことが報告されています。2kg(約2リットル)の水分摂取と考えると、難しいと感じるかもしれませんが、個人差はあるものの、練習前後で比較するとアスリートは発汗によって1~2kg程度の水分を失うとも言われています。そのため、①運動前に必ず水分を取る。②定期的な水分補給状況のチェック、③自由に水分補給できる環境の準備といったことが必要になります。また、水分補給の目安としては、①のどの渇きを自覚したらすぐに水分補給させ、②運動前後の体重を測定し、体重の減少が認められる場合には水分摂取状況を改善する。
水分補給は練習とは関係なく、日ごろからこまめに摂ることが重要なのです。
最後に、「選手を守れることができるのは、親であり指導者です」

■参考文献

  • 1)Von Duvillard SP, et al, Sports drinks, exercise training, and competition. Current sports medicine reports, 7(4): 202-208, 2008


⑤試合前後の食事で意識すべきこと

試合前日の食事は、試合に向けてエネルギーを蓄えること、安全であること、体調を整えることです。 試合後の食事では、からだの回復を促すために補食(補食参照)として炭水化物と水分補給を速やかに行い、その後の食事でからだの回復に必要なエネルギーと栄養素を十分に補給してください。

◆普段通りの食事ができる環境を整える。
普段食べ慣れない食事をすると、体調を崩してしまう恐れがあります。試合前だからと言って特別な食事をするのではなく、日ごろから食べ慣れた食事をとることが試合前の体調管理として重要です。

◆安全性の高い食品や料理を選ぶ。
ベストコンディションで試合に臨むためには、腹痛などの体調不良にならないよう刺身や生卵などの生もの、生焼けの肉などは避けて下さい。海外では飲み水にも注意が必要です。水道の水ではなくボトルウォーターを利用しましょう。また、調理してから時間が経過した料理や食品、保存状態の悪い料理や食品は避けて下さい。

◆体重管理を継続する。
調整期は練習量も減少します。体重管理を継続し、通常トレーニング時に比べて食事量や内容を調整する必要があります。

◆便秘、風邪、ストレス対策に野菜、果物を適度にとる。
試合前の環境の変化等による便秘対策として、水分や食物繊維の多い野菜や果物を適度にとって下さい。また、風邪予防やストレスに対抗するために、ビタミンCが多く含まれる果物や野菜を毎食とって下さい。

◆エネルギー源となる炭水化物をとる。
試合で力を発揮するために体内にエネルギーを蓄えておく必要があります。炭水化物を多く含むごはんやパスタ、パンなどの主食や果物をとるようにしてください。


執筆者
JFA医学委員会
栄養サポート部会
部会長 前田弘
副部会長 亀井明子
部会員 石井美子
部会員 加藤晴康
部会員 土肥美智子
部会員 早川直樹

4.成長期のからだ
①からだの成長(発育・発達、成長曲線・標準体重の算出)

1.はじめに
同じ学年でも、からだの成長が早く身長の高い人もいれば、身長のとても低い人もいますし、体重が重い人もいますし、軽い人もいます。本項ではからだの成長を、身長と体重から説明します。

2.骨年齢について
早熟なのか、晩熟なのかを判断する指標として、骨年齢があります。実際の年齢と、からだの発育年齢は異なります。したがって、実際の年齢よりも成熟が早い人は、実際の年齢以上に骨年齢が進んでいますし、晩熟の人は骨年齢が遅れていることになります。したがって、身体が小さいと心配だとしても、骨年齢が実際の年齢より低ければ、1~2年遅れで他の同級生に発育が追いつくことになります。では、骨年齢とは何でしょうか。骨は、完全な大人の骨になるとすべてが骨となりますが、成長期には骨の中に軟骨成分がたくさん存在します。この軟骨成分から骨が生まれ骨が大きくなっていきます。成長が止まると軟骨成分が消失し、すべて骨になります。骨の中に軟骨成分がどのくらい含まれているかを評価して、骨の成熟度を示すものを骨年齢といいます。からだのさまざまな部位で骨年齢は評価されますが、多くは手の骨におけるX線検査によって骨年齢を評価します。骨年齢が高い人は、からだは大きいですが大人の骨に近づいていて今後の身長の伸びはあまり期待できないかもしれないですし、骨年齢の低い人は、これからまだまだ身長が伸びて、身長が高い人をいずれ追い越すかもしれません。つまりからだの成長は、実年齢より骨年齢で評価されることになります。

3.身長の伸び
一般的に骨年齢を測定するにはX線検査を行わなければならず、気軽に行えることではありません。そこで身長の伸びから、からだの成長を評価しています。そのために、身長の伸びについての説明をします。
身長の伸びに関しては、年間身長増加量曲線という一般的な身長の伸びを示したグラフがあります。通常、急に身長が伸びる時期が存在し、これをtake off age(TOA)といい、このTOAから年間の身長増加がピーク(peak height velocity age: PHVA, 最大身長増加時期)を過ぎるまでを年間身長増加曲線のフェーズ(Phase)Ⅱといいます【図1】。
この急に身長が伸びるフェーズⅡの時は、成長期のスポーツ障害を発症しやすいと言われています。また成長期の夏には、サッカーにより大量の汗をかくことで鉄が失われ、貧血になるリスクが上がります。したがって、成長期には大人以上に食事、栄養に気を配る必要があります。毎月身長を測り、年間身長増加曲線上のどこのフェーズにいるか、自分自身が知ることは重要なことです。
年齢に応じた標準的な身長と比較してあまりに低い時には、小児科医師に相談することが必要かもしれません。稀に成長ホルモンの分泌が減少してしまうことにより、身長が伸びないことがあります。小児科医師への受診により、骨年齢の評価など、専門的な検査および診断を行ってもらうことが可能です。ここで日本小児内分泌学会が厚労省と文科省のデータをもとに示した年齢に応じた平均身長を示します【図2】。

図1 身長成長速度曲線のパターンによる成長期の区分

図1 身長成長速度曲線のパターンによる成長期の区分
大野ゆう子,田原佳子,村田光範ほか,日小児会誌,1988

図2 身長体重標準曲線 ©日本小児内分泌学会

図2 身長体重標準曲線 ©日本小児内分泌学会

4.身長の伸びと体重
身長の伸びとともに、体重を増やすことが重要です。身長が伸びているときにこそ十分な栄養をとるようにしましょう。身長が伸びているときにダイエットをしたり、食事の量が低下したりすることは成長のために良いことではありません。繰り返しになりますが、いつ自分の身長が急激に伸びているか、自分で把握することはとても重要です。そのうえで今の身長では、どのくらいの体重があれば適切であるかの標準体重を調べてみましょう。これまで標準体重に関する指標は、ローレル指数やBMIなどがありましたが、個々の体格を評価する指標としては十分ではないという報告があります。日本小児内分泌学会では、性別・年齢別・身長別・標準体重(5歳以降)というデータを出しています。(【図3】日本小児内分泌学会ホームページより)このようなデータから、太りすぎや痩せすぎの目安を見つけることが可能です。

図3 性別身長別標準体重(日本小児内分泌学会HPより)

図3 性別身長別標準体重(日本小児内分泌学会HPより)

まとめ
からだの成長には栄養・食事が、とても大きく影響します。身長や体重についての知識を得て、からだの成長を栄養面からサポートすることができるようにしましょう。


②発育期の骨の成長

私たち人間の骨は全部で206本ありますが、赤ちゃんの時には約350本もの骨が認められています。骨といっても分離骨といわれ長い時間をかけて一部つながりあって成人した段階で206本になります。骨の成長が終わるのは女性で約15~16年、男性で約18年かかるといわれています。身長の伸びは、10歳ころまでは1年に約6Cm、思春期の初期(男子は10.5から14歳、女子は10~13歳)になると1年に6~8Cm、青年期中期(男子は12~14歳、女子は12.5~15歳)になると最も急激な成長を遂げる段階で女子で約8Cm、14歳の男子で約10Cmも伸びます。成長期の子供の骨をレントゲンで撮影すると、関節付近に「骨端線」と呼ばれる線があります。この線は骨の両端部分にある骨端と骨幹との境目部分にあたり、成長期の子供しか確認できません。

発育期の骨の成長

この骨端線部分にある組織は「骨端軟骨」と呼ばれる軟骨組織で形成されています。
骨端では、新しい骨を作る骨芽細胞と、古い骨を分解・吸収する破骨細胞が盛んに働いてます。成長期には骨芽細胞の働きが活発化するため、この骨端軟骨組織が増殖しながら栄養素を取り込んで硬い骨へと置き換わっていきます。骨は骨端線に沿って伸びていきます。
成長期が終わりに近づくにつれ軟骨層は少なくなり、やがてすべての軟膏層が硬い骨へと換わると、骨端線はほとんど見えなくなります。この段階で骨の伸びが止まり、身長も伸びなくなります。レントゲンで骨端線が確認できるかどうかが、成長期を知る分かりやすい目安になります。
ここで成長期における骨の外傷・障害について述べます。

外傷・障害とは
・スポーツ外傷:突発性のケガ(骨折、捻挫、肉離れ等)
・スポーツ障害:過剰な練習、繰り返しの動作で発症する運動器の損傷(野球肘・オスグッド・シュラッター病等)

発育期に起こりやすいスポーツ障害 ~腰椎分離症~
過度な腰の反りや捻りがストレスとなる背骨の疲労骨折。腰を反りすぎる動作に注意!

腰椎分離症

コアの安定性
股関節・肩甲帯の可動性も重要な要素となる。
※サッカーではヘディング、キック、胸トラップなどに注意が必要!

発育期に起こりやすいスポーツ障害 ~オスグッド-シュラッター病~
脛骨結節(お皿の下の骨)の突出と痛み。時に、腫脹、熱感を伴います。10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをし過ぎると、発生します。

★腰椎分離症・オスグッド病(骨端症)=成長軟骨の障害
傷ついた成長軟骨は骨→関節の変形につながる
[予防]
・早期に発見
・正確な診断
・適切な処置
・成長軟骨を大事にする。
・骨ののびるポイント、大人になったら閉鎖して成長は止まります。
それまでの間は保護が必要です。傷ついた軟骨はもとにはもどりません。


③月経について

月経とは
月経とは、「約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的な出血」と定義されています。
思春期になると、脳内にある視床下部から卵胞刺激ホルモンを出すよう脳下垂体に命令が出され、脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが出されます。卵胞刺激ホルモンは卵巣に作用し、女性が生まれた時からおなかの中に持っている卵巣の中の原始細胞が活動を始め、卵子を含んだ成熟卵胞となります。この時、卵胞からは卵胞ホルモン(エストロゲン) が分泌されます。その後、脳下垂体は、黄体化ホルモン(LH)を分泌し、卵巣を刺激します。これにより、卵胞から卵子が排出されます。これが「排卵」です。排卵した卵胞からは卵胞ホルモンと黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、これらのホルモンのはたらきで、子宮内膜は厚くなり、 受精卵が着床しやすい状態になります。この時、卵子が受精しなければ、不要となった子宮内膜がはがれ落ち、腟から排出されますことになります。 これが「月経」です。これを一周期とし、月経が始まると再び脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され、同じサイクルが繰り返されます。

なぜ月経が必要か
月経があるということは妊娠できるということに他ならないのですが、具体的には女性ホルモンが分泌されることになります。女性ホルモンは上述したエストロゲンとプロゲステロンがそれにあたりますが、この中で特にエストロゲンは女性生殖器以外に、身体の健康維持に重要な役割を果たしています。アスリートにとってこれらエストロゲンの働きのなかで、骨量を獲得したり維持したりする働きが最も大事で、月経が来ない(無月経といいますが)、つまりエストロゲンが分泌されないと、骨量が低下し、その結果骨粗しょう症【図●】、場合によっては疲労骨折をきたすことになります。特に骨量のピーク(最大骨量)は20歳ごろといわれており、10代で一生の骨量獲得することになります。そのため10代での無月経はこの骨量獲得と、将来的な骨の健康に影響を及ぼしかねないので、注意が必要になります。


④学童期・思春期の栄養課題(貧血予防と改善、その他)

はじめに
学童期、思春期に不足しがちな栄養素として鉄が挙げられます。鉄の不足により発症する可能性がある疾患が貧血です。貧血とは酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンが低下することです。このヘモグロビンは、酸素を全身に供給する働きがあり、ヘモグロビンが低下することで、この酸素供給が低下します。酸素を運ぶ量が減ると、筋が酸素を使って行うエネルギー産生が低下し、持久力が著しく低下します。そのため、サッカー選手(アスリート)としては、貧血状態はパフォーマンスを維持するために好ましくありません。もし貧血の状態でトレーニングを行っているとしたら、それはトレーニングでからだを強化しているのではなく、からだをイジめて弱らせているだけに過ぎないかもしれません。

育成年代のアスリートは貧血になりやすい
アスリートは、ヘモグロビンが壊れるするようなストレスがかかったり、ヘモグロビンの原料である鉄が汗などで外に出て行ってしまったりするので、貧血になりやすいと言われ、これをアスリート貧血と言います。アスリートは、栄養に十分注意して食事をとっています。それでも、約2~5%弱の貧血選手を認め、育成年代の選手では女子8.8%,男子35%の選手が貧血を認めると報告されています【図1】。ここで注目すべきことは、貧血というと女子に多いような印象がありますが、実際は育成年代では男子も貧血が高い確率で生じています。JFAアカデミー福島のデータでは中学生までの貧血は、男子も女子もほぼ同じ確率で発症していて、高校生なると貧血の発症率は低下していきます【図2】。中学年代で身長が高くなり、体重も重くなると、それに準じてからだの血液量も増やさないとなりません。そのため、からだ(骨髄)は一生懸命に血液を作ろうとして、からだの鉄が不足し、貧血になるのではないかと推測できます。したがって、からだが成長しているときには鉄の含まれている食べ物を多く食べる必要があるでしょう。

図1 各種目ジュニア選手の貧血の割合

図1 各種目ジュニア選手の貧血の割合(%)
(土肥美智子ら,日本臨床スポーツ医学会誌,2016 より引用)

図2 JFAアカデミーにおける血清フェリチン値

図2 JFAアカデミーにおける血清フェリチン値
(中堀ら 臨床スポーツ医学 2010 より引用)

食事からどのくらいの鉄を取ればいいのか
食事から鉄をどのくらい取れば、十分な鉄を取ったと言えるのでしょうか。厚労省のホームページによると11-14mg/日の鉄を取ることを推奨しています【図3】。しかし、JFAアカデミー福島では1日約20mg/日程度の鉄を取るように栄養士が管理していますが、それでも貧血の選手が見られます。おそらく成長期の選手にとって、成長のある時期においては、とてもたくさんの鉄を摂取することが必要になると推測できます。しかし、現状では採血検査をせずに、その必要な接種鉄量を正確に判断することはとても困難な問題です。サプリメントを使用せずに、食事から鉄を摂取して副作用が生じる可能性はほとんどないと厚労省の「日本食事摂取基準2015年(厚労省)」で述べています(耐容上限量は40-45mg/日)。とにかく成長期のサッカー選手は、鉄を意識して食事をすることが必要ではないでしょうか。

図3 鉄の食事摂取基準

図3 鉄の食事摂取基準
(厚労省ホームページより 2009年データ)

鉄以外の栄養素
Nodaらは、10.3±2.7歳の日本サッカー選手を栄養調査したところ、鉄をはじめとして、カルシウム、マグネシウム、ビタミンA、B1、B2、Cにおいて、運動をしていない同年代の人たちより摂取量は多いですが、日本人の必要量は満たしていないと報告しています(Noda, et al: Asia Pac J Clin Nutr 2009;18 (3):344-350)。十分な栄養学的な知識を持ち、十分に意識して食事をとることがアスリートにとって大事なことです。

まとめ
アスリートとして必要な基本的な栄養素のほかに,学童期・思春期に注意すべき栄養課題として,鉄を中心に説明しました。


⑤成長期のトレーニング

現代サッカーは「技術面」、「戦術面」だけでなく、よりスピーディーに、よりタフにと「体力面」への要求度がますます高くなっています。体力面でトレーニング効果が特に大きくなる育成年代では、競技者としての基礎をつくるためにしっかりと計画的にトレーニングに取り組まなければなりません。

育成年代の指導に欠かせない考え方として、標準化成長曲線(PHV)【図1】のように成長段階によって発達する運動能力が異なることを理解する必要があります。どの時期でどんな体力要素にトレーニング効果が期待できるのかをしっかり把握しておかなければなりません。成長のタイミングには最大で4〜5歳程度の個人差があることや、身体発育スパートに男女差があることも知っておく必要があります。
それでは実際にどのような体力要素をどのような時期に向上させることが重要なのでしょうか?サッカーに限らず、すべての競技に必要とされる基本的な体力づくりとして、①動きづくり、②スタミナづくり、③パワーづくり、などが挙げられます。
【図1】に示すように、身体発育スパートの段階に合わせて、動きづくりは Phase 1〜2、スタミナづくりは Phase 2 以降に、パワーづくりは Phase 3 以降に積極的に取り組むようにしましょう。

⑤成長期のトレーニング

また育成年代では「怪我」について注意が必要です。特にトレーニングを継続していく中で明らかな受傷起点がなく徐々に痛みが強くなる「スポーツ障害」はトレーニングの“量”や“質”が多くなり過ぎると発症することを忘れてはなりません。
「スポーツ障害」を未然に防ぐためには、多少の痛みであっても、その痛みが継続する場合は勇気を持って休むこと。痛みが少ない時に休めばその分だけ回復は早くなり、痛みを感ずることなく全力でプレーできるようになることを忘れてはなりません。


5.成長期の食事
①成長期にはどれくらい食べたらよいか(目標栄養量)

必要なエネルギー量とは
成長期のアスリートはどれくらいのエネルギー量が必要か(どれだけ食べたらよいか)というのは、年齢や性別、成長による増加分、体格(体重もしくは除脂肪量)、ポジション、練習内容などによって異なります。厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、日本人の基準体位をもとに、身体活動レベル別の推定エネルギー必要量が示されており、成長期では成長に必要なエネルギー量を加味した値になっています【表1】。表1をみると、身体活動レベル(活動量)によってエネルギー量が異なることがわかります。したがって、練習のある日、練習量が多い日、または練習のない日、けがの時などでは摂取するエネルギー量を調整する必要があります。

必要なエネルギー量とは

表1 1日の目標エネルギー摂取量(kcal/日)

エネルギー収支バランスの確認
「8)戦うからだをつくるための基本の食事」で述べているように、基本的にエネルギーの「消費量」と「摂取量」が見合っているかは「体重の変化」でわかります。 一般的に、健康な成人では体重が変化しなければエネルギー消費量と等量のエネルギーを摂取していると考えられますが、成長期で身長が伸びているのであれば体重の変化だけではエネルギーバランスを正しく評価することができません。毎日の体重の測定と、定期的な身長の測定も行い、エネルギーの収支バランスを確認しましょう。

必要な栄養素量とは
アスリートは、エネルギーだけではなく栄養素を過不足なく食事からとることが大切です。【表2】に日本人の食事摂取基準(2015年版)に示されている摂取目標量を示します。必要なエネルギーと栄養素をバランスよくとるために、毎食アスリートの「基本的な食事の形」(「8)図1)をそろえることが理想的です。

必要な栄養素量とは

【参考文献】

  • 1)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会報告書:日本人の食事摂取基準(2015年版).第一出版,2014.


②骨の成長に必要な食事

必骨の成長
骨は、学童期から思春期にかけて形態学的成長とともに量的増加をしていきます。20歳前後で最大骨量を迎えるため【図1】、思春期の骨形成時に十分なカルシウム摂取、適切な運動負荷が大切になります。女子においては、女性ホルモン(エストロゲン)が骨代謝にも関係しているので、ある程度正常な周期の月経を維持することが重要になります。

必要な栄養素量とは

図1 骨量の経年的変化
引用:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015版

骨の健康に必要な栄養素
10代において高い骨密度を獲得するためには食習慣が重要になります。
骨の健康に必要な栄養素は、骨のミネラル成分の重要な構成栄養素であるカルシウムです。またカルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にするビタミンD、骨の形成を助けるビタミンKも必要になります。このように骨の健康にかかわる栄養素は多く、カルシウムのみが重要というわけではないため、栄養素全体の摂取量を考えることが重要になります。また、特に避けるべき食品はありませんが、リン、食塩、カフェインの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害することが考えられるため、控えるように心がけましょう。

カルシウムやその他の栄養素の必要量
健康な人を対象に策定されている「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」ではカルシウムやその他の栄養素の推奨量を「1.成長期にはどれくらい食べたらよいか【表2】」のように示しています。
カルシウムをみると、男女とも人生の中で12~14歳の年代がもっとも多くのカルシウム摂取が必要とされます。

カルシウム摂取量を増やすには
ビタミンDは魚類(サケ,ウナギ,サンマ、きのこ類など)に、ビタミンKは緑の葉の野菜、納豆に多く含まれています。ビタミンDが不足しないように、肉類ばかりではなく魚類を食べるようにしましょう。

ビタミンDとビタミンK摂取量を増やすには
カルシウムは、牛乳・乳製品、小魚類、大豆製品、一部の緑黄色野菜に多く含まれています。【表1】の食品例を参考に、日常の食事で摂取量を増やしていきましょう。

ビタミンDとビタミンK摂取量を増やすには

【参考文献】

  • 1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編集.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版.ライフサイエンス出版,2015.


③月経状況に応じた食事面の配慮

女性アスリートの三主徴と利用可能エネルギー不足
「6)相対的エネルギー不足に注意を!」で示したとおり、女性アスリートの三主徴において、「摂食障害の有無によらない利用可能エネルギー不足」が視床下部性無月経や骨粗鬆症の原因になります。
正常な月経のためには、「エネルギー消費量に見合ったエネルギー量」を毎日の食事から摂取することが重要となります。

利用可能エネルギー不足の改善法
アメリカスポーツ医学会では,女性アスリートが利用可能エネルギー不足に至った原因を見極めたうえで改善方法を考えるとしています。利用可能エネルギー不足改善のための治療目標として下記にアメリカスポーツ医学会と国際オリンピック委員会の指針を紹介します。

《アメリカスポーツ医学会の指針》
①最近減少した体重をもとに戻す
②正常月経が保てる体重に戻す
③成人は BMI 18.5kg/m2 以上,思春期は標準体重の 90%以上にする
④エネルギー摂取量や体重は下記を目指す
・エネルギー摂取量は最低 2,000kcal/日とする.
・エネルギー必要量よりもエネルギー摂取量を 20~30%増やす.
・7~10 日ごとに 0.5kg 以上体重を増加させる.
ただし,トレーニングによるエネルギー消費量によってはさらに増やす.
⑤利用可能エネルギーを45kcal/kg 除脂肪量/日以上にする

《国際オリンピック委員会の指針》
①最近のエネルギー摂取量に 300~600kcal/日を加える
②トレーニング量を適正にする
③トレーニングや食事に関するストレスへの対処を考える

利用可能エネルギー不足改善の食事
利用可能エネルギー不足による無月経の改善のためには、「アスリートの基本的な食事の形」をそろえることを前提に、食事量を増やすかトレーニング量を少なくして利用可能エネルギー不足を改善していくことが基本となります。
エネルギー摂取量を増やすには、エネルギー源となる「炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質」を適正に摂取する必要があります。特にトレーニング量が多い時には炭水化物(糖質)が不足しないようにしっかり食べましょう【表1】。

利用可能エネルギー不足改善の食事

【参考文献】

  • 1)Health Management for Female Athletes Ver.3-女性アスリートのための月経対策ハンドブック-


④貧血予防の食事

アスリートの貧血
貧血とは、からだの各組織に酸素を運搬するヘモグロビン量が減少した状態で、症状は息切れ、動悸、めまい、頭痛、疲労感などがみられます。したがって、ヘモグロビンの減少は運動能力の低下につながるため、アスリートは貧血の予防が重要になります。
女性アスリートの貧血の原因は、月経血からの鉄の損失、運動や発汗による鉄の損失、血液を造る材料(たんぱく質、鉄、ビタミン類)の不足などが考えられます。
「貧血=ヘモグロビンの減少」の前段階として、貯蔵鉄(フェリチン)の減少と血清鉄の減少があります。運動能力が低下する前に危険信号を把握できるので、定期的に血液検査を受けましょう。

貧血予防の食事
長期的な減量や食欲低下などでエネルギー摂取量の不足が続くと、血液を造る材料であるたんぱく質、鉄、ビタミン類も不足すると考えられます。したがって、貧血を予防・改善するためには、①活動量に見合った食事量にすること、②鉄の多く含まれる食品と各グループの食品を組み合わせて食べることが重要です。

貧血および鉄欠乏予防の食事のポイント

貧血および鉄欠乏予防の食事のポイント

鉄摂取量を増やすには 
鉄は、レバー、赤身の牛肉と魚、一部の緑黄色野菜、あさりやしじみなどに多く含まれています。【表1】の鉄を多く含む食品例を参考に、日常の食事で摂取量を増やしていきましょう。また、鉄は吸収率が低い栄養素の一つですが、ビタミンCが鉄の吸収を高めるため、鉄の多い食品とビタミンCの多い食品を一緒に組み合わせてとりましょう。

表1 鉄を多く含む食品

表1 鉄を多く含む食品


⑤成長期の食事の課題

思春期・成長期は自立の時期です。選手自らが正しい食事の選択ができるようになることが必要です。そのためには選手自身が正しい知識をもち、実践できる力を身に付け、その食生活が習慣化されることが必要です。
具体的には、以下の「8か条」を実践するようにしましょう。

1.食事・睡眠・休養がまず大事
2.朝・昼・夕の3食の食事をしっかり食べる
3.好き嫌いをなくし、何でもたべよう
4.間食ではなく補食を
5.お菓子やジュースをとりすぎない
6.ごはんをしっかりたべよう、ごはんは体を動かすエネルギーのもと
7.サプリメントに頼らない、まず食事
8.自分の体調をふりかえる


6.SAMURAI BLUE(日本代表)の補食について
①サプリメントに頼らず、⾷品から栄養素を摂取する

現在、SAMURAI BLUE(⽇本代表)では、日本サッカー協会医学委員会が2017年9月19日に示した<アンチ・ドーピング活動に関する栄養補助食品(サプリメント)の摂取についての方針>に則って代表活動を行っています。2018年のFIFAワールドカップ後に森保監督体制になって以降、代表活動中のサプリメント提供はしていません。その理由として、サプリメントに頼らず⾷品から栄養素を摂取してほしいからです。⽬的の一つはドーピングコントロール、もう一つは適切なリカバリーのためです。

②ドーピングコントロール

リカバリーの観点からしても、運動直後に栄養素を素早く手軽に補給するために、サプリメントを使用するメリットはあると考えられます。しかし、様々なサプリメントが存在する中で、民間の第三者機関からアスリートに安全であると承認を受けたサプリメントであっても、その製造過程でドーピング禁⽌物質が混⼊してしまう可能性は否定できません。
そのため、SAMURAI BLUEでは、より安全に栄養素を摂取してもらうべく、サプリメントにも含まれている同等の栄養素を市販の⾷品から摂取できるように選⼿に提供しています。

③適切なリカバリー

主に練習後と試合後に提供している⽬的としては、⾼い運動強度によって受けたダメージから素早く回復させるためです。そのため、補⾷は疲労回復に必要な栄養素を多く含んだ⾷品を様々な形で選別し、提供しています。
提供している⾷品(飲料含む)は次の通りです。

図1 2021年6⽉3⽇ SAMURAI BLUE vs U-24⽇本代表の試合時の補食

図1 2021年6⽉3⽇ SAMURAI BLUE vs U-24⽇本代表の試合時の補食

試合時の補⾷

試合時の補⾷

上記の表や実際の提供内容を記したイラスト(図1)から分かるように、糖質を主体とし、たんぱく質、水分補給ができます。様々な⾷品を準備して、選⼿が気軽に栄養素を摂取できるようにしています。また日々摂取するものですから、選手の嗜好性や食べやすさ、衛生管理だけでなく、海外での活動が多いことを考慮して海外でも簡単に購入・輸送できるものを選別しています。

実際の選手摂取例①
・経口補水液ゼリー、干し芋、おにぎり、きなこ入り甘酒、チーズ
実際の選手摂取例②
・羊羹、カステラ、飲むヨーグルト、きなこ棒、オレンジジュース

*干し芋・カステラ・甘酒は人気があり、チーズ・ナッツは人気がない

※練習・試合後、上記を一度に摂取する訳ではなく、帰り支度をしながらであったり、帰りの移動中であったり、合間で栄養素を摂取している形が多い

皆さんは、練習や試合後、次に向けたリカバリーにおいて、自分がどれだけ栄養素や水分を摂取すれば良いかお分かりでしょうか。
例で挙げた選手たちは、育成年代から自分たちがどの程度栄養素や水分を摂取しなければならないか、自分の体重などから計算したり試行錯誤したりしながら、今に至っています。皆さんも以下のガイドラインを参考にしながら、日頃の練習で試し、自分に合った補食の内容と量を見つけてみて下さい。

以下はJFAホームページ栄養ガイドラインで掲載している内容です。

3.食事の重要性と水分補給、③「補食でエネルギー、栄養を効果的に補う」で解説した内容では

・補食とは
補食とは朝・昼・夕の3食で足りないエネルギーや栄養素を補給することです。また、練習前に空腹の場合、練習後から夕食までに時間が空いてしまう場合は、効果的なトレーニングとリカバリーのために補食をとるようにします。

運動前・運動中・運動後の補食
運動中の主なエネルギー源は、血中グルコース(血糖)と筋肉・肝臓に貯蔵されているグリコーゲンです。これらが不足すると空腹感・疲労感をおこしやすく、集中力が落ちるなどパフォーマンスの低下の一因となります。運動時間が長くなると、エネルギー源として脂肪が使われる割合が高くなりますが、脂肪が酸化してエネルギー源を産生する反応にもグルコースが必要です。そのため、練習前にはエネルギー補給をしておきましょう。
トレーニング後は、消耗したグリコーゲンを速やかに回復させる必要があるので、炭水化物を十分に摂取することが大切です。練習後速やかに炭水化物を摂取した場合は、何も摂取しなかった場合よりトレーニング後の筋肉たんぱく質分解が少ないことがわかっています。さらに炭水化物とたんぱく質を摂取することで、筋たんぱく質の合成が高まることも報告されています。

補食のタイミング
基本的には、トレーニング開始2~3時間前、トレーニング終了後はなるべく早いタイミング(終了後2時間以内)で食事時間を設定できるようにスケジュールを組みましょう。

*アスリートのための糖質摂取に関するガイドライン
●アスリートはトレーニングプログラムに必要なエネルギー源となる栄養素を必要量摂取すること。筋グリコーゲンの貯蔵量を回復させることを目的に、適切な糖質摂取を行うべきである。
一般的な摂取の目安を示したが、選手個々の1日のエネルギー必要量、トレーニングでのエネルギー必要量やパフォーマンスの状況などによって調整するべきである。
○運動後、すばやく(4時間以内)回復するために:1~1.2g/kg体重/時間
○回復期間が1日の場合:継続時間が中程度で低強度のトレーニング後;5~7g/kg体重/日
○回復期間が1日の場合:中~高強度の持久性運動:7~12g/kg体重/日
○回復期間が1日の場合:かなりハードな運動(運動時間4~6時間/日以上):10~12g
または12g/kg体重/日以上

●たんぱく質やほかの栄養素は、糖質を摂取するのとは異なる過程でグリコーゲンの回復を助ける。たとえば、たんぱく質であればエネルギー源となる糖質の摂取が少ない場合、あるいは補食を適度に摂取できない場合に筋グリコーゲンの回復に寄与する。そこで、回復期の食事および間食には糖質を含み、ほかの栄養素も含む食品を選択すること。また、糖 質源となる食品にほかの食品を加えることを勧める。
●運動の休息時間が8時間未満のときは、休息時間に可能な限り筋グリコーゲンを回復させることを目指し、運動終了後できるだけ早く糖質を補給すること。運動後速やかな筋グリコーゲン回復には、数回の補食を利用して糖質の摂取量を上記の目安量に近づけることが望ましい。
●比較的長時間(24時間)における筋グリコーゲンの回復の場合、糖質の摂取量を上記の目安に近づけるために、選手個々の食生活において現実的かつ快適な方法で糖質の多い食事や食品の摂取を行うとよい。また、液体、固体といった食品の形態による筋グリコーゲン回復の差は認められていない。
●グリセミック・インデックスが高~中等度の食品は、筋グリコーゲン合成のための糖質として利用されやすい。運動後における回復期の糖質源としてこれらの食品を摂取すべきである。
●最適な筋グリコーゲンの回復のためには、十分なエネルギー補給が不可欠である。特に女子選手にみられるようなエネルギー摂取量を制限している場合、上記の目安量では筋グリコーゲンを回復させることが難しい。
●糖質のガイドライン(エネルギー源となる栄養素全て)は、エネルギー比率で示すべきではない。エネルギー比率でのガイドラインは、かえって扱いにくく、筋でエネルギーとして利用される絶対量を示すものではない。
●回復期には過度のアルコール摂取をするべきではない。食事がおろそかになり、上記の糖質摂取の目安量がとれなくなるからである。アスリートは常に分別のあるアルコール摂取をするべきであり、特に運動後の回復期には気をつけたい。
( Burke LM, Kiens B, Ivy JL.:Carbohydrates and fat for training and recovery. J Sports Sci.22(1),pp15-30, 2004.)

最後に
今回は「補食」をテーマにしましたが、あくまでも朝・昼・夕の3食をしっかりと摂取することが最重要であることを忘れてはなりません。ただし、3食だけではなかなか必要量の補給できないため、トレーニング・試合直後の吸収が良い時に栄養素を摂る必要があります。まだ模索段階ではありますが、参考にしていただければ幸いです。


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